Millie’s Lounge, The Ned ミリーズ・ラウンジ(ザ・ネッド)
こんなホテルどこにもない。そう確信できる、シティに佇む五つ星ホテル「The Ned」。ホテルの正面エントランスを入ると、突然この風景👇 エレガントなバーが両脇に続く花道をひたすら歩いていくと、その奥に、ようやくレセプションが見えてくる。ホテルとしては異例の造りだと言わざるを得ません。
こんなイカしたインテリアを考えつくのは、もしやあの団体・・・? ふと頭をよぎったのがSoho House。調べてみると、やはりあの有名プライベート・クラブのオーナーが一枚噛んでいたのでした^^
ザ・ネッドの開業は2017年。250の客室をクリエイトした壮麗な建物は、もともと1924年にサー・エドウィン・ラッチェンスが設計したミッドランド銀行の11階建て本社ビルでした。2012年、ロンドナーに大人気の会員クラブ、Soho Houseの創設者であるニック・ジョーンズさんに “再発見” されるまで、約8年の間ずっと空き家だったとのこと。ニックさんは文字通り一目惚れしたそうです♡ その気持ち、わかります!
その後、ニックさんはソーホー・ハウス会長の投資家さんと相談して開発に乗り出したのだとか。素晴らしい完成度ですよね。このホテルには10軒のレストランやラウンジ、17 軒ものバー(!)が入っているそうです。私は上階には行ったことがないのですが、屋上にはもちろんテラス・バーもあり。しかしこの1階だけでもすごい数の飲食店が、ワンフロアにほぼ仕切りなしで混在していること自体、信じ難いこと。ロンドンに来られたなら、一度はこの空間を見にきてほしいです。
私自身は実は昨年、初めてこのホテルのことを知り、その後も気になって何度か足を運んでみました。いつも昼間だったのですが、今回は初めて、併設レストランの一つである「Millie’s Lounge」で木曜ディナー! いやはやシティが発する独特の活気に、まさに圧倒されてしまった次第。
食事はロンドン市内の高級ホテルやレストランを渡り歩いてきたエグゼクティブ・シェフのリー・ケブルさんが監修。いずれにせよ「間違いない」英国料理をいただける有難いレストランです。しかもリーズナブルに感じる!
この空間で、スターターは14ポンドから、メインもサラダが17ポンドから用意されており、メイン料理は24ポンドから。こんなところに、もしかすると最も敷居の低いメンバーズ・クラブであるソーホー・ハウス、ニック・ジョーンズさんの理念が反映されているのかも(ニックさんは2022年に全ての事業から引退されているようですが)。フラッと立ち寄れる気軽な上質レストランを目指す、ということです。
さ、他の空間も少しご紹介しましょう。
約28メートルという驚くべき天井の高さを利用した造りがとってもグラマラス。ホテル名の「ネッド」は、このビルの創造主である建築家エドウィン・ラッチェンスさんの愛称「ネッド」にちなんだものだとか。
そういえば「ゲーム・オブ・スローンズ」のエダード公も愛称は「ネッド」でしたね^^ エドウィンやエダードの愛称はネッド。西欧の名前の略し方なども何か法則があるのでしょうか。気になる。
ホテルはソーホー・ハウスと同様、アート・コレクションにも力を入れています。
「Vault 100」と名付けられた100点の作品の常設コレクションがあり、コンセプトがなかなかシティ的。金融業を含む英国の大手企業のCEOが、2016年当初は男性93名、女性は7名であったことから、その数字を逆説的に利用し、女性アーティストの作品を93点、男性アーティストの作品を7点集めたそうなのです。
この辺りも、自由な業風のメディアやデザインの世界で活躍する人が支持するソーホー・ハウスならでは。保守的になりがちなロンドン金融街の中心部で、英国のトップ女性アーティストが重用されているというわけ。
展示があるのは地下1階。トイレに行くときに右手に見える巨大なオリジナル金庫の扉を入った空間に、メンバーズ・オンリーのバーが作られているのですが、かつて貸金庫があった場所に作品が展示されているそうです。
The Nedの魅力、これだけでは伝わりきらないかもしれませんが・・・これからのフェスティブ・シーズンはこの豪華さが求められ、ますます盛り上がっていくことでしょう。
今度はPrinces Street側のエントランスから入った空間にあるバーに座ってみたいな。ロンドンらしいゴージャスをお求めなら、ぜひ♪