世界的な茅葺きマスターに聞く、英国の伝統

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日本は夏真っ盛りかと思いますが、こちらは夏も終わりの気配です! 皆さまいかがお過ごしですか?

村の中のいつもの散歩コースを歩いていたら、茅葺のお宅で屋根の修復作業が始まっていました。

英国に住んでいると、300年以上も前に建てられた古い家の茅葺き屋根がきれいにメンテナンスされていることに、いつも驚かされます。コッツウォルズに限らず、イギリスの田舎に行くとたくさん見られるのです。

新築物件よりも古い家が尊重される英国では、Thatched houses=茅葺きの家は根強い人気があります。とはいえ、メンテナンスにかな〜りお金がかかるので、責任持って大切に古い家を守る覚悟が要りますが。

茅葺きという手法はヨーロッパだけでなく、日本にもありますね。たとえば、合掌造りで有名な世界遺産、日本の白川郷へは世界中から観光客がやってきます。伝統的な家並みが古くて新しいということで注目を浴びているのでしょう。

このお宅のご主人は、ダンカンさんという方です。修復作業は天候にも左右されるので、8月初旬に始まった今回の修復は余裕をもって2ヶ月の作業期間で依頼しているそう。4人の職人さんが1日中かかりきりで作業するのです。まさに伝統的な手作業です。

左から2人目がお弟子さん達に囲まれたジョーさん。右は家主のダンカンさん。

記録によると最後に屋根を葺替えたのは50年前で、ダンカンさんご夫婦がこの家に引っ越して来るはるか前でした。今回の修復作業にあたり、いくつか業者さんから見積もりを取り、地元で何世代にも渡って茅葺きの実績がある職人業者さんにお願いすることにしたそうです。現在の親方はジョー・ソーントンさんという方です。

この日は絶好のチャンス!とばかりに、1日の仕事を終えてパブで一杯やっている親方のジョーさんと、彼の弟子の皆さんに突撃インタビューさせていただきました。

聞くとフルタイムの茅葺き職人は英国全体で約1000人。そのうちマスターと呼ばれる職人さんは800人足らずとか。ジョーさんは、マスターサッチャーとして数々の受賞歴もあり、2年先の仕事まで予約でいっぱいだそう!

ジョーさんのHP → Joe Thornton Award Winning Master Thatcher

 

Q.この仕事についたきっかけは何ですか?

A. 子供の頃からオヤジや叔父さんが職人として働いてるのを見て育ったから、自然とこの世界に入ったんだよ。

※この業界は職人の世界です。まず親方に弟子入りをして簡単な作業を学びながら少しずつスキルを伸ばしていく方式。つまり学校や講座ではなく、実地の仕事を通じて学んでいくのですね。親方の右腕となるまでに成長したら、独立を許されるという流れです。となりでビールを飲んでいるお弟子さんのマットさんにも、同じ質問をしたところ、彼は職人の家に生まれたのではなく、自分で茅葺きの世界に惹かれて弟子入りをお願いし、7年前からジョー親方のもとで働いているそうです。職人さんのスキルレベルでは4段階の真ん中くらいとのこと。茅葺き職人の魅力とは、新建築をうけおう大工仕事と違い、自分の創ったものが後世に残ること、また伝統を生かすことに魅力を感じているそうです。

ダンカン邸の隣家の修復はジョーさんのお父さんの仕事でした。

 

Q.一軒の屋根の葺替えは何年ごとにするのでしょう? 

A. イングランドでは大きく分けて葺替えに使う素材が2種類ある。まず、リードという葦。これが50年くらい保つのに対して、コッツウォルズを含むイングランド中部および南西部エリアは、麦わらが伝統的で耐年数は約30年。今やっている仕事のダンカン邸は麦わらを使っているよ。


 

Q.今回のプロジェクトでは、なぜ長持ちする葦を使わないのですか?

A. この辺の茅葺きの家は90パーセントが歴史的建造物に指定されているので、昔ながらの材料と手法で修復しないといけないから、地元で使われてきた麦わらを使う。歴史的グレード2指定の家だと、外観を勝手に変えてはいけないし、建築材も伝統的なものしか使えないからなんだ。

古い屋根を取り除き、下の方から少しずつ新しい麦わらを入れていく。

 

Q.屋根の上にある動物や鳥の飾りは何か意味があるのですか?

A. それには2つの説がある。昔はそれぞれの職人のトレードマークのように違う動物を仕上げに乗せていた、という説。もうひとつは魔除けの目的だったというもの。今ではその家の住人が好きな動物や鳥などを選ぶことが多いので、決まりはなく好みで選んでもらっている。

※とくにフクロウや猫は魔除けの意味があったようです。

 

Q.これまでで作るのがいちばん難しかった動物はなんですか?

A.うーん、うさぎ2羽が後足で立って戦っているうさぎのボクシングシーンかな。大抵のものは工夫して作れるんだけどこれは難しかった。ある家の屋根には、アヒルの家族をつけたんだが、これについてはちょっといいエピソードがあるんだよ。現在つけている5羽のアヒルの行列のうち、3羽が子ども。オーナー夫婦が孫たちをアヒルになぞらえていて、じつは最近また孫が生まれたんで、もう1羽のオーダーを受けているんだ。

と、ジョーさんは嬉しそうに教えてくれました。

歴史的な建造物は、建物の状態を保ちながらメンテナンスをしていくという制約があります。そのなかで、独自のデザインなどご自身のクリエイティビティを発揮する面もあり、そこにも誇りとやりがいを感じておられる様子が感じられました。

家に手間と時間をかけて伝統を守っていく……そんな茅葺き屋根の手法ですが、近年は環境保全とかエコロジーの視点から、英国はおろか世界各地でも人気が高まっているそうです。たとえばアメリカなど茅葺屋根の伝統のない国からも、ジョーさんにお声がかかることもあるとか。

詳しくお話を伺ううちに、我が小さな村に世界的なマスターがいて、伝統を守っているという事実に、ちょっと誇らしげな気持ちになりました。

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About Author

ヨガセラピスト、アーユルヴェーダヘルスコーチ。がんフレンズネットワーク主宰。神奈川県逗子市の海辺育ち。2013年から英国ロンドンとコッツウォルズの田舎でのデュアルライフを実践。皆さんが「今・ここ、この季節のじぶん」に必要なセルフケアを選んで実践できるように、身体からのアプローチで習慣を変えるコーチングを得意とする。身体も心もアイデンティティも進化させるオンライン講座、メルマガやブログ記事を英国から発信中。大好きなものは、野草摘み(Foraging)、手作りスキンケア、海、オペラ。 インスタグラム:@mariko.yoga

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