
Poon’s at Somerset House プーンズ・アット・サマセット・ハウス
「Poon’sプーンズ」という中華料理店の名を聞いたことがありますか? 1970年代に創業し、その洗練された広東料理で一世を風靡。香港・マカオ系の人々が作り上げたチャイナ・タウンのレストランの中でも、相当なリスペクトを受けていたブランドでした。
最盛期には7店舗あった中で、コヴェント・ガーデンの2号店は1980年にミシュランの星を獲得(これは私も知らなかった)。創業シェフのビル・プーンさんは中華街で最も尊敬される中国系シェフになり、店にはミック・ジャガーさんやフランク・シナトラさんをはじめ、内外のセレブが通う特別な店となったそうです。

漢字では「潘記」と書きます。
私はチャイナ・タウンの1号店しか行ったことがないのですが、さっぱりした味の広東料理だなぁと思った記憶が・・・。Poon’sはビルさんの加齢に伴い、惜しまれつつ2000年代にブランドを一旦閉じたんですよね。それも覚えているのですが、ちょうど8年前に3か月限定のポップアップで復活。娘のエイミーさんが大いなる遺産であるPoon’sブランドを再興しようと、一肌脱がれたみたいなのです。
そしてこのポップアップが大反響! 昔のPoon’sを知るお客さんだけでなく、新しい世代からも大きな支持を集め、その他の場所でもポップアップで少しずつ腕試し。そして昨年11月、ついにサマセット・ハウスの1階という大舞台に、常設店をオープンする運びになったというわけ。素晴らしいですね♪

油条入りの豆腐ディップ♪
実は今年6月。その成功を見て安心されたかのように、エイミーさんのお父様で創業者であるビル・プーンさんが永眠されました。半年だけですがPoon’sの新時代を見届けることができたのですね♡
元宮殿でもあるサマセット・ハウス内のお店は、いうまでもなく内装がゴージャス! お味の方も私の記憶にある通り「さっぱり中華」のまま。蒸し料理、お粥、ワンタン、スープ、クレイ・ポットの煮込みなど、エイミーさんの世代から見た中国の家庭料理をコンセプトにしているそうです。つまり70年代の復刻ではなく、現代風にアレンジした料理であると。これは特筆すべきだと思います。

中華風ナス田楽。普通に美味しい♪

このロースト・ダック・サラダはPoon’sの伝統的なレシピの一つ。甘酢ですごく美味しい!おすすめです。右が創業者のビルさん。暖炉の上にポートレート。

このワンタン麺が食べたくてきました! さっぱりとしたスープの本格派です。麺は香港系のゴム麺。

焼き菓子をデザートに。こちらも美味です。

カウンターに座って、さっくりとエクスプレス・ランチもいいですよね。

別室ファンクション・ルームにはかつてのPoon’sのメモラビアやチャイニーズ・アートがいっぱい。私が訪れた時はオープンして数ヵ月後だったので、エイミーさんの夫でディレクターのマイケルさんが案内してくださいました。
ビル・プーンさんは代々料理人を輩出してきたマカオの家系の7代目。香港で修業した後、1960年代にイギリスに渡ってきた典型的な広東系移民です。当時のロンドンの中華料理に失望し「もっと本格的な料理を食べてもらいたい」と、Poon’sを創業。
娘のエイミーさんはチャイナ・タウンにあった店の2階に暮らしつつ、料理をする母親の手伝いや皿洗いをして育ったせいか、「絶対にレストラン業にはつかない」と思っていたそうです。それがロンドンのレストラン・シーンの変化とともに、新たな冒険を決意。家族が築いてきた素晴らしい遺産を元に、イギリスの歴史的な建物で営業することになったのには何か運命の粋な計らいがあったのかもしれないですね^^
ちなみにプーン家には代々伝わるスペシャルな干し肉のレシピがあるとのこと。メニューには焼いたものやソーセージ・ロール風のスナックとして登場しているので、次回は試してみたいなと思います!
半世紀の歴史を誇るロンドン・カントニーズの人気ブランド。ご興味あればぜひ♪