かのジェームズ・ボンドが愛飲するというマティーニ。一体ロンドンのどこで飲めるのでしょう? それは紳士に愛されるセント・ジェームス地区、老舗ホテルのデュークス内のバーをおいてほかにありません。
ボンドの生みの親であるイアン・フレミングが通ったというディークスは、心地よく身を沈められるソファと木のテーブルが並ぶクラシックな佇まい。ジョージ王朝時代にタイムスリップしたかのような錯覚を覚える由緒あるバーです。
ここを訪れる人の大半が注文するというマティーニは数種類あり、中でもシグネチャーはかつてサンデー・タイムズが「世界一のマティーニ」と評したデュークス・マティーニ。これは冷凍庫でトロリとするまで冷やしたジンをベースに、ドライベルモットやレモンピールを加えたもので、氷もステアもなしというのがお約束。
ジェームズ・ボンドとのつながりを伝える一杯は、イアン・フレミングの名を冠した「Fleming89」。こちらはウォッカをベースにした新感覚のマティーニで、やはり氷もステアもなし。カウンターに座らなくても各テーブルまでバトラーが材料を運び、目の前でカクテルを作ってくれる醍醐味は、なかなか他では味わえません。
ただし、ここのマティーニはすべて6オンスの大グラスで供されるので、ジンやウォッカのほぼストレートであるドライ・マティーニはよほどアルコールに強い人でなければ1杯を飲み干すのが難しく感じるかも。そんな心配もロマンチック・デートには無用かもしれませんが……。熟練のバーテンダー氏との会話も乙なもの。ときにラウンジに案内されるのを待たなければならないほどの人気バーなので、ゆるりと時間のあるときのスペシャル・リラックスに、ぜひ☆