2000年代初めにオープンしたデリ・カフェの中で、いまだに行列ができる店はもう「Ottolenghi」くらいしかないのではないでしょうか。その折衷主義の新鮮なスタイルで、その後のロンドンのデリ・シーンに巨大な影響を与えたオットレンギは、Nopiという名でレストラン形態にも挑戦して成功、オーナー・シェフのオットレンギさんはテレビで活躍するスター・シェフとなり、今でも多方面から尊敬を集める存在です。ゆえに今のロンドンでは「元オットレンギ・シェフ」と言うと、かなりのステータスで迎えられる称号です。ましてやそのお姉さん格であるNopiの元ヘッドシェフの店と言うと・・・これは業界が注目せざるを得ない店なんですね。
2018年3月、セント・ジェームズの再開発地区の一角にオープンしたScullyは、オットレンギを経てNopiのヘッドシェフとして活躍していたラマエル・スカリーさんが満を持してオープンしたスタイリッシュなレストラン。自身が中国人、インド人、インドネシア人、アイルランド人の血を引いているという多民族の申し子だけあり、その料理のスタイルもNopi時代からキラリとした輝きを放つ創作的な食材・フレーバーの組み合わせで広く知られていました。
今回いただいたメニューも、ユニークさという点ではこれまで私が経験してきた食体験の中でもトップクラスの出来映え! 例えば舌の上でゆっくりと溶けていく牛アキレス腱入りのパフをヨーグルト・ディップにつけていただく一品、濃厚なナスのサンバル風味+ギリシャ・ヨーグルトを、アレパ(トウモロコシ・パン)に付けていただく一品(←オススメ♡)。
メインには最近のロンドンのトレンディ・レストランに頻繁に登場する柔らかタコ料理のほか、お腹にも溜まるブラックライスとカブを合わせたパクパクといただけるマイルドな一品、シトラス入り味噌ドレッシングでいただく青菜サラダ、丁寧に調理されたポークベリーなどなど、テーブルに運ばれるたびに楽しくてワクワクするような力作が並びます。
デザートは生姜風味のマシュマロ+ルバーブという面白い組み合わせの一皿をシェア。こちらもジンジャーがほどよく舌を刺激するメレンゲのようなマシュマロと酸味が残るルバーブがマッチする秀作。最後まで美味しく楽しく完食しました。
ピカデリー・サーカス南側のセント・ジェームズは老舗劇場やショップが並ぶ商業エリアですが、ついに再開発の波で新しい店舗が続々と登場しています。中でもこのScullyは、オットレンギとも一線を画する注目の一店。刺激ある食体験をお求めなら、ぜひ♪