Firebird ファイヤーバード
2022年夏、鮮やかな翼を広げ、Sohoの北側に降り立った火の鳥。Firebirdは直火料理とナチュラル・ワインを組み合わせた、大人のための小さなビストロ・バーです。
オーナーさんは、ロシア・サンクトペテルブルグ出身の女性デュオ。もともとワインが専門で、本国ではアジア料理と合わせたお店を成功させたようですが、パンデミックを機にロンドンへと移住し、フードシーンに新たな歓びをもたらしてくれているのです。
それにしてもこの店構え。温かさを感じさせる爽やかな淡いグリーン、そしてオリーブの木・・・う〜ん、地中海風とは、このことを言うのでしょう♪
お店の手前がバーになっていて、その奥のカウンター内では原始の時代さながら、直火で調理する特注のグリル器がフル稼働! この調理法ならば、ダイナミックさが身上の地中海料理にはうってつけ。新鮮な上質食材だけを使った奇を衒わない薪料理の数々を、めいっぱい楽しみましょう♪
ワインは共同オーナー兼ソムリエのアンナさんがヨーロッパ各地の小規模ワイナリーのものを厳選。バイオダイナミック農法でナチュラル・ワインを造る生産者がお気に入りなのですって。自然のリズムとテロワールへの敬意があるワインは、安心していただけますね。
ワインリストは定期的に見直されるので、新しいナチュラル・ワインを試したい好事家は通ってしまうかも・・・
お料理は南米や地中海諸国にインスパイアされた南国風。パイナップルを発酵させた「テパシェ」を載せ、軽さを際立たせたオイスター、よく熟れたトマトにイチゴを合わせた面白いサラダ。丁寧な仕事が目立ちました。
直火で調理された鴨の胸肉は果てしなくテンダー。不必要な脂もしっかり落とされ、職人の火技が光ります。甘味のある赤ワインのリダクションには黒ニンニクのピュレが加わって深みが増し、行儀よく添えられた生のブドウと一緒に鴨肉を頬張れば、ほろほろの肉とジューシーな葡萄テイストが相まってお口の中は極楽状態に。とてもよく考えられた一皿でした。
石造りの内装がホリデー気分を誘ってくれる小さなお店。こじんまり居心地が良く、スタッフも全員フレンドリーでありがたかった。日本人のスタッフさんが偶然いて! 本当に丁寧に対応してくださったのも嬉しかったです。
今後は美味しいワインとおつまみをいただきに、フラッと立ち寄ってみようかな。カウンターの止まり木に。