第14話「マイルールでいこう♪」

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Chapter 2.4
「マイルールでいこう♪」

「ミニマリストでいこう。」もすでに14回目。それにしても「実際にどうやって始めるのか」というのがなかなか登場しませんね(笑)。

ミニマリズム・ムーブメントをずっと追いかけてきて感じるのは「どうやって」よりも「なぜ」のほうがまず大切だということ。それなのに一般的に「なぜやるのか」についての説明されている比重が少ないなあ、ということです。

夢の人生を現実にしたい、軽やかに生きたい。そしてミニマリストたちはどうやらそれを自分のものにしているらしい…。

でも、全ての人にぴったりとくるミニマリスト・マニュアルやルールブックは残念ながらないんですよね(あったら便利だけど〜!)。チェックリストをすべてクリアしたら完了、という訳にはいかないんです。
これまで多くの方を観察してきて思うのは、その人にとっての「なぜ」が、ミニマリズムに限らず人生を動かすためのとても大きな鍵になっているということ。

そしてその「なぜ」は、一人一人違います。でも、大きくまとめてみると「豊かに、幸せに、自分らしく暮らしたいから。自己ベストのバージョンで生きたいから。」ということかもしれません。

以前ご紹介したドキュメンタリー映画「Minimalism: A Documentary About the Important Things(2016)」の中でも、様々なタイプの人たちがミニマリズムを取り入れ、その人らしい人生を実現しています。極端な例でいえば、4ヵ月ごとに住む場所を変えることを自らに課し、全財産はショルダーバッグ1つに収まってしまうという20代男性。もう1人は奥様と6人(!)の子ども達と賑やかな8人暮らしを送る40代のパパ。

お金持ちもいれば、貧困状態からミニマリズムを取り入れ挽回を計った人、環境活動からミニマリズムに行き着いたり、病気や失業、離婚といった人生の大きなターニングポイントからミニマリズムに至った人や、ファッションや音楽から入った人など、入り口だけでもいろいろ。人生に望むことだってその人や生活によってずいぶん異なります。
そしてこの「望み」を掘り下げていくとあなただけの大切な「なぜ」が見えてくるようです。

「なぜはともかく、望みならある。ミニマリズムが助けになるなら今始めてみたい!」という場合も、片付けやお金関連など物質的なハウツーについてはすでに多くの専門家がたくさんメソッドを紹介していますから、自分に合いそうなやり方を試したり、組み合わせてみるのもいいでしょう。お試しするだけでもいろいろ発見があるはず。
かなりドラマチックで、かつ楽しい始め方ともいえる「パッキング・パーティ」など、このコラムでもヘルプになりそうな例を少しずつご紹介していきますね。

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イラスト Ayako Nemto

また「なぜ」が今すぐ分からなくても、行動しているうちにハッキリしてくることもあります。

たとえばストレス源となっている金欠状態(=いらないもの)を脱出して豊かになろうと専門家のアドバイスを実践しているうちに(ローンを返済する、お金の使い方を見直す、なぜ使ってしまうか考えるなど)、お金が与えてくれる自由や安心感に改めて気がついたり、「いつもプチ贅沢することで気を紛らわせていたけど、本当はこれがやりたかったのか〜!」と発見したり、以前のコラムで登場した「どこからかやってくる不満足感」の正体を見つけることもあります。だからハウツーだってあなどれない。

でも、ルールに縛られる必要は全くナシ。

服を例に挙げれば、あなたがミニマリストでもファッション好きなら手持ちの数が多いかもしれない。一方で自分に似合う色と形がそろっていればOKという人ならそれなりに少なめでしょう。丈夫さや暖かさなど、機能性第一の人もいるはず。『ミニマリストを目指すなら服はモノトーンだけ」なんてこともありません。花柄、ピンク、はたまたカッチリ系でも、好きならそれで大丈夫!

試行錯誤する中で「あれ?必要と思っていただけだった」「好きだと思い込んでいたけど、違った」「実はこれが好きだった」と意外な真実に気づく場合もありますよ。

周りに迷惑や危害を与えていないのであれば、他人の意見は気にせず自分軸でオッケー。それがミニマリストの第一歩です。

周囲の目を気にして人並みであることを第一にし、現状維持に全力投入していると自分らしさが薄れて元気がなくなってきます。もしそう感じていたら、新しいやり方を試してもいいんじゃないかな。
とんがってみる、とかではなくフツーに自分で考えてみる。

「靴下はペアで一足と数えるの?それとも片足ずつでカウントするの?何足あればオーケーなの?」…自分で選んで決めていいんですよー! 数える必要があるのかすら人によって違います。

「何が食べたい?」
「誰と過ごしたい?」
「何が好き?」
「どうしたい?」
「何が大切?」

当たり前だけど自分の人生ですものね。マイライフ・マイルールでいいんです。

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About Author

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写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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