【新連載】ゴスペル、キラキラ、そしてPenny 〜 チャールズ3世国王 戴冠式 〜

0


初めまして、Naoriと申します。ちょっと変わった名前なのですけれど、人生もちょこっと変わっています。日本を20代初めに出国して以来人生の荒波の数々を乗り越え早、半世紀。在英30年弱のわたしが日々移り変わる出来事について、思うまま野に解き放つ。「ぷっ」と吹き出して「くすっ」とくるような連載になるといいなぁ、と思う次第です。去年の秋からnoteで文章を載せ初めたのをきっかけに、あぶそる〜とロンドンさんとご縁がありました。もし、他の記事にご興味があれば記事の最後のQRをスキャンしてくださいね。

さて、今年のロンドンは、冬が長すぎた!これを書いている5月下旬、ようやく花が咲き誇り木々の新緑が、風にゆっさゆっさと揺れる今日この頃。今月のメインイベントはなんといっても、キングチャールズ三世の戴冠式じゃないかな。

この数年、英国のロイヤルイベントが目白押し。5月6日はキングチャールズ三世の戴冠式が、ロンドンのウエストミンスター寺院で行われた。去年は故エリザベス二世の荘厳な葬式が繰り広がれたあの場所。見るつもりはなかったんだけど、なんとなく朝食を食べながら(デジタル)新聞を読んでいるとLiveの赤文字。そして見だしたら止まらなくなってしまったのよ。

私が話題にしたいのは、王や女王のことではなくてメディアの目をかっさらった、Penny Mordauntのこと。儀式の中で聖剣を持ってティール色(青緑)の服を着ていた女性。保守党院で枢密院議長(Lord President of the Council)、今回この聖剣を手渡す役目を授かる。これは有史以来、女性で初めて。この聖剣は数々の宝石で覆われていて、重さ3.6kg、新生児と同じぐらいの重さなのである。それを彼女は合計51分の間、微動だにせず胸の中心に捧げ持ち続けたのだ! 50歳だよ、彼女。

すごく英国っぽいのは、主人公のロイヤルファミリーなんかそっちのけで、もういろんな人が彼女についてコメントしていること。

ほとんどの人が、大絶賛。選んだ洋服とローブのセンス。歴史的には黒に金か銀の刺繍なのだけど、彼女が身につけていたのはとてもモダンでシンプルなティール色(青緑)。史上初の女性というこどだけでは無く、形式やしきたりにとてもうるさいここ、英国。未だに法廷弁護士はモーツアルトのようなかつらをかぶって仕事をしている国、英国。あえて、今までの伝統を変えていくぞ!的な意気込みがここでも垣間見える、チラリズム。大胆でブレていなくて、筋の通った女性議員という印象を私は持ったんだけどね。

いかにも英国風なシニカルなコメントのほうがメディアの中では多い印象だったわぁ。そりゃそうだ、オールドボーイズネットワーク(英国パブリックスクールでのエリート仲間)社会が根強く残っているんだもの。女性としてすごく腹立たしいのだけど、その目の付け所に思わず吹き出しちゃう自分もいたりして、情けないわぁ。
ここにちょっと紹介するね。

「Pound Land(£1ショップ:日本の100円ショップみたいなもんですわ)世界的プロモーションも兼ねているのか!」

労働党員のクリス•ブライアント(Chris Bryant)は控えめな感じで、

「ペニーは手に持っている聖剣より強そう!」

そして、女流作家のケートリン・•モラン(Caitlin Moran )は

「ペニー・モダナットの聖剣は、ピッパ・ミドルトンのお尻」

*ピッパ・ミドルトンとはウィリアム王子と結婚したケイト妃の妹。覚えているかしら? ウィリアムとケイトのロイヤルウェディング? ウェディングドレスの長い長い裾を持つ役目だったピッパ。ウェストミンスター寺院に入る階段を登る後ろ姿を世界中が見惚れてしまったあの、お尻のカーブ。

そして、いかにも英国風に皮肉った冗談は、

「ペニーは聖剣を、リズ(前首相、Liz Truss)が政権を取っていた時間より長く持っているじゃないか!」

(聖剣と政権、日本語に訳すともっと韻を踏めるなぁ)リズはたった49日間の、史上最短な元英国首相。そして彼女の行った金融政策のダメージは破壊的だった。

かつての労働党の情報操作アドバイザー(スピンドクター)アリスター・キャンベル(Alastair Campbel)は

「この世の何人たりとも、私が保守等に対して僅かならずもポジティブなこと発言したとは言わせない。しかし、Panny Mordanuntの肩と腕の強さだけは、和畏敬の念を抱くよ。」

いかにもオールドボーイズっぽい、女性を卑下した様な嫌なことを平気で言ってのけるわ。かつて、英国をブレグジット(EU離脱)の地獄へ突き落とした、保守党デビット・キャメロン(David Cameron)元首相は、国会会議中に女性議員に言い放った言葉が叩かれた。それは、、、

‘Calm down dear.’ 「まぁ、まぁ、落ち着いて、お嬢さん」

このキャッチフレーズは、当時テレビの保険会社のコマーシャルにも使われていて、言われた方はちょっと女性蔑視と受け取られる確率が高いフレーズ。まぁ、元首相が議論の白熱した場を、ジョークで乗り切ろうとしたのか?との見方もあるが、もしそうでもセンスないわぁ。セクシストかどうかは、ここでは突っ込まないこととするけどさ。でも家庭内の会話が手に取るように分かる気がするわぁ。

あ、そう言えば、戴冠式の記事や映像に歴代国家首相が映っていたけど、このキャメロン夫妻(通称、SamCam)は全然映ってなかったわ。メディアの配慮かしらねぇ。

などなど。英国王室は、何かと話題を提供してくれるのである。
曲がりなりにも、英国はヨーロッパの国々のある程度の大きさの国のなかで、未だに唯一の君主制国家なのだよ。

あのキラキラの宝石、何個か売れば私達下々の暮らしも少しは楽になるのかもしれない。
え? もしかして、君主制国家が崩れたらあの金銀財宝は民のもの? わぁお〜ん

 

 

 

Share.

About Author

アバター画像

鳥取県出身。芸術家、通訳者。日本、米国、ジャマイカ生活を経てロンドン暮らし、ほぼ30年。国内外で旅行、広告会社勤務の後、ロンドンで子育てをしながらアートの学士と修士号を取得。芸術活動、通訳、講師の傍、大学院でネパール行きの奨学金を賞与されたのをきっかけに、社会的企業「Studio23」を2008年に立ち上げ、ネパール山岳地帯の伝統テキスタイルの持続と環境保護の活動をしている。ここ5〜6年はチベット仏教と瞑想を通して、身体で感じる世界を模索中。

ウェブサイト ブログ

Leave A Reply

CAPTCHA