Trivet トライヴェット
気温も上がり、晴れ間も多くなって「いよいよ英国の夏だなぁ」と。ウィンブルドンももうすぐですね。屋外テーブルでの飲食が、ぐっと楽しい季節になってきました。今日はそんな爽やかダイニングの究極の名店をご紹介♪
ロンドン・ブリッジ駅から歩いてすぐの場所に、英国最高峰のお料理を提供してくれるミシュラン一つ星レストラン「Trivet」があります。ここのテラス席はもう最高! 今年の夏、あぶそる〜とロンドンでイチオシの屋外席の一つでもあります。何を隠そう、かのミシュラン三つ星レストラン「Fat Duck」でヘストン・ブルメンタール氏のもと、グループのエグゼクティブ・ヘッドシェフとして活躍されていたジョニー・レイクさんのレストランなのですから〜♪
Trivetは、2019年オープン。Fat Duckに12年間在籍されたジョニーさんが、同レストランのヘッド・ソムリエだったイサ・バルさんとともに、新たな冒険として立ち上げました。ヘストンさんから離れたジョニーさん。ジョニーさんご自身が、本当に食べたい料理、本当に自分の料理としてゲストに食べてほしい料理が、ここに再現されていると思うのです。
Trivetのアラカルト・メニューは英国最高峰の食材を使ってクラフトマンシップの限りを尽くす、文字通りのファイン・キュイジーヌです。隅々までシェフの意図がゆき届き、絵画のように麗しく、香り立つような。美しいダイニングでいただけるアラカルト・メニューの素晴らしさについては、「料理王国」に寄稿させていただいたこちらの記事をぜひ、お読みくださいね。
しかし本日ご紹介したいのは、テラス席だけで提供されるお手頃なテラス・メニューです♪ ダイニングでいただけるアラカルトと、何が違うのでしょうか。メニューがよりカジュアルで、皆でシェアするのにうってつけであること。ただし、ジョニーさんのメニューですから味の繊細さはアラカルトと何ら変わりません。
例えばこちらのクリスピー・チキン・ウィング。
えっ、これがチキン・ウィング!? と思われるでしょう? ミシュランの星つきレストランの手羽肉料理は、一味も二味も違うんです。私もびっくりしました^^; 骨を抜いて美しく処理してあり、脂っこさも控えめ。ハーブ入りパン粉のカリカリ感と、ジューシーで柔らかいお肉のハーモニー。ハニー・マヨをつけていただくと、言うことなし。ビールと一緒に食べるともっと夏っぽい!?
小皿メニューからのおすすめ筆頭は、「Hot Tongue Bun」! ほどよい塩加減の自家製牛タン・ハム、ピクルスをブリオッシュ・スライスで挟んだ究極の現代風サンドイッチ。甘酸っぱいブラックカラントがなんとも言えない調和をもたらし、アンチョビ・マヨが全体をまとめます♡ 何もかもが初めての味体験で感激。これだけを食べにまた戻りたい。14ポンドでちょっと贅沢なお一人ランチにも最適なのよね。。
Trivetで忘れてならないのが、その重みのあるこだわりのワインリストです。フランスやニューワールドはもちろん、好事家好みのマイナー地域のワインにも精通するイサさんが、450銘柄を厳選してリストアップ。アートブックのように丹念に製本された分厚いワインリストは、テラス席に座って眺めているだけでも楽しいものです^^
さて、お次はロブスターの爪のコンフィを、バルガー麦と一緒にいただくサラダ仕立ての一品。写真はスターター・サイズです。マンゴーや黄ズッキーニが彩りと食感+風味を添え、甘酸っぱいドレッシングと妙なるハーモニーを奏でる、それはそれはエレガントなお皿でした♡
そして旬のアスパラガスは、コクのあるロメスコ・ソースで。パーフェクトな火通しのグリーン・アスパラガスには、半透明の繊細なラードのレースを纏わせて。ポップなお花も食べられます♪
テラス・メニューの主菜は2品。インド風スパイスのタラにレンティル豆、シーケールを添えたコロニアルな一品。そして鶏のバロンティーヌに、ポテトのカリカリ・テリーヌを添えたフレンチな一皿。いずれも20ポンド代とダイニング・メニューとは一線を画するお手軽さですが、クオリティはミシュラン店そのもの。素晴らしい技とテイストを堪能できること請け合いなのです。
デザートも2品あり、ストロベリー&クリームとレモン・タルトの両方をいただいたのですが、両者ともに絶品。特に、ストロベリー&クリームは、シングル・クリームではなくヨーグルトをベースにしているので、伝統的なものとは異なり、かなりヘルシーなのです。バニラ風味のヨーグルト・クリームは雲のように軽く滑らかで、タイ・バジル 、ミント、ハイビスカスの爽やかな風味が幾重にも重なって香ります。
個人的にもう一つおすすめしたいのが、「日本酒風味の自家製ソルベ」。極細ポテト・フライとのコンビネーションを楽しむ遊び心あふれるデザートで、日本酒の香りを堪能できます♡ ロンドンではきっと、ここだけで食べられるデザートのはず。
Trivetは、地元の人々に愛されるネイバーフッド・レストランでありながら、他エリアからも足を運ぶ価値のあるミシュラン店として、すっかりロンドン・ブリッジ裏手の再開発エリアに定着しました。
料理人としてのジョニーさんが究極のクオリティを目指して全身全霊を注ぎ込むダイニング・メニューとはまた異なり、テラス・メニューはカクテルとシェアリング・メニューでアフター5を楽しんだり、ショッピング前後の腹ごしらえなどに最適の気軽さが魅力。私なら、大切な記念日をお祝いするレストランを選ぶ際に、事前調査と称してテラスにやってきたりするかもしれません^^
いずれにせよ、本当に美味しくリーズナブルなので、この夏に一度は試していただきたいミシュラン一つ星のトライヴェットなのでした♪