ヨーロッパでは、劇場に「足を運ぶ」ということが生活の一部になっています。その為、バレエやオペラのスクールマチネを希望する学校が年々増加傾向にあり、英国オペラハウスではプロダクション毎に開催を実施しています。本公演の前に行われるリハーサルを小学生たちに鑑賞してもらう「スクールマチネ」には、バレエやオペラを通じて芸術への興味を喚起し、素晴らしさを感じてもらおうという狙いがあります。
ここ日本では、まだまだ劇場に足を運ぶという習慣は根付いていないように思います。今回、東京の小学生の皆さんに本場のバレエを生で鑑賞していただこうと、「英国ロイヤル・バレエ」のリハーサルを鑑賞するプレゼントがありました。これは世界中で奉仕活動を日々行っているライオンズクラブの、日本の東京神宮ライオンズクラブが主催したもの。会場は世田谷区三軒茶屋にある昭和女子大学人見記念講堂で、2020年1月31日に開催されました。この講堂は、国内外と学園の文化・芸術を発信するコンサートホールという情操教育の教場として1980年に開館したのですって。
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昭和を発見!覚えていらっしゃいますか?「ピーッ!と鳴ったらもう1枚」!
一階席にはご招待された小学生の皆さん。私は青少年健全育成チャリティとしてドネーションする立場で二階で鑑賞をしました。私は小中学生の頃、バレエ漫画の最高傑作「SWAN」(週刊マーガレット連載 / 著者:有吉京子さん)を愛読しておりました。漫画で描き出されるバレエの美しさに感動し、ドキドキもし、大泣きもしました。今日というこの日にこの想いを共有できるバレエ経験者のお友達、ミホちゃんとリカちゃんをお誘いしました。
ミホちゃんは幼稚園のママ友達、かれこれ20年近くのお付き合いになります。以前は劇団四季にも通じており、舞台関係、ホールの裏方全般も熟知している人物。現在も本業は持ちつつ、「スーパーライブ笑!」と称する歌あり、踊りあり、コントあり。真面目な子供ミュージカルもありつつ、平均年齢52歳のおばさんダンサーズ30名程の舞台を操る座長でもあります。そしてミホちゃんとリカちゃんは20歳の時にロンドンまでロイヤルの舞台を観に行った、バレエに恋するお二人なのであります。
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一階席が小学生達でうまり始めました
開場と共に我ら3人は勇足で二階席を目指します。エリザベス女王がパトロンを務める、世界三大バレエ団の一つであるリハーサル風景を見ることができるのですから。
一番乗りだった為、ミホちゃんを真ん中にステージの真正面を陣取りました。ステージには本公演「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」の10名のトップダンサーと、今公演の企画者である小林ひかるさん。ピアノの音とトゥシューズが床を打つ音だけが響いています。練習着を身にまとい、そして何本ものバーの上を下をと、しなやかな足がバランスをとり、ピッ、ピッ!と細かい足さばきに、「スゴい!すごいね〜」とミホちゃん&リカちゃんは目を♡にしてうっとりモード。
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バーから手を離し、バランスしたまま足をピッ、ピッ、ピッ!
さて、ここからはミホちゃん&リカちゃんの解説によるリハーサル風景をご紹介いたします。
解説の後には、おふたりの熱い熱い「つぶやき」も挿入。ご一緒にお楽しみください♪
◆バーレッスンという準備体操について
(解説)
・プロも素人も必ず最初に、毎日、決まった順番でバーレッスンをしなければならない。
・すべてバレエの基礎で、地味なストレッチから足だけを動かす、足を少し上げる、など全身をだんだん動かす準備をして、最後に大きく動かす。
・バレエには足のポジションが1番から5番まであり、これは太陽王ルイ14世の時代に定められたもの。
(つぶやき)
♡バーレッスンの順番って、体の組織に理にかなったものだよね〜
♡英国はやっぱりロイヤルね!ロイヤルスタイル。ロシアバレエとも違う、オペラ座とも違う、基本は一緒なのだけど、ちょっとずつスタイルが違うの。
♡演目は同じでも、ロイヤルが表現するとこう!みたいなものがあるよね。アメリカのバレエ団が演ると同じものでも、ロシアが演るとそれぞれが違う。同じヨーロッパでもロンドン、パリ、イタリアとスタイルが違う。特にロイヤルは演劇の国なので演劇的な作品が得意だと思う。「ロミオとジュリエット」や「マノン」など。ロイヤルの「白鳥の湖」もとても素晴らしいんだけど、「ロミ・ジュリ」がお気に入り♡
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ウォーミングアップが終わり、いよいよセンターレッスン
◆センターレッスンについて
(解説)
・バーレッスンが終わると、バーから離れて行うレッスンのこと。アダージョ、ジュテ、ジャンプなど。これらの基礎レッスンが土台となり、美しい舞台が成り立っている。
・右をやったら左、前をやったら後ろ、前後左右同じ動きをする。公演では得意な方で回って飛ぶとかあるが、レッスンでは両方必ず行う。
(つぶやき)
♡センターになるとみんな脱ぐよね。バーでウォーミングアップが終わったから薄着で出てくるね♡
♡ほら、コロコロマッサージしてるよ!よくダンサーは足やお尻をコロコロマッサージしてるね。子供達一階でいいな〜、近くていいな〜。
♡高田茜さんが練習用シューズからトゥシューズにはきかえてるよ!
◆トゥシューズとバレエシューズ(練習用シューズ)の違いについて
(解説)
・バレエシューズは布や革で出来ており、足裏部分も柔らかく素足のような感覚で踊ることができる。
・トゥシューズは爪先で立つために作られているシューズで、爪先部分は糊で固められており、中敷きの下に板や皮が入っている。
(つぶやき)
♡トゥシューズも色々種類があって、演目やその人の足の癖、形によって自分の足に合ったシューズを探すのよね。そしてさらに細工をする。細工とは皆それぞれが違うのだけれど、これがいいよとか、こうやるといいよなど情報共有するの。先を縫う人もいれば、固すぎると芯の後ろ半分を取る人もいた。私も(ミホちゃん)ソールを無理やりめくってギコギコ切っていろんな細工をしたわ。なつかしい〜!
♡バーレッスンの時に履き潰したトゥシューズを履いているダンサーがいたけれど、ソールは固いので、足裏の力がとても強いのね。
いよいよ幕が上がり、「ようこそ」のアナウンスと共に小林ひかるさんのご挨拶が始まった。
今、ご覧いただいたバーレッスン、センターレッスンはロイヤルオペラハウスのバレエスタジオそのもの。
ダンサーたちはステージと変わらぬサイズのスタジオで、ステージ上の空間を感じながら練習に励むのです。
ロイヤルバレエ団のスタジオには欠かせないものが三つあります。
①ピアノ:生演奏で練習することにより、音感、リズム感に磨きをかけると同時に、感受性、表現力をピアノの音色が引き出してくれます。
②鏡:常に自分の体のポジション、踊りを確かめるのです。鏡は嘘をつきません。ダンサーにとって時には敵になったり、味方になったりという怖い存在でもあります。
③バー:バーレッスンという準備体操で使用する。
ロイヤルバレエ団にはこのような設備の整ったスタジオが五つあり、ダンサーたちは朝から晩まで公演に向けてレッスンに励みます。
小林ひかるさんのお話の後は、本番の衣装でトップダンサー10人による本公演のリハーサルです。このリハーサル後の1月31日夜、2月1日昼、夜に「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」の公演が開催されたのでした。
リハーサルではスクールマチネとして本公演で上演される演目の中から抜粋した作品集を上演。バレエには台詞がないので、音楽を使いながら体全てで表現していくのです。
衣装をつけての写真撮影は許可されていませんので、公演プログラムの写真と共に二人による「つぶやき」もどうぞ!
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This is Ballet!
高田 茜
3歳の時、「白鳥の湖」のテレビ放映で黒鳥のイメージが強烈的だったことがきっかけでバレエを始められた。9歳でコンクールに出て、舞台で踊る楽しさや、ワクワクする気持ちからずっと続けていきたいと思い、ダンサーを職業にすると決心される。ロシア留学後、英国ロイヤルバレエに入団、2016年にプリンシパルに昇格。体を動かす職業なので食は非常に大切。健康でないと表現もできないので常に気を使っておられます。(リハーサル上演時の小林ひかるさんとのインタビューより)
平野 亮一
大阪に生まれる。平野節子バレエスクールにて母節子様のもとで4歳から始められる。インタビュー中、「あまり覚えてない」と笑いながら何度も言葉にされていた様子がとても素朴で微笑ましかった。男の子としてバレエをするにあたり、「普通に抵抗もなく、遊び感覚で。」とさらっとお答えするところも平野さんらしい。海外に飛び立った時の抵抗は?という質問には、海外で学ぶということにウキウキしていた、今考えるとよくできたなと思います、と(笑)。2016年にプリンシパルに昇格。長身を活かしたダイナミックな踊りと、どっしりとした安定感のあるリフトで女性ダンサーの信頼が厚い。(リハーサル上演時の小林ひかるさんとのインタビューより)
・一幕
①「コッペリア」第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
② “Corybantic Games”
③「ライモンダ」第3幕グラン・パより
・休憩
・二幕
①「ラ・シルフィード」第2幕よりパ・ド・ドゥ
②「クローマ」よりパ・ド・ドゥ
③「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
④「白鳥の湖」より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ
⑤「春の水」
(つぶやき)
♡躍動感溢れる感じのチャイコフスキーの音楽がわかりやすいし大好き!
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ローレン・カスバートソン👑数々の作品で自身の魅力を存分に発揮
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ヤスミン・ナグディ👑クラッシックのラインが非常に美しい
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ウィリアム・ブレイスウェル👑ドラマチックな持ち味が魅力。2019年「ロミオとジュリエット」でロミオ役としてスクリーン・デビュー
(つぶやき)
♡1996年ロンドンで「パゴダの王子」「ロミオとジュリエット」「三人姉妹」を観たわ。「ロミオとジュリエット」はバルコニー席で観たけれど一幕が終わったら私達目が😍😍😍になったよね。思わず出待ちしてロミオと写真とったね。当時、ジュリエットはリヤン・ベンジャミン、ロミオは ブルース・サンソムだった。
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マヤラ・マグリ👑ダイナミックなテクニックが定評
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メリッサ・ハミルトン👑並外れた身体能力とラインの美しさを保持
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アクリ瑠嘉👑2019年ファースト・ソリスト昇格。同年11月「コッペリア」で主役デビュー。キャリアを積み重ねて将来が楽しみなダンサー
(つぶやき)
♡当時ロイヤルには一番外側の赤い幕を引く「幕引きおじさん」がいてね、イギリス議会のバッハみたいなカツラをかぶって、ロイヤルな服を着てた。今はどうかわからないけれど。(笑)
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フェデリコ・ボネッリ👑小林ひかるさんのご主人様。絶妙なサポート力と女性を支えながらご自身の存在を表現できる素晴らしさ。2019年吉田 都さんの引退公演でパートナーを務めた。
♡ミホちゃん&リカちゃん曰く、「今回の企画者でもある小林ひかるさん、活躍中の高田茜さん、平野亮一さんは本当に素晴らしい。吉田都さんが道を切り拓いて、今、高田さんと平野さんが繋いでいるのよね!」
本公演ほど素晴らしいものはないけれど、スクールマチネで知る間近の世界トップダンサーの姿は驚きでしかなかった。「知る」とは自分の世界観を一変させてしまうようだ。一階席の君たちがいつか本物の舞台を大切な人と観るであろう時が来る時、きっとこの日を思い出すに違いない。或いは衝撃を受けて、この中から未来のダンサーが誕生しているかもしれない。一階席で鑑賞していた君たちはラッキーだ!
「平野亮一 LIFE IN UK」もうご覧になりましたか?
平野亮一さんの公式ブログが「あぶそる〜とロンドン/Absolute London」で連載中です。バレエの世界も外出制限。亮一さんの過ごし方もチェックしてみてください。
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「イギリス的、ロックダウンの過ごし方」
最後に「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」の10人目のダンサーのご紹介。彼は感情表現の奥深さが素晴らしく、海外公演に頻繁にゲストとして招かれ主演を務めている。つい先日、ミホちゃんからこんなメッセージが届いた。「あの時に観たワディム・ムンタギロフさんが、“おうちでバレエ”の動画をあげてるよ、楽しんで観てるよ〜」と。お家なのに全力ジャンプ!天井突き抜けないか!床大丈夫なのか!さすがプリンシパル!を皆様もご一緒にお楽しみください。そしてミホちゃん&リカちゃん、ご協力ありがとう!
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インスタグラム:vadimmuntagirovofficial
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ワディム・ムンタギロフ👑