コロナの影響を受けるイギリス庶民の生活

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ボリス首相のロックダウン緩和計画が発表されてから、街中の人通りはもちろん車の数は日に日に増加しています。しかしロンドンのバスは、4月20日から今まで乗車専用の入り口だった前のドアを封鎖し、真ん中のドアのみを乗車降車の両方に使うことになりました。車内は運転席の周囲に近づけないように立ち入り禁止テープが貼られ、運転席の脇に設置された料金支払いの機械に料金を払うことも中止されたので乗車は無料になりました。

これはなぜかと言うと、国家統計局の発表によると新型コロナウィルスで死亡してしまったレートの一番高い職業は、セキュリティガード、ケアワーカーそしてバスドライバーなので、彼らを出来るだけ新型コロナウィルスから守ろうという措置が取られたのです。車内には「どうしてもという用事以外は外出しないでください。家にいてください。命を守ってください」という放送が繰り返し流れています。

ロックダウンが始まった時に70歳以上の方は40日間外出しないようにと言われておりました。当時は冗談じゃない!と怒りの声も聞かれましたが、イギリスの新型コロナウィルスによる死亡者は5月16日現在で米国に次いで2番目に多い33,998人。お友達のお父様は新型コロナウィルスが発症して24時間も経たないうちに絶命されてしまいました。新型コロナウィルスに感染したのではないかという不安のため、パニックアタックを経験する人も少なくないそうです。新聞にはロックダウンの中、少しでも快適に過ごせるようにとアドヴァイスをまとめたコラムも掲示されておりました。

ロックダウンの始まる前からスーパーの棚はどんどん空になり、特にパンを焼く小麦粉やイーストは瞬く間に売り切れとなりました。近所のスーパーに強力粉が戻ってきたのはつい最近のことです。自分でパンを焼くヴィーガンのリチャードさんは齢73歳。小麦粉が姿を消してしまい途方に暮れておりましたが、わたくしの近所にあるオーガニックの商品を販売する店が独自のブランドの小麦粉を販売していたため、無事にお届けすることができました。

リチャードさんはパーキンソン氏病を患っているのですが、新型コロナウィルスのせいで病院のアポイントメントが随分先になってしまいました。そしてわたくしのもう一人の友人は前立腺ガンの再発が疑われており、病院で精密検査を4月にするはずだったのですが、こちらも延期されて8月。イギリスのNHS(National Health Service)はそれでなくても対応がゆっくりなのですが、新型コロナウィルスのため一般の患者への対応はますます遅くなっていることでしょう。新型コロナウィルスに感染されて重症化してしまうことはことはとんでもない悲劇ですが、その他の病気に苦しむ方々に手が回らなくなってしまうということが実際に起きてしまっています。

窓には新型コロナウィルスの収束の希望を広める(spread hope)子供たちの手によって描かれた虹の絵が貼られ、そして歩道のあちらこちらにNHSへの応援がチョークで書かれております。命を落とされた方々に心からご冥福をお祈り申し上げます。1日も早く新型コロナウィルスによる被害が終息いたしますように祈る気持ちは日増しに強くなるばかりです。

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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