スローン・スクエア駅近くのデューク・オブ・ヨーク・スクエアは、2017年に誕生している比較的新しい商業施設です。そこに面した大きなコミュニティ広場に、未来の住宅のようにも見える丸い建築物が昨年秋に登場しているのにお気づきでしょうか?
よ〜く目立つとっておきのビルディングに入っているのは、ロンドンにおけるサードウェイブ・コーヒーの重鎮、Caravanグループが新コンセプトで立ち上げたカフェ・レストラン、Vardo。外から見てしまうと、どうしても中でリラックスしている人たちの仲間入りがしたくなる、そんな蠱惑的なお店なのであります^^
まあるいコーナーのガラス張りの窓枠が5つ。どこをどう見ても生きている有機物のような曲線を描くパヴィリオンは店内に入っても真ん中に丸いバーがあり、そこから白い壁が弧を描きながら上に伸びている。その先には木の板を美しく並べたスッキリとした天井があり目を見張ります。テーブル席はバーの周りをぐるりと取り囲むように配置。丸くデザインしたソファ・タイプのテーブル席もあり、どっしり落ち着けそうです。
食事はCaravanと同じく、無国籍な折衷料理がメイン。シグニチャーのコーンブレッドとピザはここにもありました^^ キャラバン自慢のサワードゥ・ピザ、初めていただきましたが、バランスが良くとても美味しかった。6種あるピザの中から今回はモッツァレラをベースにしたアンチョビとレッドチリ。スカモルツァをベースにンドゥーヤとコンフィ・ガーリックをトッピングしたものは次回のお楽しみに♪
外スペースが貴重な今、ルーフ・テラスも開放されているそうです! 建物の裏側に階段があるのですが、もちろん中からもアクセス可能なはず。建物の周りにも外席が設けられているみたいですよ。
Vardoとは19世紀初頭にルーマニアからイギリスに移住してきたジプシーたちが使った馬が引くワゴンのこと。商売道具を運び、そこに住んだそうなので、まさにキャラバンですね。木彫りの装飾を好き好きに施し、アートフルな佇まいのものも多かったとか。『チャーリーとチョコレート工場』で有名な作家のロアルド・ダールは20世紀半ば、自分の子供たちの遊び場としてヴァードを購入し、その後、そこで執筆を行うこともあったそうです ^^
Vardoのテーマは「No boundaries」(境界なし)。国境を越えて自由な暮らしぶりを謳歌したジプシーのように、生き物のような空間は自然に人の意識からリミットを外し、料理のジャンルも国境を越え・・・本当にロンドンらしい、遊び心を刺激されるコンセプトです。カフェでもバーでもいけそうなので、チェルシーでこれは重宝しそう。