月2本の原稿投稿を予定してスタートしたにもかかわらず、時間が取れず3月分がお休みとなってしまいました。。。さて今回は、前号で取りあげたメディアとも関係のある、携帯電話のお話です。スマート・フォンが主流となり、 最近ではこどもも毎日使うものになりつつあるので、使用に関する注意点や対策法を紹介します。 使いかたを少し変えてみて、その違いに気づく人もいるかもしれません。ぜひ、ご参考までに。
さほど安全でもない!?
携帯電話での通話時に、機体を耳から1センチ以上離している人は、まずいないと思います。一昨年に電磁界(EMF = Electromagnetic Field)と非電離放射線(NIR = Non-ionising Radiation)に関するコンファレンスに出席した際、携帯電話内の規格等に関するセクションに、無線周波数電磁界曝露(RF Exposure = Radio Frequency Exposure)に関するページがひっそりと身を隠しているということを知りました。あとで自分の携帯電話をチェックしたら、聞いたとおり「こんなところに!」というところに発見。曝露によるダメージを少なくするには、通話時はスピーカー設定にするか、イヤホンやその他のアクセサリーでハンズ・フリーにするように、また、からだから最低10ミリ離して持ち回るようにと記載されていました。
2011年の 国際保健機関(WHO)およびIARC(International Agency for Research on Cancer)のプレス・リリースNo.208では、携帯/コードレス電話の使用による悪性脳腫瘍のリスク調査をもとに、無線周波数電磁界は「ヒトに対し発がん性を示すかもしれない」と分類。また、各種の研究結果をもとに、発がん性を判断するには情報が不十分としながらも、携帯電話のヘビー・ユーザー(過去10年にわたり一日平均30分通話)の場合、脳腫瘍のリスクが40%高くなるという研究結果があることも記載しています (1)。
携帯電話やコードレス電話と脳腫瘍など頭部への影響に関する調査は、すでに長期にわたり各種行われていますが、問題が表面化しない理由には、一般消費者の誤解などを防ぐ目的もあるようです。人体に害はないという文献もあり、電磁界や非電離放射線の害をはっきりと提示している専門家たちのメッセージとの間には、ギャップがみられます。
スマート・フォンとタブレットやラップ・トップ
これらの電子機器は、電波を提供している場所ならワイファイでのネット接続可。電子機器とワイファイ・テクノロジーの関係は新しい領域なため、これらの使用によって各種の電磁界が重なり合った場合に、人体が受ける影響は今のところ未知数です。スマート・フォンの場合は従来の携帯電話と同様、電磁界による影響は頭部に集中しますが、タブレット等はからだの他の部分と近くなるため、今後の研究結果が気になるところ(2)。結果がどうであれ、特に混み合うカフェなど、一カ所で複数がワイファイ接続や携帯で通話/テキストするような場所は、極力避ける必要があるようです (3)。
一体何が問題?
電磁界/非電離放射線は目に見えませんが、細胞や遺伝子レベルで変化を起こします(3)(4)(5)。主な症状は、頭痛/不眠症/痛み/不整脈/視覚の問題/鬱で、その他各種の不調がリストにあがっています(6)。原因が特定できる典型的な症状がないため、悪影響を受けていても、それが電磁界/非電離放射線によるものと特定できる人は希少だと思います。生活環境や遺伝子情報によって個人差があるとされる閾値は、その一定の領域を超えると、電磁界過敏症(EMS = Electromagnetic Sensitivity)を引き起こすと考えられています。症状が悪化すると、電波や電磁界のある場所にはいられないほど、具合が悪くなるそう。前述のコンファレンスには、特殊な生地で作った洋服や帽子で全身をカバーした(でないと外には出られない)過敏症の出席者が数人。そのため、当日の会場はワイファイなしで、スタート時には、全員携帯の電源を切るよう指示がありました。
EMSの症状は多岐にわたり、一般の医師による診断や治療が困難な領域。その他の過敏症を併発/悪化させることと、厄介な病気に導くことにもなり兼ねないため(7)、原因が特定できたとしても、回復までの道のりが長くなる場合も考えられます。
こどもの携帯電話使用に関しては、2008年に28,745人の7歳児を対象に行われた、携帯電話使用に関する調査で、妊娠期間中に母親が使用した携帯電話の度合いと、生後そのこどもが使用した携帯電話の度合いが多いほど、こどもの態度やふるまいに問題が多いというデータが出ています(8)。
市場に出回っている携帯電話は、もちろん公に設定されたガイドラインの推奨値に適合する商品ですが、懸念されるのは限界値を下回る低レベルでの長期曝露や、複数の影響が重なった場合。新技術や新商品の長期使用に対する安全性には、疑問がつきまといます。商品自体の安全性が保障されていても、実際わたしたちの生活環境内で使用した場合には、影響が複雑化するのでは?と思ってみたり。各種の情報を総合すると、決定的な結果を待つまでもなく、日頃からの防護対策に取り組むのが適切といえるでしょう。
(今回は、特に携帯電話と電磁界/非電離放射線のみに絞っていますが、その他にも電磁界を作るものはたくさんあるので、追って紹介する予定です。)
ダメージを最小限にするための、主な対策法
- ワイファイ接続していないときには、携帯電話のワイファイ設定をオフにする。
- 使わない時間帯は電源を切るか、フライト・モードに切り替える。
- 自宅でワイファイ接続していないときには、ルーターの電源も切る。
- 携帯電話は、洋服のポケットなどに入れて持ち回らない。
- 通話は、電気を通さないエア・チューブ式のイヤホン使用か、スピーカー設定にして話す。
- 特に、こども(成長中)と妊婦の携帯電話使用は、避けるか最小限にとどめる。
(自宅用コードレス・フォンも危険。電話線のつながった電話機が一番安全。) - 電波が増幅されるため、特に移動中の車両(自家用車/タクシー/バス/電車)内での使用を避ける。
- 屋内/外にかかわらず、電波の弱い場所での使用を避ける。
- ワイファイを提供しているカフェなど、複数の人が隣り合って接続している場所はできる限り避ける。
(自分が使用中でなくても、使用中の人たちの電磁界に入るため) - バッグに入れる場合には、できるだけからだから離れたところに入れる。
- 就寝時には、枕元に置かない(または、フライト・モードに切り替えるか、電源を切る)。
- 毎日新鮮な野菜を中心に、抗酸化作用の高いものや解毒作用のあるものをしっかり食べる。
- 十分な運動、清浄な空気、アーシング(=放電)、水分補給、日光浴、十分な睡眠を考慮。
携帯電話に加え、その他電子機器や電化製品が生活必需品となっている今日、わたしたちは日々一定の非電離放射線にさらされて暮らしています。一般消費者に知られて具合の悪いことは、なかなか公にはならないもの。携帯電話は便利ですが、その反面、安全性が問われるものであることもお忘れなく。商業目的の売り込みに惑わされたり、まわりに流されたりせずに、基本的な知識を身につけて防護体制をとることが理想的だと思います。
参照:
1. The WHO/IRAC (2011). IRAC Classifies Radiofrequency Electromagnetic Fields as Possible Carcinogenic to Humans, Press Release No.208, IRAC. p.1-2
2. European Commission. (2015). Scientific Committee on Emerging and Newly Identified Health Risks (SCENIHR) Potential health effects of exposure to electromagnetic fields (EMF). Health effect of EMF – 2015 01 20. p.4, 54, 55
3. Philips. A. (2014). The Human Studies – A Critique of the Evidence, Electromagnetic energy – affecting the process of life. [British Society for Ecological Medicine Conference: Electromagnetic Radiation and Health: Evidence, Diagnosis, and Management] 7 March.
4. Pall. M. (2014). Electromagnetic Field (EMF) Including Microwave Action Via Voltage-Gated Calcium Channels (VGCCs): Widespread Health Concerns for Due to VGCC and Calcium Roles in Many Diseases. [British Society for Ecological Medicine Conference: Electromagnetic Radiation and Health: Evidence, Diagnosis, and Management] 7 March.
5. Dasdag.S et al. (2015). ‘Effects of 2.4 GHz radiofrequency radiation emitted from Wi-Fi equipment on microRNA expression in brain tissue’. Int J Radiat Biol. 2015 Jul;91(7):555-61. doi: 10.3109/09553002.2015.1028599.
6. Bevington, M. (2014). Electrosensitivity: Symptoms and Impact. [British Society for Ecological Medicine Conference: Electromagnetic Radiation and Health: Evidence, Diagnosis, and Management] 7 March.
7. McLaren-Howard, J. (2014). Biochemistry of Electrosensitivity. [British Society for Ecological Medicine Conference: Electromagnetic Radiation and Health: Evidence, Diagnosis, and Management] 7 March.
8. Divan.HA et al. (2012). ‘Cell phone use and behavioural problems in young children’. J Epidemiol Community Health. 2012 Jun;66(6):524-9. doi: 10.1136/jech.2010.115402.
2件のコメント
F.Whiteさん、一年以上も経った今日になって、コメントいただいていたのを発見しました。
返信が半端ではない遅さで大変申し訳ないです。。。
いただいたメールから察すると、複数の方が脳腫瘍でお亡くなりになったのですね。
現在のところ、空気中に飛び交う電波はその数が増えると同時に、強くなる一方なんです。
これは、人類史上(この地球ができて以来)かつて存在しなかったもので、
電波は目に見えないのが怖いところ。できる限りの防御対策をとってくださいね。
気になっていた事を教えていただき、ありがとうございました。
夫の友人で携帯電話のHeavy userであった方たちは、多くの方が脳腫瘍で亡くなっていらっしゃるので、携帯電話と癌の関係は絶対にあると確信していました。