和洋が「あうん」で生み出す、心づくしの美

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Aun あ吽

元気いっぱいのロンドン北東エリア、ストーク・ニューイントンの目抜き通り Stoke Newington Church Street 沿いにある日本食屋さん「Aun」。2017年の創業から6年かけて成熟し、今やこのエリアになくてはならない存在として、ご近所グルメたちに愛されています。

和と洋の融合をテーマにしたAunは私も大好きなお店なので何度もお邪魔しているのですが、2年ほど前から新たな料理長を迎えられ、ますます輝いているんです! 今日はつい先日いただいた素敵な春のメニューをご紹介したく♪

お店のパステル画にほっこり♡

センスあふれるインテリアも見どころ。

食器類も全て、お店のコンセプトを反映しています。

現料理長の根津雅玄 / Masato Nezuさんは「Mitsukoshi」や「Nobu」「Onodera」などロンドン・トップクラスの日本料理店の厨房で活躍されてきたベテランシェフ。高級料理店ならではの研ぎ澄まされた視点を保ちつつ、Aunではよりカジュアルで親しみやすい和のテイストを創り出しています。

現在はコース料理を軸にメニュー構成がされていて、5品で44〜46ポンド(デザートは別)と、最近のロンドンの物価上昇などを考えるとかなりお得です。火曜日から木曜日までは、同じメニューをアラカルトでもいただくことができます!(金・土・日の週末は、お得なランチセットと唐揚げバラエティを用意。)

コースはお肉、お魚、野菜の3種類。それぞれのテーマに沿った季節の料理をいただけますが、共通しているお皿が一品だけあります。それはオーナーさんが大好きなナスを使ったお料理。今回は食べやすい大きさに切った柔らかナス田楽でした♡ 八丁味噌のコクある風味が柔らかなナスになじみ、クセになる美味しさ。国籍を問わず大人気のナス料理なのです。

お肉コースの一品、マンゴーソースでいただく鴨の串刺し。美しい♪

お魚のコースの一品。タラ頰肉のジェノベーゼ味噌ソース。ファンの多いお皿。

美しいナス田楽。食べ応えたっぷり!

お肉とお魚のコースを友人とシェアしつつ、根津さんのお料理を今回初めていただいて気づいたのは、以前よりも和食の洗練度が増していること。ただし素材はもちろんローカルのものを使っているので、そこには長年の経験が生かされた和洋折衷の完成形を見ることができます^^

特にお寿司のコースは、根津さんの腕の見せどころ。ご実家は何と、お寿司屋さんなのだそうです〜。血肉となった匠と職人魂が、そこに宿っているわけですね。

そのお寿司を堪能するため、コース最後の麺類を1皿、今回は野菜コースの寿司に変えていただきました。「見て、この美しさ。根津さんの真骨頂が現れているでしょう? 」と、今回Aunに連れてきてくれた友人の談。まったくもってその通り。スナップエンドウともろみ味噌。タケノコとワカメのソース。ポロ葱とマスタード・ソース。見た目もお味も、芸術品です。

こちらは特別に交換していただいた野菜コースの一品。シャリは熟成赤酢。

英国の食材と言えば、鹿肉! お肉のコースのお寿司は鹿肉メドレーでした。鹿肉の赤身に、もろみ味噌が合いますね^^  もちろんしぐれ煮も♡

お魚コースのお寿司はサーモン・タルタル! 個人的には1本一人でいただけます♡ シャリとネタの量的なバランスも完璧。

さぁ、いよいよメイン・コース。お魚のメインはマグロの煮付けでした。バルサミコ酢入りの照り焼きソースが決め手。お肉のメインは、ホロホロ鳥のタラゴン・バター・ソース。ご飯が欲しいですな。

マグロの和風ステーキ風。

ホロホロ鳥の一品。中華風の濃いめの味付けがとても美味しい!

そして、コース最後の一品。締めはいつも麺類なのだそうです。今春の締めは焼きそば! お魚コースはエビ入り♪ とても上品な焼きそば。美味しくいただきました^^

 

ここまででも大満足でお腹もいっぱいなのですが、もちろんデザートは外せません! ので追加注文いたしました^^

デザートは女性ペイストリーシェフ、深町陽蕗 / Hiro Fukamachiさんが担当。以前のアイスクリームだけのメニューから進化し、手の込んだ素晴らしい和風デザートを用意してくださいます♡ 陽蕗さんは和菓子職人で、親御さん世代から和菓子職人さんなのだそうです^^

この日は自家製の羽二重餅を使ったデザートが2種。羽二重餅と説明され、いただいてみて求肥のようなものだと納得。陽蕗さんによると、お菓子の形や名前は神話や万葉集などからとって来られるそうです。素敵。

こちらのリンゴを使ったお菓子は、何とギリシャ神話にインスパイアされたものだそうです。3柱の女神が、美の称号をかけて奪いあった黄金のリンゴにちなみ、「最も美しい女神」を表現。・・・最終的に手にしたのは・・・もちろんアフロディーテですね^^

うぐいす色の部分が餡で、ルバーブ・ソースが添えられています。

こちらのしずく型のお菓子は、羽二重餅で醤油アイスを挟んだもの。黒蜜と一緒に♪  真心がこもっていて、大変美味しかったです。

 

Aunの春のコース料理、いかがでしたか?

私にとっては、誠実さの際立つコース料理でした。和の印象が強いのですが、実際は洋の調味料やソースもたくさん使われています。チグハグさみたいなものはまったくなくて、見事な融合なんです。丁寧な下処理や下ごしらえが分かる、本当に誠実で美しいお料理です。ちょっとだけ根津シェフとお話できたのですが、その人となりがやはり、お料理に現れているのだと確信しました。ぜひぜひ、お近くに来られた際には立ち寄ってみてくださいね!

Aunは、オーナーである馬形倫太郎 / Rintaro Makataさんの愛情から生まれました。ラグビー留学で中学生の頃からロンドンへ。美術大学でプロダクトや家具デザインなどを勉強され、めぐりめぐって飲食業界に。和 x 北欧ミニマルな落ち着く空間は、倫太郎さんの優れた美的センスから生み出されたものなのですね。

今後はこの空間を使ったイベントの数を増やしたり、喫茶空間としても利用できるようにしたりなど、ますます楽しい方向へと発展させていくそうです。楽しみですね^^

Stoke Newington Church Streetと言えば、今をときめくクリエイティブなショップが軒を連ねる長〜い通り。飲食だけでなくファッションから雑貨まで高感度ブティックばかりで胸が高鳴ります。Aunを目指して来られるなら、前後に散策もぜひ取り入れてくださいね^^

178 Stoke Newington Church Street, London N16 0JL

店名Aun
最寄り駅Stoke Newington
住所178 Stoke Newington Church Street, London N16 0JL
電話番号020 7254 6500
営業時間火〜木 18:00 – 22:00 金・土 12:30 – 16:00 / 18:00 - 22:00 日 12:30 – 16:00
URLhttps://www.aun-restaurant.com
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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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