Cinder シンダー
これまで独立系の心ときめくレストランが少なかったベルサイズ・パークに、上質の小さな地中海ビストロ「Cinder」が誕生しています。ロケーションはベルサイズ・ヴィレッジの商店街一画。私も昔よくお世話になった場所ですが、お店もすっかり入れ変わって隔世の感があるのであります。
オーナーさんは西ロンドンで初めての自身のレストランをオープンしたにもかかわらず、コロナ禍で閉店を余儀なくされて意気消沈していたジェイク・フィンさん。リッツやCoya、そしてメイフェアの老舗 La Petitte Maisonといったトップ・レストランで腕を振るっていたジェイクさんだけに、奥様に叱咤激励されつつロックダウン中の厳しい時期にスタートしたデリバリー・ビジネスがあっという間に軌道に乗り、この物件を見つけるとすぐに契約。ロックダウン明けの誕生と相なったわけです。きっとご本人は、最初のロックダウンから現在まで、全力疾走で駆け抜けたような気持ちでいらっしゃるに違いありません。
Cinderは外も合わせてやっと40席ほどの小さなお店です。ともかくランチもディナーもフル回転させなければ利益もさほど上がらないような気がするのですが、オープン当初から注目のお店だったせいか、とてもいい雰囲気があり快進撃を続けられているようです^^
Cinderって石炭の燃え殼という意味なんですね。それはサラダも含め全てのメニューが何らかの形で炎の洗礼を受けているから。炭火焼グリルというと、すぐに肉を思い浮かべる人が多いと思うのですが、Cinderでは半分以上が野菜メニュー。ジェイクさんのこだわりも、実はそこにあります。
野菜メニューからはキャベツのサラダと、本日のおすすめだったスイート・ポテトを頼んだのですが、素材の力強さと繊細なテイストが身体に染みるお皿で感動。シンプルに見えますが、お味の方は薬味やドレッシングの使い方にもプロの技を感じる素晴らしい仕上がりです。
メイン・コースとしてお肉とお魚の両方を頼んでみて、こちらも大正解。絶対に食べていただきたいのが、サーモンのグリル。合わせ味噌の西京焼きを思わせるほんのりとした甘さをまとったホロホロの身が日本人には嬉しい。付け合わせのキュウリの酢の物は、このサーモンのためにベスポークされた最高の伴侶としてそこにあります。今年の外食のベスト・ディッシュの一つ♡
チキンもジューシーで本当に美味しかったです。付け合わせのインゲン豆も丁寧に調理してあるし、全てのメニューに安心して身を任せられる感じ。2回目のデートとかで連れて行くと「おお」という感じになりそうなw 小さな北ロンドンの新星。お近くにお住まいの方はぜひ試してみてくださいね。
この日は土砂降りが降ったと思ったら晴れ間が見えはじめ、また強い雨が降るという繰り返しの、なんともイギリス的なお天気でした^^ その様子をずっと窓際の席で眺められたのも良き体験。イギリスももう夏は終わりだなぁ・・・。