Uosei @Evernight うおせい@常夜
ロンドン初の手巻きバー「Temaki」をホットな南ロンドンで大成功させた寿司シェフのShaulan Steensonさんが、新たな冒険に乗り出していると聞きつけたので行って参りました^^
Temakiが登場した際には「料理王国」で記事にさせていただき、その際にエグゼクティブシェフのショウランさんの日本食や魚文化への情熱に接して感動したのを覚えています。
そんなショウランさんがTemakiエグゼクティブシェフの座はそのままに、今度はナイン・エルムスの真新しい米国大使館隣に登場している和食レストラン「Evernight」のプライベート・ルームを席巻 !? 駆けつけてみると、新しいビルの1階にある素敵な和食レストランの一画が、ショウラン風の小粋な寿司バーに変身していました♡
ショウランさんの屋号「Uosei / うおせい」の名で勝負するおまかせバーは、ショウランさんとEvernightとのコラボレーション。鮮魚を使った料理はショウランさんが手がけ、温かい茶わん蒸しとデザートはEvernightさんが担当されているそうです。今回おまかせコースを通していただいてみて、それがいかに美しいハーモニーを奏でているか・・・しみじみと実感してしまいました。本日はその感動をお届け!
コースの最初は、私が勝手に「出汁オタク」だと思っているショウランさんらしい、出汁を堪能するイカそうめん小鉢でした。お次はまたしても美味しい出汁のジュレでいただく、ホタテのお刺身。柚子風味。豪快に厚切りホタテの甘味を堪能します。
次は炙り鯖! スイカで色付けした大根おろしと一緒に。脂が乗ってる鯖を上手に炙ってますね。笑みがこぼれます〜^^
そして、タコは日本風です。スペイン料理などの柔らかタコを食べ慣れていると、この日本の寿司タコがなかなか噛みきれなくなってくるのですが(笑)、寿司通なら必ず「タコはこうでなくちゃ」と言う、そのままの正統派。自家製の胡麻ふりかけとわさびでいただきます♪
職人さんがおろす新鮮な魚介をゆっくり堪能しているところへ、本日のお寿司に使われる宝石のような生魚が、おもむろにお披露目〜。この美しさとクオリティが、お寿司の命ですね・・
お寿司の最初のコースはマグロのたたき。手巻きで。これがお口の中にふわっととろけて・・・口福が広がりました。さすが手巻きの達人。もう2本くらい食べたい!
握りは併せて10カン。心を込めて握られる鮨たちは、もちろん自慢の赤シャリで。
この日はイカ、ヨーロッパヘダイ、蟹、赤座海老、レッドミュレ、鯖、赤身、中トロ、大トロ、そして牡蠣。
全てが口の中でパーフェクトな融合を果たし、「こうあるべき」旨味を、あますところなく堪能できるはずです。私は大トロの脂っこさのファンではないので中トロまで美味しくいただき、大トロは再度のレッドミュレに変えていただきましたん。ありがとうございます!
鮨の大トリを飾った牡蠣ですが・・・それまで食べたことのない美味しさでした。特製だれに漬けた牡蠣のお鮨。牡蠣本来の旨味のようなものを閉じ込めたスペシャルな一カン。ジュワッと口の中に洗練された美味しさが広がります。うう、いつかまた食べたい。
お食事の最後は、Evernightの特製茶わん蒸し、そしてショウランさん特製のカニみそ赤だしを。スモーク鰻、カボチャ、昆布の茶わん蒸しは伝統に乗っ取りながらも、無国籍な佇まい。美しいですね〜。カボチャの種の歯ごたえが最高のアクセントでした。赤だしは具なしでとってもシンプルでしたが、出汁オタクのショウランさんらしい、こだわりの1椀でした^^
Evernightから出されるデザートも逸品揃いでした。日本酒と柚子のソルベは、お酒がふくよかに香るまろ味のあるテクスチャーが身上。フレーバーの引き出し方がプロフェッショナルで、この倍はいただけると思いました。締めのケーキたちもフレーバーありきで、ミシュラン級のお味。さすがです。
コースを終えての感想は3つ。まず間違いなく「素晴らしい鮨」であること。口に入れて噛み始めた瞬間、真っ先にやってくる思いは、等しく「美味しい〜♡」でした^^ そう、美味しいのです。2つ目は、鮨職人の好みや個性が尊重される時代だという思い。これは確実にあると思います。ショウランさんの場合は、シャリへのこだわり。
そして3つ目は、私の知らない鮨の世界がまだまだあるのだということ。日本を離れて長い私の知らない領域や、職人たちの技術の進化などがあるのだろうなと、ふと思いました。そう考えると、ショウランさんの鮨も、きっとこれで完成ではなくて、今後も進化していくのだろうなと。
例えば、シャリは若干ですが、硬め。これはショウランさんがかなりこだわっている部分であり、個性でもあります。口に入れたときの美味しさに影響はないのですが、スティッキー・ライスと呼ばれる日本米とはいえ、この硬さではシャリをまとめる力が少し弱い。今回、蟹の握りがありました。ショウランさんは蟹肉とシャリの旨味の融合を純粋に楽しんでほしいので、あえて海苔を使わなかったそうですが、やはり湿り気のあるカニ肉がシャリの上に乗っただけの状態だと、握りの形のまま口に運ぶのが難しかった。本来握り鮨は口に入れるまでシャリとネタがくっついていることも大切だと思うので、ここは味を優先させるか、伝統をフォローするか・・・選ばなくてはならないところだと思います。
ちなみにシャリの形は伝統の俵形ではなく、あえて丸くしているようです。味には影響がないところですが、シャリの硬さが、この形にさせているのかも・・・などと思いました。ここはショウランさんにまた聞いてみたいところですね。
ともあれ、木曜から土曜まで、毎週3夜だけオープンするショウランさんのおまかせバーは、大盛況! 18:00 / 20:30と、一晩に2回転させますので、大忙しですね〜^^ 少しはにかみながら握ってくれるショウランさんと、Evernightのコラボおまかせ! チャンスがあればぜひ試してみてください♡
ちなみに・・・・「常夜」=Evernightという名前ですが、日本語の読みは公式サイトを見ると「Jou-Ya」となっているようです。でも本来は、「Toko-Yo」と読ませたいところだわ〜と、日本人としては思いましたw Jouyaだと少しだけ意味合いが違ってくるのですよね。でもここはオーナーさんのサウンドへのこだわりなどもあるのかもしれないですね。聞き流してくださいませ^^