英国らしい秋の果物ナンバーワンはこれ

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10月になり、そろそろハロウィーンの飾りを街で見かけるようになりました。

11月1日の万聖節はキリスト教の祝日ですが、ローマ人やキリスト教が到来する以前から、英国の土地に住んでいたケルト人文化に由来するサゥイン祭というものがあり、この日は秋から冬への節目でした。春から夏へという5月のメイデーの真逆になります。

近所だけでも種々のりんごが見られます。

土着文化としては、収穫祭でもあったこのお祭り。背景としては、冬へ移る時節になると死者がこの世に戻ってくるという民間伝承があったようです。それがサウィン祭の前夜祭であるハロウィーンに受け継がれて、後にアメリカで盛大なお祭りとなり、近年イギリスに逆輸入された形となっています。

話かわりますが、これまで人からもらったアドバイスのなかで英語を身につけるために効果的だったのは、「英語を」学ぶより、「英語で」好きなことや興味のあるテーマについて読むというものでした。

そこで学生時代のわたしは、アガサ・クリスティーのミステリーと料理本を英語で読むことに決めたのです。

クリスティー愛読者ならご存知の通り、彼女の作品は犯罪ものといえどもイギリスの文化や風習が魅力的に描かれる作品ばかり。暴力シーンなどは出てこない、のどかな時代のミステリーです。

たとえば「ハロウィーンパーティ」という作品が名探偵ポワロシリーズにあります。イギリスでは、りんご食い競争があると知ったのも本作品でした。季節行事や魔女狩りの歴史的モチーフが効果的に殺人事件のストーリー展開に組み込まれていたのが印象的でした。

子供達が仮装して集まる冒頭のパーティ場面で、収穫祭に関連する果物にちなんだ伝統的な遊びがいくつか描かれます。

そのひとつが「アップルボビング」。

我が家の庭になったりんご。今年はりんごの当たり年です。

水を張った桶にりんごをいっぱい浮かばせて、手を使わずに口だけでりんごを取るというゲームで、わが村の小学校行事などでも目にしたことがあります。小説では、殺人を目撃したと言った子供が、この桶に顔をつけて窒息死させられるという、悲惨なエピソードから謎解きが始まります。

(ドラマ化は「名探偵ポワロ」ドラマシリーズ第63話として2010年発表)

もうひとつ英語の勉強と称して始めたのは、料理本を英語で読むことです。

日本のレシピ本と違って、こちらのお料理の本は読んで面白い本がたくさんあります。食いしん坊のわたしは、寝る前にベッドで料理本を読むのも大好きです。

その当時買った本で、A Harvest of Apples(ペンギン社絶版)というりんごの料理本は今でも、わたしのキッチンで活躍しています。

りんごの歴史や園芸種について、お菓子だけでなく、お料理も紹介されています。りんごを使った前菜、サラダ、メインコースのレシピなど、りんご好きを唸らせる本なんです。

各国で国民的に愛される果物があると思うのですが、イギリス人にとっては、断然、りんごです。

ちなみに、りんごの種類も3000種以上あるそう。日本ではフジと紅玉を中心に数種類しか思い当たりません。ところが、こちらでは大別して料理用と生食用があり、それぞれに数百種類以上のバラエティーがあるといい、合わせると数え切れないくらいの種類があるのです。

実際に近所を散歩していると、名前もわからない色々なりんごが庭や野原に植わっているのが見つかります。今年はりんごの当たり年らしく、食べ切れない分を庭先に「Help Yourself ご自由にどうぞ」と出しているご近所さんもあります。

さて、りんごといえば、わたしの独断と偏見で英国菓子NO.1 に輝くのがアップル・クランブルです。これは、温かいものをいただくもので、プディングの一種となります。イギリスでプディングを言った場合は温かいデザートのことを指し、伝統的にはカスタードクリーム(これも温かいソース)を上からたっぷりかけていただきます。

アップル・クランブル

【材料と作り方】(レシピは前述の本による)
●準備として、オーブンを200℃に予熱し、深めの耐熱皿にバターを塗る。
●紅玉など酸味の強いりんご(クッキングアップル)450gの皮をむき、一口大に切ったものを型に入れ、砂糖と水、各大さじ2、シナモン小さじ1をまぶしておく。
●ボールに、冷たい無塩バター60gと小麦粉150gを入れて指先で揉み込む。塩ひとつまみ、砂糖大さじ4を加えて、パン粉のようになったら、1のりんごの上に手で押し付けるようにのばす。
●バター15g をさいの目に切って、ぽんぽんと上に散らして、予熱したオーブンで30分程こんがり焼く。

日本でも手に入りやすい材料で簡単にできますので、ぜひお試し下さい。シンプルに煮りんごなども、夏に溜まった熱を冷まして、内臓を整えるので、アーユルヴェーダの立場からも、この時季にりんごは理にかなっています。

アップルクランブルは、イギリス家庭では定番の温かいデザート。カスタードを添えて。

この記事を書いていたら、またポワロシリーズを手にとり読書の秋に浸りたくなってきました。

では、また次回まで、ご自愛くださいませ。

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About Author

ラベンダージョーンズまりこ

ヨガセラピスト、アーユルヴェーダヘルスコーチ。がんフレンズネットワーク主宰。神奈川県逗子市の海辺育ち。2013年から英国ロンドンとコッツウォルズの田舎でのデュアルライフを実践。皆さんが「今・ここ、この季節のじぶん」に必要なセルフケアを選んで実践できるように、身体からのアプローチで習慣を変えるコーチングを得意とする。身体も心もアイデンティティも進化させるオンライン講座、メルマガやブログ記事を英国から発信中。大好きなものは、野草摘み(Foraging)、手作りスキンケア、海、オペラ。

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2件のコメント

  1. ラベンダージョーンズまりこ

    りんごジャム10壜ですか〜!
    手作りの品で豊かな食卓になりそうですね。

    砂糖なしで煮込んでソースも良いですよ。英国式だとローストポークに添えるのが定番だけど、ヨーグルトにかけても美味♪

  2. お林檎収穫ご苦労様です。
    先週、30個の林檎を庭の木から頂き10ボトルズの林檎ジャムを作りました。
    さらに今日、林檎15個を収穫したのですが、この林檎さんたちで何を作ろうか迷っています。
    お菓子にしても、我が家は誰も手を出さないし…..
    林檎ジュースにするくらいしか思いつかない….

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