The Ebury Restaurant & Wine Bar イーブリー・レストラン&ワイン・バー
ヴィクトリア・コーチ・ステーション至近という場所柄、地元の人だけでなく旅行者にもこよなく愛されているクラシカルなワイン・バーは1973年代の創業(ワイン・バーそのものは1959年からここにあったみたいです)。ベルグレイヴィアからチェルシーは裕福な保守層が多く住むエリアですが、そういった人々のお眼鏡にかない、かつ旅行者にも伝統的なヨーロピアンの香りを届けるという2つのお役目を果たしていると思われます。20年くらい前まではロンドンにもこの手の伝統的なワイン・バーがまだたくさん残っていたと思うのですが、近年のトレンディ化でむしろこちらのほうがマイナー化。そういった意味では稀少なのではないでしょうか。中でもEburyは、すでに地元のランドマークとなっているお店です。
ホームページを見る限り、オーナーのナイジェル&エリザベス・ウィンドリッジ夫妻その人達が、まさにこの店の顧客そのものといった印象を受けます ^^ ロンドンSW地区の住人を代表するような雰囲気とでも言うのでしょうか。古きよき英国を愛する英国人といった面持ち。
ナイジェルさんがマネージャーとして初めてお店に立った夜、たった1人の客しかこなかったそうですが、その客というのが、かのウィンストン・チャーチル卿の次女で破天荒で知られる女優のサラ・チャーチルさんだったとのこと。その夜、彼女自身が作った詩をず〜っと朗読して聞かされたというエピソードがあるそうです ^^; もう40年も前のことですね。ちなみに今は、平日週末にかかわらず、いつも混雑している人気店として定着しているのでした。
入り口を入ったところがバー・エリアで、奥がダイニング。ダイニングの壁にはヨーロッパの牧歌風景が描かれていて、豊かな田舎暮らしの一端を垣間みることができるようになっています。ワインリストは愛好家の皆さんにはきっとビビっとくるリスティングのはずなので、ぜひぜひヴィクトリア駅周辺に来られたら立ち寄ってみられては? 想像するに、新しいヴィンヤードとの取り引きを精力的に開拓しているというよりも、老舗醸造所との息の長いリレーションシップを元に作られているリスト、なのではないかと思います。
メニューのほうはフレンチ・ベースのヨーロピアン料理でバラエティに富んでいます。現代風のテイストを取り入れてはいますが、プレゼンテーションもお味のほうも、どちらかというと保守的。もちろん、客層に合わせているというのは大きいと思います。「ここに来ればこれが食べられる」あるいは「この料理はこういう味でなくちゃ」と考える客層の舌に合わせているのかも ^^ 古きよき英国のワイン・バーのノスタルジーに浸りたいときに、どうぞ☆