イギリス人が考える「いいパブ」の条件って何だと思います? 美味しいビールを置いている、カスク・エールの種類が多い、独立系である(大手メーカーの所有ではない)、雰囲気がいい、集まってくる人の層が好み、ランドロードが魅力的などなど、いろいろな条件があります。おそらく、これらの条件を少なからず全部満たしているのが、北ロンドンのケンティッシュ・タウン・エリアにあるサウサンプトン・アームズです。
英国地方都市の金太郎飴化にアンチテーゼをとなえるオーナー氏が独立系パブとして2009年にオープンしたサウサンプトン・アームズの最大の魅力は、イギリス各地の小規模醸造所の銘柄だけを集めたこだわりのコレクション。
しかも「エール&サイダー・ハウス」を謳っているだけあり、扱っているのはカスク・エールが約10種、サイダーが約8種と大半を占め、ラガーは1、2種だけ。あくまでイギリス伝統のエールとサイダーを飲んでもらいたいというオーナー氏のこだわりに共鳴したビール好きで毎日溢れかえっている名店なのです。
私がこれまで北ロンドンで見てきた数々のパブの中でも、5本の指に入る本当に「いいパブ」ですよ ^^ どこがいいかと聞かれると細かいニュアンスを言葉にしづらいのですが、建物、店の構造、客、スタッフ、インテリア、時折入る生演奏など、すべての要素が心地よく混ざり合って素敵な空気感を作り出している……偶然このパブを見つけて入った旅行者が最高の英国パブ経験ができるくらいには。
昔ながらの取っ手付きグラスで飲むエールはまた格別。年越しにもぴったりじゃないですか?