第81話 Aberffraw cakes ~アバフローケーキ~

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okashi


<Aberffraw cakes アバフローケーキ >

ビスケットと紅茶なしでは日も暮れない国イギリス。そんなビスケット大国イギリスの最古参と言われているビスケットが近頃急にフィーチャーされています。イギリス一古くからあるビスケットと聞いたら、特に甘いもの好きでなくとも気になるもの。ましてやビスケット好きを標榜する私としては飛びつきたくなるような話題です(笑)

貝ガラで型をとるなんて、海沿いの村らしいアイディアですね☆

貝ガラで型をとるなんて、海沿いの村らしいアイディアですね☆

800年の歴史をもつというそのビスケットは長いこと静かに眠っていたのですが、可哀想に(?)昨今のイギリスのベイキングブームで揺り起こされてしまったよう。その名は「Aberffraw cakes」またの名を 「Teisen ’Berffro」。このイギリスお菓子百科でも何度か登場してきたので憶えてしまった方もいると思いますが、Teisen=ウェールズ語でケーキの意。つまりこのお菓子はウェールズ生まれ。’Berffro はウェールズの北西部Anglesy 島にある村 Aberffro(Aberffraw)の省略版。つまり「Teisen ‘Berffro」はAberffraw 村のケーキということ。13世紀にAnglesyで生まれたと言われるこのお菓子は、正確にはケーキというよりはビスケットのようなもの。貝の形をしており、Aberffraw 村のannual fair(お祭り)で毎年売られていたそうです。現地ではCragen Iagoと呼ばれるホタテ貝の貝殻に生地を押し付けて作られるそれは、材料はシンプルに小麦粉とお砂糖とバターのみ。バターたっぷりのリッチなショートブレッドのような配合です。なんだかフランスのマドレーヌをも思い出す、しゃれたお菓子に見えなくもありませんね。

真偽のほどは定かではないけれど、一番古いと言われると食べてみたくなりますね(^^

真偽のほどは定かではないけれど、一番古いと言われると食べてみたくなりますね(^^

ウェールズの端の端、大分辺鄙な土地に思えるこのAberffraw 村は実は中世の時代、ウェールズをまとめるGwyness王国の首都であり、ウェールズの政治の中心として栄えた土地。ウェールズの王が居を構えていました。言い伝えによると~そのAberffraw村の海岸を散歩されていたお妃さまが美しいホタテ貝の貝殻を手に取り、これでお菓子を焼くようにと臣下の者におっしゃったのが始まりだとか、、。他の説によると~ホタテ貝といえばガリシアのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼者のシンボルマーク。敬虔なキリスト教徒だった領主Gruffudd ap Cynan(1075-1137)とその息子Owain Gwynedd(1137-70)の時代、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路を思い起こさせるロマネスク様式の石造りの教会がAberffraw村に建てられたのに関係するとも言われています。この巡礼路はフランス語で Le chemin de Saint Jacques(サンジャックの道)と呼ばれていますが、サンジャックはホタテ貝の意味。巡礼を暗示するホタテ貝の形のお菓子がこの村に生まれたのは偶然ではないのでしょう。

さすが現代、アバフローケーキとバラブリスのフュージョンまで登場☆

さすが現代、アバフローケーキとバラブリスのフュージョンまで登場☆

いずれにしろイギリス一と言われる長~い歴史を持つこのビスケット、誕生の秘密はおそらくこれからもしっかり口を閉じたホタテ貝の中。今は古くて美味しいこのビスケットが世に出回り、スーパーでさえ気軽に買えるようになったことだけで有り難しとしましょうか。それにしても、このお菓子が生まれたのは紅茶文化が広がるずっと前、みんな、ビスケットのお供には何を飲んでいたのでしょう~ビール、ワインそれともミルク?やっぱりわたしは紅茶がいいなぁ~☆

 

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About Author

yasuda mariko

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ http://galettes.exblog.jp/

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