Jikoniとはスワヒリ語で「キッチン」という意味。マリルボーンの静かな一画に2016年にオープンしているインド系モダン・ブラッセリーです。すぐ隣には2008年創業のミシュラン一つ星インディアン、Trishnaがあるのですが、両者ともにお客さんの入りも上々で感心しきりな現在でもあります。
インド系と書きましたが、コンセプトは「移民食」。共同オーナーのラヴィンダー・ボーガルさんはインド・ルーツですが、ケニア生まれのロンドンっ子。その多文化バックグラウンドを生かした活躍は、フード・ライター、料理家、TVプレゼンター、レストラン事業家など多彩な顔となって現れているのですね。イブニング・スタンダードが選ぶ「ロンドンで最も影響力のある女性1000人」ランキングにも何度か入っているほどの活動家でもあり、ともかく彼女の現代的な感性とパワーを感じるレストランです^^
この日はEat Out to Help Outスキームを利用して来店してみました。政府のガイドラインに従うため、このお店のキャラクターでもあったカラフルなソファ席をなくし、テーブルとテーブルの間の距離をおいたシンプルなレイアウトに変身していました。
コロナ禍の中で、ラヴィンダーさんはいち早くスタッフのことを考えてお店をクローズしたオーナーさんの一人。再オープンにあたっては注意深くレイアウト替えをしたようです。
さて、お料理はインド料理を筆頭に、東南アジア、西アフリカ、中東、英国などのエッセンスを取り入れた面白い折衷主義です。いくつかある「Moilee」と呼ばれるココナッツ・カレー風味の料理やオクラのフライなどを見ると、インドや東南アジア風のものがいちばん多いのかもしれません。エビのすり身で作るスコッチエッグは、次回いただきたいメニューの一つでもあります^^
お味はとても繊細。見た目も美しい。そしてモダン・キッチンらしくお値段に対しての量は少なめです。スキームを利用していなければ+お酒を飲むと少し高めに感じる可能性もありますが、お店の雰囲気、ここでしかいただけない上質な料理が、きっとリピーターを惹きつけている人気の秘密なのでしょう。
例えばシグニチャーの一つである、メイン料理のKuku Paka! ククパカはインド/アフリカ/アラブ諸国で食べられているチキンのココナッツ・カレーですが、ここではチキンレッグをそのまま調理しているのがミソ。しかも肉厚ジューシーで柔らか♡ ゆで卵とケールの副菜(Sukuma wiki)にも心遣いが感じられ、1名ならこれ一皿で立派な食事です。
オープンの翌年、2017年の英国ナショナル・レストラン・アワードでは英国ベスト・レストラン56位の快挙を成し遂げている当店。確かに新しい料理を創造することへの情熱や、女性オーナーらしく健康や美容への気配りが感じられるメニューだったので、「ユニーク」であることは間違いないと思います。
デザートにイチゴのメレンゲ・ルーラードをシェアしました。クリームたっぷり、しっとりルーラードで、タイ・バジルの風味がアクセント。ピスタチオの彩りも美しかったのですが、メレンゲ部分がもう少し厚くてもよかったのかなと思いました ^^; デザートのお供にはケニア風チャイ。スパイシーな紅茶とミルクは別々に供されるところが、インドとは違うのかもしれません。
全体的にとても居心地良いビストロ風のレストランです。ランチにサクッと立ち寄ってみるのもよし。あなたが生涯で一度も口にしたことがないような、ロンドンらしい折衷料理をいただけるかもしれません^^ (写真を見ていると、もしかすると週末ブランチが本命なのかも♪)