Siam Niyom サイアム・ニヨム
タイ料理屋さんに行くと、必ず注文するのがタイ風のさつま揚げ、パパイヤ・サラダ、パッタイ、グリーン・カレーなど。同じ料理を試してみることで比較ができ、お店の違いなどが分かる良さがあります。
でも、いつも同じメニューばかりじゃつまらない!
今回お邪魔したタイ料理レストランは、友人の強力なおすすめ。私自身はふだんの行動範囲外にある、南ロンドンはウェスト・ダリッジにあるお店です。タイ人のお友達も交えて大勢で同じテーブルを囲んだので、今回は目からウロコの新料理にありつけて大満足! その興奮をお伝えしたく♡
インテリアがまず、とってもモダンです。奥にはバーもあって今のロンドンらしいしつらえですが、厨房に立っているシェフもスタッフも、そしてオーナーさんも全てタイ人! これを正統派と言わずしてなんと言うのでしょうか。ものすごく心地よくシックな空間で、ゆったりとお料理を楽しめます。
ちょうどパンデミックの前年にオープンしたので、他のレストランと同じくとても厳しい数年を過ごした後、現在に至ります。地域住民の支えがたくさんあったことでしょう。
一口にタイと言っても日本と同じく広大で、各地方で食べられている特産料理は、それぞれ微妙に違うそうです。だからロゴには(メニューの表紙にも印刷)そんなダイバーシティを込めているのだとか。
さて、前菜としてまずは盛り合わせをいただきました^^ 野菜春巻き、ポークのスペアリブ、チキン・サテイ、タイ風さつま揚げ、そしタイ風の蒸し点心が、美しい木のお盆に盛り付けられて運ばれてきました。うっとり。
バラの形をした可愛らしいダンプリングの中身は、鶏肉とエビとお米。キャラメライズした甘辛い味付けで日本人好み^^ 初めていただいたので感動しました。いずれも美味しかったのですが、ポークのスペアリブは絶品でリピートしたいお味でした。
前菜としてサラダ的にいただきたいのが、ソフトシェル・クラブのパパイヤ・サラダ、エビのサラダ、そしてスパイシーなお料理が好きな方はぜひ、バンコク名物のヤウンセンを♡
シーフードの調理加減もほどよく、いずれも大変美味。ヤウンセンは、次回はチリを控えめに、とお願いするつもり^^;
サイアム・ニヨムは、ヴィーガン対応のメニューも幅広く揃えています。幅広く? いえ、ヴィーガンに1ページをさいているので、「ヴィーガン・タイ料理レストラン」と呼べるほどの品揃えです。
クオリティも素晴らしい。例えばこちら、大豆からできているヴィーガン・カラマリ! いや〜これには驚きました。本当にジューシーで食感もイカそのもの。美味しくていくらでもいただける感じ^^ ビールのおつまみにぴったりです。
主菜にはもちろんパッタイ。独自のタマリンド・ソースと揚げた麺のクリスピーな組み合わせが絶品。間違いありません^^
このあたりから、ロンドナーに親しみのあるタイ料理から離れ、ネイティブ次元へと入っていきます。
こちらはコリアンダーやガーリックでマリネしたラム肉グリルのマサマン・ソース。上に飾られているのはパパイヤです! 柔らか美味♡ 見た目もインパクトありますね〜。
そして今回タイ料理のバラエティとして初めて知ったお味がこちら。ココナッツ・ソースで煮込んだビーフ。レモングラスとライムの風味が決め手なのですが、ほろほろになったビーフに、心地よい酸味を感じるマイルドなココナッツ・ソースがよく絡み、本当に美味しかったのです。新しいタイ料理を発見したい方は、ぜひ。
それから友人がタイに行くと必ずいただくと言う「Kao Soi Gai」。これはチェンマイ名物のカレー・スープ・ヌードルでチキンが定番。卵麺がスープを吸って美味しく、これだけで立派なランチになります^^
もち米のライスはタイ料理の定番で日本人には本当に嬉しくなるアイテムの一つですが、最近は竹籠に入っていてもビニールに入れて蒸している場合が多くて若干興ざめするのですが、ここは伝統にのっとって竹の葉で蒸しており、プラスチック・ゼロ。これは得点高い!です。
もう美味しくてお腹いっぱい。さ、温かいお茶で締めましょうね^^
え? デザートですか? もちろんいただきました。別腹ですw
こちらはシェフのとっておき! ココナッツ・アイスクリームやフルーツの下に隠れているのは、黒米のもち米。タイならではのデザートは日本人に優しい^^ チョコレート・ケーキも絶品でした。
タイ料理レストランの名前としてよく使われる「Siam」と言うのは、昔の国名なのだそうです(知らなかった!)。Niyomはオーナーさんのお一人のお父様の名前でもあり、また「人気がある」という意味のタイ語でもあるのだとか。
上の写真の右端に見えている人物はラーマ5世。当時の国から奴隷制度をなくし、国名をSiamから「Thai=自由」に改めるきっかけを作った方だそうです。今でも大人気。ミュージカル「王様と私」のモデルになった名君なのだそうですよ。
こちらの絵は、先代の国王ラーマ9世の若かりし頃。音楽を始め文化的なものに多く興味を示した多趣味な王様だったようです。エルヴィスにも1960年代にアメリカで会っています。ジャズもお好きだったそう。
サイアム・ニヨムは、シェフやマネージャーさんを含め数人の仲良し共同オーナーさんによって運営されている独立店だそうです。これだけのお料理とインテリアのクオリティをみると、ただ者ではないと直感するのですが・・・聞くとロンドンの高級タイ料理レストランとして知られるPataraで働いていた方たちですって! どうりで^^
お料理や雰囲気は言わずもがな、スタッフの皆さんの温かいホスピタリティは一流でした。
私たちはディナーで訪れましたが、お値段もリーズナブルに設定されていると思いました。週末だけやっているランチではセット・メニューもあり、さらにお得。火曜・水曜・木曜は17:30から1時間、ライス付きでカレーは10.95ポンドになるカレー・ディールがあり、また月曜日は15%割引。
現在はすっかり地域に溶け込んでいるサイアム・ニヨム。こういうお店のことを、ローカルの宝と呼ぶのだろうなと、ふと思いました。ロンドンのホスピタリティ業界の中心で研鑽を積んだ優秀なスタッフの皆さんが、地域に溶け込み、自分たちの本物のタイの味を提供している。シェフの皆さんのパッションにも頭が下がりました。いつまでも愛される名店でいて欲しいと願うばかりなのです。