Bistro Mirey ビストロ・ミリー
実は私、一般のフランス人が利用するフレンチ・ビストロに対して若干の偏見がありました(笑)。例えば伝統を重んじるあまりに現代的な視点からみると調理に面白味がない、肉偏重で野菜料理がつまらない、乳製品を使いすぎる、などなどです。別の見方をすると、だからこそツボにハマったらリピートしてしまう職人料理であり、土地の名産をふんだんに利用する無駄のない庶民のためのレストランなのだと言えると思います。
上記のような偏見を見事に打ち砕いてくれたレストランに、ロンドンで出会うことができました。2016年秋、西ロンドンはフルハム・エリアにオープンしたビストロ・ミリーです。ここはインターネットでレストランリサーチをしている際、日本人の方が関わっていると知って、ずっと行きたい店のリストに入っていた場所です ^^
皆さんは、フランス人と日本人がパートナーシップを結んで経営しているレストランというと、どんな印象を持たれますか? 両国ともに、食に対する情熱で言えば引けを取りません。しかも両者ともに技術的にも深い伝統を誇る食ジャンルです。このビストロ・ミリーは、そういった日仏のいいとこ取りをして成功している稀にみるレストラン、なのです。
複数レストランでの経験豊富なフランス人シェフのジェラルドさん、そしてホスピタリティ精神あふれる日本人マネージャーのコウさん。2人がタッグを組み、知恵を出し合って生み出したビストロ・ミリーの最大の特長であり魅力は、イギリスの旬の素材をベースに、フランス・日本両国に特有の要素を組み合わせ、上級テクニックで丹念に、味重視で仕上げられた料理の数々。
季節で変わるメニューは、例えば今ならキノコ料理は欠かせないですよね。日本のキノコを組み合わせたサラダ風の一品は和を感じさせる味噌バター・ソースが懐かしく、しかもリッチでボリュームあり。ソースを楽しめるよう薄いブリオッシュを敷いてあるところがフランス風です。
忘れてならないのはフレンチの定番、ビーフのタルタル・ステーキ! 当店のものはまろやかな新鮮ビーフをピリ辛仕上げにした面白い趣向で、ユッケ風とも言えるフュージョンな味わいが日本人の舌にもぴったり。当店の人気メニューの一つなので、お好きな方はぜひ♪
さて、最近のロンドンのレストランでたまに感じることの一つに「スターターは面白いけどメインは退屈」という印象がありますが・・・ここはすごい! メイン・コースがとびきり美味しくて・・・あれもこれも試してみたくなります☆
3品いただいたメインは肉・魚・付け合わせどもども隅々までシェフの気配りとテクニックが行き届いていることが分かる丁寧な仕上がりで感動しました。私のお気に入りは鴨胸肉。肉厚の鴨の焼き加減は完璧。クリーミーで、これまた非の打ち所のないドフィノアーズと、伝統にのっとったプラムのソースを添えていただくと・・・秋こそ最高の季節なのだとじんわり愉快な気持ちになってきます。
ふっくらとした白味魚は、パリパリのケールと黒オリーブの酸味アクセントでいただくヘルシーな一品。とは言っても満足度は肉料理と変わらず。濃厚さとヘルシーさのバランスが絶妙なのです。また日本人として目を惹きつけられたのは、ポークの照り焼き! ジュワッと肉厚のエリンギのソテーが嬉しく、ノスタルジックな照り焼きソースに絡められた豚肉を頬張ったときと同様に、心満たされました。
料理の真髄はシンプルさにある、というのは誰もが一致する意見だと思いますが、これほど素材の良さを生かしつつ主張ある料理を創り出しているお二人に拍手。料理はもちろんジェラルドさんの担当ですが、メニュー構成や味についてはコウさんも深く関わっていらっしゃるそうです ^^ ということはつまり・・日本人好みのフレンチ、ということですね! メニューはときどき変わるので、ここでご紹介したメニューがすでにない可能性もありますが、きっとまた素晴らしい季節の料理が登場していると思います。
ビストロ・ミリーについて調べていると、見つけちゃいました。HISさんがクーポンを扱っていて、食前酒が1杯、サービスになるようです。嬉しいサービス! 私も次回はクーポンを利用してみます♪ コウさん、ジェラルドさん、ごちそうさまでした。また日本ゆかりのお店ができて嬉しいです。あ、和風のひねりがあって美味しいと評判のデザートは、次回のお楽しみに♪