前号から間隔があいてしまいましたが、前々号でエッセンシャル・オイルの基本的な情報を網羅したところで、今回は実践編です。植物に含まれる、エッセンシャル・オイルを楽しむ方法や、オイルを使用する際のアイデアなどを紹介します。これを機に、ご自宅に数本常備してはいかがでしょう?
自然にあるものの、香りを楽しむ
エッセンシャル・オイルの使用だけが、自宅で自然の香りを楽しむ方法とは限りません。例えばラベンダーのドライ・フワラーを買ってきて、そのまま部屋に置いてもいいでしょう。フワラー部分を小さな布バッグに詰めてタンスに入れれば、立派な虫よけになります。どちらもオイル成分が空気中に放たれて、しばらく香りが楽しめます。また、フレッシュ・バジルをオリーブ・オイルの瓶に詰めて数日置いておくと、エッセンシャル・オイルを含むバジルの成分が、オリーブ・オイルに浸透して、バジル・オイルができます。魚料理、トマト・ソースやサラダ・ドレッシングにいいと思います。また、気分を持ち上げたい時には、オレンジやレモンの皮(オーガニックが理想的)を刻んだりおろしたりしてお料理やハーブ・ティーに加えてみましょう。日本にいた頃、冬に柚子の皮をお風呂に入れて香りを楽しんだことがあります。和風のアロマセラピーですね。
エッセンシャル・オイルを使う
香水や芳香剤、洗剤などを含め、合成の香料が使用されているものは、ほぼ間違いなくフタレートが使用されているようです。032号でフタレートについて取りあげたとおり、健康や環境へのダメージが懸念されるため、できる限り避けたいもの。その代わりに、エッセンシャル・オイルを使ってみませんか? 5〜6種類揃えて組み合わせを変えれば、かなり香りの違うブレンドができると思います。香水とは違い、いつまでも香りが残るということはありませんが、ナチュラル系無香料のシャンプーやクリーム基材にお気に入りのエッセンシャル・オイル数種を数滴足せば、簡単にオリジナル・ブレンドが楽しめます。また、ケミカルのきつい市販のお掃除用洗剤の代わりに、酢や重曹にタイムやティーツリーなど殺菌力の強いエッセンシャル・オイルとオレンジやラベンダーなどをお好みで2〜3種混ぜて、人にも環境にも優しいDIYお掃除用アイテムを作ってみてはいかがでしょう。ちなみに、すべてのエッセンシャル・オイルには、多かれ少なかれ抗菌作用があります。(これは、植物が細菌から身を守るためのもの。)その他では、レモネードなどの飲み物や、お料理・お菓子作りにも使えます。凝縮されているため、微量の使用で十分です。ちなみに仕事では、ソーダ飲料が癖になっている人たちには、スパークリング・ウォーターにレモンかオレンジのエッセンシャル・オイルを1滴と液体のステビアを2〜3滴足して代用するよう指導しています。また、特にストレス対策の必要な人たちには、職場のデスクにお気に入りのオイルを一本常備して、日中に1〜2回、左鼻腔で香り付きの深呼吸 (副交感神経を刺激) を2〜3回するよう勧めています。
まずは、以下のオイルをいくつか揃えてみてはいかが?
*オレンジ/ベルガモット/グレープフルーツ/ライム/レモン… 柑橘系は2〜3種あると便利。すっきり軽やかでフレッシュな香りは、他のオイルと合わせやすいと思います。
*ラベンダー…みんなが知っているラベンダー。好き嫌いは、個人の持つ香りの記憶で左右されますが、基本的にオールマイティーなので、一家に一本常備していただきたいオイルのひとつ。
*フランキンセンス… 鎮静系のすっきりした木の香り。呼吸を深くするのに有効で、数年前には抗がん作用で話題になったオイル。
*サンダルウッド(白檀)… 甘く心地のよいソフトな木の香り。リラックス系のブレンドにどうぞ。お香を焚くと煙を吸うことになりますが、オイルなら空気はクリアな状態が保てます。
*ゼラニウム…ローズにも共通する花のようなフェミニン系の香り。ホルモンのバランスを整えるのに有効なので、感情の揺れやPMSにいいと思います。
*マジョラム…すっと染み込むような香りで、筋肉痛の緩和などに使えます。グレープフルーツやラベンダーとともに少量をボディクリームなどに混ぜて、肩や首のセルフ・マッサージにいかが?
*ローズマリー…脳機能・記憶力向上や抗酸化機能が注目されるオイル。頭がすっきりしない日や頭痛のあるときに、希釈した少量をこめかみに擦り込むと効きそう。放射線からの皮膚保護にも有効だとか。
*ペパーミント…こちらも頭すっきり系。DIYマウス・ウォッシュや歯磨き粉作りに便利。
*ティーツリー…殺菌用オイルとして、常備しておくと便利。塩と一緒にDIYうがい液に一滴加えてもよし。
エッセンシャル・オイルは植物の香りを構成するケミカルなので、成分の違いによって香りが異なります。例えば、レモンやライムに含まれるリモニーンという成分は、柑橘特有の爽やかな香りの原材料。成分の違いにより禁忌事項も異なるので、各オイルの性質などをしっかりチェックして、楽しく安全にエッセンシャル・オイルを使用しましょう。