「Ka’ak」初体験! 次世代のレバニーズ・ベイクハウス颯爽登場♪

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Common Breads  コモン・ブレッズ

レバノン料理と言えば、どうしてもロンドンだとエッジウェア・ロード界隈や西ロンドンに多い濃い〜伝統レバニーズを思い浮かべてしまうのですが・・・なんと今年5月になって新しい息吹を感じさせるシンプルな、しかし本格的なベーカリー・カフェが登場し、注目を集めているんです。

まずロケーションが素敵。そこはヴィクトリア駅すぐ裏手のゴージャスなベルグレイヴィア域内。大通り沿いの新しいビル1階に堂々誕生し、毎日8時から6時まで作りたてのレバノン・ストリート・フードをお届けしています。

外から見るとよくあるヘルシー系のサンドイッチ・ショップなのかな?とも思うのですが、中に入ると全く趣が違う。ぐっと落ち着いた色合いのインテリアがとても洗練されていて、モダン様式のベーカリー・カフェだと気づきます。目を凝らすと・・・見たこともないパンが並んでいるではありませんか♡

Common Breadsは、本格的なレバノンのベーキング設備を整えたベーカリーです。大きく分けて2種類ある食事系メニューのほか、おやつ代わりに食べられる自家製スナック、中東風のモダン・スイーツなどを取り揃え、ロンドンに新しい軽食オプションをもたらしてくれています。

これはレバノンのストリート・フード「Ka’ak」。

とっても特徴あるシェイプ!

食事系のベーキング・グッズは、2種。Ka’ak(カアク)と呼ばれるまん丸のお財布型パンで作るサンドイッチと、お馴染みレバノン風のピザ、Manouche(マヌーシェ)。

私自身は今回初体験となった「Ka’ak」の美味しさに、文字通り圧倒されました。まずはその形に心惹かれます♡ 見てください、端っこに穴があいているので、棒に通してディスプレイすることが可能なのですね。なんてクレバーなのでしょう。

こういったパン類は奥にあるベイクルームで毎日せっせと手作りされ、フレッシュなものが店頭に並んでいます。そしてオーブンから取り出したばかりの熱々のKa’akは、ベイクルームの窓際のフックに掛けて冷ますのですって。ほら、ちょうど下の写真のように。

Ka’akを販売するベイルートの自転車屋台! Ka’akたちがブラ下がって、気持ちよさそうに日光浴していますね^^

忙しそうな職人さんたち!

パンを焼いているのはこの道に通じた職人さんたち。写真ではうまく伝わらないかもですが、Ka’akはかなり大きい!  表面にゴマ、ニゲラ・シード(英国ではナイジェラ・シードと発音します)、2つをミックスした「エブリシング」などをまぶして焼いていきます。

そのまま食べてもいいし、具を挟んでサンドイッチにしてもよし。カウンター内にすでにディスプレイされているものは常温サンド。温かく調理してくれるホットサンドのメニューもあり、私たちはせっかくなので温かいものを作ってもらいました。

スパイスやハーブ、チャツネやタヒニ・ソースと合わせるチーズやオムレツ、マッシュルームなど現代的なメニューがある中で、私はラム・シャワルマに挑戦! マヌーシェはハロウミ・チーズとズッキーニ+ハニーチリを選択。さてさてお味は・・・

Ka’akのサンドイッチは、手で持って頬張るには女性では少し大きいと感じるほどボリューム満点。香ばしくてふかふかで・・・びっくりするほど美味しい! しかも冷めてもテクスチャーや味が変わらないんです。ラム肉は絶妙のスパイス使いで仕上げてあり、焼き具合も完璧。スモーキーなタヒニ・ソースとピクルスが全体をまとめています。風味もハーモニーも抜群。

マヌーシェは薄くスライスしてグリルしたズッキーニをベースに敷き、細かいハロウミ・チーズとハチミツ+チリをトッピング。生地の厚さや味のハーモニーが素晴らしく、まさにベイルートのモダンなビストロでいただけるようなレストランの味。ハニーチリの仕事が優れていますね。

Common Breadsとは、まさにKa’akやマヌーシェなどストリートで食べられる「ごく日常的なパン」を、上質なベーキング文化としてここ、ロンドンにもたらすプロジェクトです。

扱っているのは、レバノンの人々なら「懐かしい」と感じるものばかりなのだとか。とはいえもちろん創業チームによる独自アイディアあふれるモダン・ベーカリーでもあり、ソースや素材の組み合わせにクリエイティビティが感じられるはずです。現に5月からのほんの2ヵ月で、Googleレビューは200件以上で5つ星! 破竹の勢いで人気が広がっているようですね^^

その他、カボチャのキベ(コロッケのような中東スナック)やほうれん草のファタイヤ(小さな包み揚げのようなもの)などのスナックのほか、各種サラダも充実。例えばバルガー麦とヒヨコ豆のタブーリ、ハリッサ&タヒニ風味のニンジンとドライ・アプリコットのコールスローなど。

私たちはシャンクリーシュと呼ばれる中東のブルーチーズが全体をまとめるバターナット・スクワッシュと赤キャベツのサラダをいただきました。まろやかで旨味の強い中東のブルーチーズ最高! もう一度食べたい異国の味。こんなに簡単にいただけるなんて本当にロンドナーでよかったと、こんな時に思います^^

これはデザートも美味しいに違いないということで、タヒニ入りのブラウニー、そしてカダイフと呼ばれる細麺をクランブルに見立てたリコッタ・チーズのデザート「クナフェ」を試してみました。これも大正解!

とても濃厚でなめらかなブラウニーは2人くらいでシェアするとちょうど良い大きさ。クナフェはパリパリの細麺(カダイフ)をリコッタ・クリームと一緒にいただくのですが、オレンジ・ブロッサム・シロップの香りが中東らしさを感じさせます。その他、ナツメヤシとゴマのケーキがすごく気になりました!

これがゴマとナツメヤシのケーキ♡

伝統的なクナフェとは別物^^

店内には小さな二人がけハイテーブル席が3つ。窓に面した採光よいスペースには数人のグループで楽しく語れる横長の椅子があり、ちょうどベイクルームに面しているので中の様子がよく見えのも楽しい。

実はモダン系のレバニーズ・ベーカリーと言えばロンドンでは「The Lebanese Bakery」が一種の先駆けで、「Ta’mini」が2番乗りくらいなのですが、Common Breadsは、そのいずれとも似ていない現代風のアイディアがいっぱい。

食の空間として際立っているのは、商品そのものがオシャレでクリエイティブであるだけでなく、レバノンの古典建築にインスパイアされたモダン空間デザインもあると思います。

至るところにあしらわれた明るい色の木製フレームが、とても温かく印象的。カウンター側面のチェック模様タイルは、レバノンで絶大な人気を誇るバックギャモン・ゲームに敬意を表したものだそう。インテリア設計は中東ルーツの若きデザイナーが集まるロンドン拠点のMA Studio による作品だそうです。

冷蔵スペースさえカラー・デザインの一部。

さらに楽しいのは、照明のシェードがKa’ak型をしていること! こちらはレバノンに本拠を置くデザイン会社に特注したものだそうです。棚には中東の料理本やクラフト食品を陳列し、クラフト・デリカテッセンのような雰囲気を醸しています。

この素敵なビジネスのオーナーさんは誰〜!?と思われるでしょう?^^   ベイルート生まれの幼なじみ3人組=Abbas Fawazさん、Abbas Zeinさん、Kamal El Zeinさんがタッグを組み、レバノンの本格的なストリート・ベーカリー文化をロンドンにもたらそうと始めたのだそうです。

中東の味を試してみたい旅行者の皆さんにもおすすめなだけでなく、物価高に泣くロンドナーにとっては、ある意味、美味しい本格中東スナックをお手頃価格でいただけるホットスポット。ヴィクトリア駅周辺で小腹が空いたら、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

・・・・一つだけ祈っているのは、これから何年経っても、何軒のCommon Breadsが立ち上がっても、イートインのお皿とカップが陶器のままであってほしいということです。祈ります!

110 Buckingham Palace Road, London SW1W 9SA

店名Common Breads
最寄り駅Victoria
住所110 Buckingham Palace Road, London SW1W 9SA
電話番号
営業時間 毎日 8:00 – 18:00
URLhttps://www.commonbreads.com
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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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