Chishuru チシュル
ナイジェリア生まれのAdejoké Bakare / アデジョーク・バカレさんが、南ロンドンのブリクストン・マーケットにモダン・アフリカ料理のChishuruをオープンしたのは2020年夏、ちょうどパンデミックの真っ只中でした。
その前は料理上手な主婦。ただしサパークラブを主宰するほどの腕前で、2019年開催ブリクストン・マーケットの料理コンペで優勝したのをきっかけに、優勝商品?であったレストラン・スペース6ヶ月無料貸し出しをきっかけに(!)オーナーシェフに^^ この辺りは、ブリクストンのコミュ力のすごいところだと思います。彼女は自らの力でビッグ・チャンスをつかんだのですね!
アデジョークさんの料理は、ナイジェリア料理をベースに、西アフリカ諸国の味を取り入れいれたもの。アフリカとカリブ諸国の歴史は複雑に交錯しているのでカリブの味も混ざるほか、インドやブラジルのテイストも! アフリカ諸国って様々な国と交流があるので、料理にもその多彩さが反映されるようです^^
現在のところセット・メニューのみ。ヘッド・シェフとして仕入れや調理の全てに関わっているアデジョークさんなので、コース仕立ての方が食材も無駄がありません。3コースでランチ30ポンド、ディナー45/48ポンドです。この日はランチをトライ♪
まずはドリンク選びから! ノンアルで地元っぽいものを思い、ハイビスカス・ドリンクを選んでみました。これがとっても不思議なお味! ハイビスカス・ティーなどとは全く違う風味で、発酵ドリンクのような感じ。アルコールを一滴も飲めない友人は「ソフト・ドリンク」枠から選んだのにもかかわらず、顔が真っ赤になってました ^^; おそらく数パーセントのアルコール成分が発生しているのでしょう。
コース料理はどちらかというとテイスティング・メニューのような感じでシェアするようには作られていないので、一人ずつ好きなものを選び、コースでしっかりと味わってみることをおすすめします。
日本人はちょっとずつシェアするのが大好きですが、私自身、今回気づいたのは「知ってる味ならいざ知らず、知らない味をシェアすると、お味の片鱗しかつかめないことになる〜」ということでした ^^;
例えば・・・こちらは前菜メニューの「Ekuru」。なんだと思いますか?
黒目豆とスイカのタネから作る粉でこしらえたものだそうです! 上に載っているのはカボチャの種のペスト・ソース。そして黄色いのは「スコッチ・ボンネット・ソース」。これはハラペーニョの何十倍も辛いと言われるスコッチ・ボンネットと呼ばれるチリから作るソース・・・実にエキゾチックですね。お味は・・・この小さなピースを4人で分けたので今ひとつ覚えていないのですが^^; 美味しかった記憶だけはあります。
その他の前菜は、有頭エビをハーブ風味のブロスでいただくもの、キャッサバのフリッターなど。
上の写真の左側のものは、玄米パンケーキ。上にニンジンが載っております。タマリンド・ソースが決め手。右下がキャッサバで、右上がヴィーガン対応のメイン・コースの一つ、キャベツのグリル、ピーナッツ・ソース添え。最近のレストランではこういうキャベツをグリルした副菜が多いので、これがヴィーガン用のメイン・コースだと思うと、ちょっと寂しい気がしました^^; ヴィーガンの人にも、もっとバラエティを!
その他のメインは、こちらのサバを添えたスイートコーンのケーキ「Ekoki 」と、海老入りピリ辛調味料「Shitto」入りライスと、チキン+キャッサバ。
デザートはプランテンとバオバブのアイスクリーム! これはやはり食べたことがない味でうまく表現できないのですが、コクのある植物のパワーをいっぱい感じる上等アイスでした^^
いずれもとても美味しかったのですが、シェアすると味の輪郭がぼやけてしまうので、やはりガッツリと1人1コースを縦にいただくのがよろしいかと。そうすると、西アフリカ料理についてもっと知ることができると思います。
Chishuruは、その料理の特異性や珍しさ、移民女性の成功譚などと相まって、BBC番組からメアリー・ベリーが訪れたり、様々なメディアで立て続けに取り上げられ、あっという間に有名になりました。そして今年2022年のタイムアウト誌が選ぶロンドンのベスト・レストラン50で、トップの座に!!
アデジョークさんはこちらのインタビューで自分の使命は西アフリカ料理の知名度をもっとあげていくことだとおっしゃっています。まさに今、それが起ころうとしているのですね^^
個人的に気になったのは、コース料理の各皿のクオリティに、差がありすぎること。例えばヴィーガンの人が前菜にキャッサバを選び、メインにキャベツを選んだとしたら、「え?これで30ポンド?」ということになりかねない内容です。副菜の後にまた副菜、みたいなイメージでしょうか? ^^;
もう少しメニュー構成に気配りがあるといいな〜ということと、ファイン・キュイジーヌを意識しすぎてか? 量が非常に少ないことです。男性がこれでお腹いっぱいになるとは思えないですね〜。
ようは色々な意味でバランスが悪いということ。ロンドンで入手しづらい材料を多く使っていることも、おそらく値段に反映しているとは思うのですが・・・。「ファイン・キュイジーヌを謳うには何かが足りない、一般レストランにしては量が少なく値段が高い」。まさに帯に短したすきに長し、という感じw
いずれにせよレビューなどを読むと皆ハッピーそうなので、それぞれ各自で判断するしかなさそうです^^
ちなみに! Chishuruとは、「黙々と食べる」という意味だそう。美味しいものを食べているときに静かになるのは、世界共通ってことですね♡