Brutto ブルット
2021年秋にこのお店が創業したとき、オープニング・デーに駆けつけたのが今は遠い昔のように思い出されます^^;
ここはロンドンの有名レストラン事業家、ノーマン・ラッセルさんのお店です! イタリア料理がお得意で、これまでにも現在はチェーン展開しているPolpoや、姉妹レストランのPolpettoなどを成功させた功績があるのですが、2020年にグループを去って新たな冒険に乗り出したようです。
そして生まれたのがこちら! クラーケンウェルのスミスフィールド・マーケットすぐ近くのBrutto。
この場所はかつて・・・シェフであり、レストラン事業家として一世を風靡したマーク・ヒックスさんのお店があった場所。ショーディッチにあったデミアン・ハーストのアートを配したトラムシェッドなど覚えておられる方も多いと思いますが・・・時代は移り変わります。ヒックスさんはSohoの旗艦店もクローズし、現在はドーセットでいくつかお魚にフォーカスしたレストランを経営されている模様。リロケーションも良いですよね^^
Bruttoのノーマン・ラッセルさんも、ヒックスさんと同時代にロンドンにおけるレストラン黄金時代を築いた事業家の一人。2020年代に入り、ロンドンのレストラン地図もどんどん塗り変わっていきますね〜。
Bruttoはイタリア語で「醜い」という意味。やんちゃ感のあるノーマン・ラッセルさんらしい、なかなか愛嬌あるネーミングですよね。そしてコンセプトにもラッセルさん独自のレストラン哲学が反映されているようです。
彼のレストランは基本的にカジュアルな居酒屋スタイル。会社帰りの一杯飲み屋として、ランチタイムの駆け込みバーとして庶民の味方であり続けたい・・・そんな思いが見え隠れするリーズナブルな値段設定、そしてイタリアにゆかりの著名人をマーケティング・アイコンに使うなど、クラシックな手法で攻めていきます。
オープニング当日はスタッフが総出で対応! ギンガムチェックのテーブルクロスがキュートな町のイタリアンを演出。渋い夕焼け色のイタリアン・カクテル、ネグローニで駆けつけ一杯一息ついたら、さぁラッセルさん自慢のおつまみはいかが?^^
このお店の名物の一つは、かなりイタリア的なローカル色の強い「コッコリ」。ピザ生地をボール状にして丸め、揚げたパンに生ハムやチーズを添えていただく前菜はなかなかボリュームがあるので、3名以上でシェアするとベター。おつまみメニューのトップにあり、オススメ度が伺えます。
あとはパスタ(Penne Con Vodka)やサラダ(Panzanella)、ビーフシチュー(Peposo)などを適当にとって思いっきり楽しみましょう!
古都フィレンツェにも敬意を評し、熟成ビーフにも力を入れています。肉市場、スミスフィールド至近の立地を生かし、21〜30日間乾燥熟成したお肉を老舗ブッチャーとの契約で毎日用意。100g単位で注文できるので、ビーフ好きならぜひぜひ試してみていただきたい品です^^
メニューは本場イタリアのトラットリアという趣で、いたってシンプル。飽きのこない定番品を固定し、シーズンごとのお皿を折に触れて加えていくといったイメージでしょうか。お味のほうは「堅実」という言葉がぴったり。バーカウンターに座って2、3品をつまみながら、ワイングラス片手にイタリア風に心寄せ合うひと時を過ごしたいお店です。
お手洗いから戻るとき、階段付近でラッセルさんにばったり鉢合わせ。「おめでとうございます」と伝えると、嬉しそうに「ありがとう。僕はノーマン。店のオーナーなんだ。気に入ってもらえたかな?」と返され、「もちろん知っているわ。あなたのお店の大ファンだもの」と、お祝いの気持ちを伝えることができました。
これを書いている途中から、また戻っていきたくなりました。リピートしたいお店には、何かスペシャルな理由があるものです。