Belgrave ベルグレイヴ
ペルシャ王家の料理人の孫にあたるアミンとハニーのエブラ兄妹が、二人三脚で創り上げたとっておきペルシャ料理レストラン。セント・ジョンズ・ウッドからも歩いていける北西ロンドンの一画に、2016年末にオープンしました。
モットーは「ケバブだけがペルシャ料理じゃない!」
シェフのアミン・エブラさんは、もっと本国で身近な家庭料理に焦点を当てたメニューを開発。ここではイラン各地のペルシャ風シチュー「ホレシュト」や、オーブンで焼くライス料理「タフチーン」など、他ではなかなか味わえないイラン料理を提供していて本当に興味深いのです。
その個性は妹のハニーさんが手がけたと思われるインテリアにも反映されていて、どこか「中東ポップ」とでも呼びたくなるキッチュな趣。その全てがこの独立系レストランの強みなんですよね。

雨降る日に訪れました。これは閉店間際の様子。

ペルシャ宮廷との関わりを物語るインテリア。

中東女性へのオマージュ。
ここのお料理はイラン各地の様々な地域から集められたストーリーある本格家庭料理。今回は前菜的なものから、4種の盛り合わせを。私が最も驚いたのはオリーブを甘酸っぱいザクロ・グレーズとクルミのドレッシングでマリネした一品で、これまで食べたことのないお味。病みつきになる不思議なハーモニーを楽しみます。

4種の前菜持ち合わせ。オリーブのマリネ、ヨーグルト入り野菜ヌードル、ドルマ、ペルシャ風ナスのディップ
メインにはイラン・スペシャルの肉の煮込み+炊き込みライスの「Tahchin タフチーン」。お肉はチキンやラムを使うのですが、今回はラム肩肉で。ライスはヨーグルトや卵と混ぜてオーブンで表面がパリパリになるまで焼くのが伝統のタフチーン。ベルグレイヴのものはお肉の煮込みをメインにした変化形のようですが、これが美味しかった! ラム肉はあくまでも柔らかく、旨みが強い。ペロリと平らげてしまえるおいしさです♡
このタフチーンですが、ペルシャ時代の宮廷の料理人が生み出したという誕生秘話があるそうです。伝統の鶏肉ライスを作ろうとしたところ、水加減を失敗してお米をうまく炊けなかったので、ヨーグルトを足してお焦げ料理に仕立てたのだとか^^
レシピの誕生秘話「あるある」ですが、オーナー兄妹がペルシャ宮廷の料理人の孫だと思うと、少なくとも当店では大きな意義がありあそう。
デザートにはサフラン・アイスクリーム、そしてチョコレート・ケーキを! もちろん文句なく美味しい。
最後にお茶をお願いすると、素敵なポットで美味しいお茶を淹れてくださいました。そしてお茶請けには果肉がとても柔らかな珍しいナツメヤシも勧めてくださったんです。こういったナツメヤシはスーパーではなかなか手に入らないのですよね。
かなり個性的なベルグレイヴは、2019年にロンドン・アジアン・フード誌から「英国最優秀ペルシャ料理レストラン」を受賞。その後も常連さんに恵まれ、パンデミックもなんとか乗り切ったようです。
ペルシャやイランの料理に興味あるみなさんは、ぜひ!

オーナー兄妹とチームの写真も飾ってあります^^
【2025年追記】
ロンドン生まれのベルグレイヴは、2022年にアブダビに2号店を出店。大成功を収め、現在はドバイに3店舗目も確立。ドバイ・グローバル・ビレッジによって 「2023年度ベスト・ペルシャ・レストラン」を受賞。ロンドン本店はスタンダード紙による「ロンドンのベスト・ペルシャ・レストラン」のトップ10の常連です。現在はタフチーンももっと伝統に則った形で提供し、シチュー・セクションと分けているようです。