The Pelican ペリカン
どこか面白そうなレストランがないかとリサーチするとき、以前ほど東ロンドンを見なくなりました。「ヒップな」というと、これまでは自動的に東ロンドンにあるお店に付ける形容詞でしたが、最近は絶対的に西! またしてもノッティング・ヒル界隈が賑やかになってきています。
本日ご紹介するのは、そのノッティング・ヒルの北側に2022年にオープンしているガストロパブ「ザ・ペリカン」。住宅街の中に佇む典型的なご近所さん御用達パブなのですが、実はどっこい、今をときめく話題のガストロパブなのであります。北ロンドンからだって、遠征しちゃう^^
シェフのOwen Kenworthy / オーウェン・ケンワーシーさんは、東ロンドンの大人気レストラン「Brown」の創業シェフであり、長らく業界で活躍してきた大ベテラン。共同オーナーさんたちも、これまで国内外の外食産業で成功を収めてきた男性グループです。
パブ自体はこの地で1872年から営業しているそうなので、その歴史はざっと150年! ヴィクトリア朝まっただ中に創業した由緒あるパブが、チャールズ3世の2020年代に、新たなスタートを切ったというわけ。
このパブには、2度魅了されます。まずはそのインテリア。テーマカラーはペールピンク。いや、穏やかなテラコッタカラーか? その田舎風シックは隅々までゆき届き、高い天井が創り出す鷹揚な空気と相まって、伸びやかで非常に居心地が良い。
私が訪れたのはちょうど2カ月ほど前、3月後半のある日でした。ロンドンにお住まいに皆さんなら、覚えていらっしゃるでしょう。今年の春の訪れがいかにゆっくりしていたか。3月も終わりに近づこうというある日、気温も低く、雨が降ったり止んだり、晴れ間が見えたと思ったら急に雨雲が大きくなったり。そんなイギリスらしいお天気の日だったのです。
日本から出張で訪れていた友人はしっかりと暖炉のそばに陣取ってくれていて^^ 後から来た私もそこに有難く滑り込み。暖かい焚き火のそばで生牡蠣を頬張るという究極の贅沢を味わえたのです♡
こうしてテーブルに着いた後で魅了されるのは、食べ物の美味しさ! ペリカンに来てほしい本当の理由でもあります。メニューはブリティッシュ&ヨーロピアン。とっても誠実で考え抜かれた、シンプルなパブ料理を味わうことができます。
従来のパブ・キッチンと大きく異なるのは、野菜料理が充実していること。英国伝統のパイ料理も、定番メニューの1品に、本日のおすすめが加わるはずです。料理はいずれも美味でした。いかにもイギリス人たちが好きそうなメニュー構成。シンプルで飽きがこず、一口食べて美味しいと感じる料理です。
食材はすべてサステナビリティを考慮している国内生産者から調達。取引先は慎重に選び、ネットゼロを目指すのは、昨今の心ある企業であれば当たり前です。現在は生物多様性を考えた再生農業に力を入れているオックスフォードシャー、グロースターシャーにある農場と提携。どちらも創業チームの出身地に近い場所にあるそうなので、ここにもご縁があるわけですね。
お腹に余裕があれば、ぜひブリティッシュなプディングを♡ 伝統的なショートクラスのアップルパイは、想像通りのお味で絶品でした!
「優れたパブが地域コミュニティの基盤であるべき」という理念のもとに運営されているペリカン。まさにパブ本来の在り方ですよね。1世紀以上に渡って地域の変遷を見守ってきたこのパブが、21世紀の今、またコミュニティの一員として大きく貢献しようとしている。そんな意気込みにあふれたイベントも折に触れて開催されているようです。
例えばピラーテスやヨガのクラス、面白そうなドリンクがらみのゲーム・ナイト、アート展示、スピード・デート、映画上映会、子供向けイベントなどなど、盛りだくさん! 2階にはとっても素敵なファンクション・ルームもあるので、貸切イベントにも最適なのです♪
冒頭で西ロンドンが今熱いと書きましたが、人気の中心になっているのが、雑多の魅力のあるGolborne Road。今をときめくStraker’s、The Counter、Caiaなど、精鋭揃い。近くにはDorian、Layla bakery、Secret Sandwich Shopなどの珠玉のお店の数々が。もっと西のShepher’s Bush、Queens Parkあたりもトレンディ化していますね〜。
ヒップなのはもう東じゃない!? そんな予感のする今日この頃。そんなことについてはまた、別の機会に書いてみます〜^^