テーブルコーディネートで魅せる!「北欧デザインの煌めき」巡回展

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今年秋に開催された「ロイヤル コペンハーゲンと北欧デザインの煌めき アール・ヌーヴォーからモダンへ横須賀美術館)に行ってきました。この展覧会は今後も日本各地を巡回していくので、皆さんのお近くにやってきたときはお見逃しなく。以下にご紹介しますね。

きっと多くの皆さんが、あの北欧メーカー、ロイヤル コペンハーゲンをお好きだと思います。本展では少し時代をさかのぼり、19世紀末から20世紀の陶磁器、銀器、ガラス器を中心に、デンマークとスウェーデンの北欧デザインの魅力を紹介しています。

この素敵な展覧会で、出品作品の一部を取り入れたテーブルセッティングの監修、設営を手掛けられたのが、あぶそる〜とロンドンでも何度かご紹介させていただいている、食・空間プロデューサー山本侑貴子さんです!

山本侑貴子さんを取り上げた記事:
英国女王陛下に献上されたファーストクラス紅茶【ジョージスチュアートティ
新宿SONPO美術館 食を彩る植物のものがたり おいしいボタニカル・アート

今回は侑貴子さんに伺ったお話を交えながら、テーブルコーディネートの話題を中心にご紹介していきます。

この日は侑貴子さんと共にボランティア活動をしている仲間たちと美術館に集合しました。私自身、横須賀は初めて。東京からだと電車で約2時間半、ちょっとした小旅行気分で出かけました。

三浦半島の東端、観音崎にある横須賀美術館。森に囲まれ、目の前に東京湾が広がるロケーションはとても魅力的です。館内の海が見えるミュージアムショップを抜けると、煌めきの北欧デザインの世界が広がります。

(展示フロアは撮影不可ですが、侑貴子さんの2点のコーディネート作品は撮影可能でした)

まずは数あるヨーロッパ名釜の中で、日本で高い人気を誇っているロイヤル コペンハーゲン。デンマーク王立磁器製作所を起源とするロイヤル コペンハーゲンは、上質な磁器の生産で早くから国際的な評価を得、19世紀には技術とデザインの革新によって北欧アール・ヌーヴォーの先駆けとなりました。

フランス語で「新しい芸術」を意味するアール・ヌーヴォー。ロイヤル コペンハーゲンではアール・ヌーヴォーをどう表現したのでしょうか。19世紀末に釉下彩(ゆうかさい)という技術を確立し、グラデーションを効果的に使った多彩な色彩表現で、絵画的な奥行きのある質感を生み出したのです。その風合いが人々を魅了することになり今もなお高い人気を得ています。

釉下彩とは顔料であらかじめ描いた絵の上に釉薬をかけて焼成する技法 熱せられた磁器はミルキー色に輝きます

一つめのコーディネート作品
伝統と革新、クラシックモダンを表現した〈ディナーテーブル〉です。

「コレクションのものと、現代のものとを融合したテーブルコーディネートにチャレンジしてみたかった」

国内外の個人による稀少なヴィンテージ・コレクションを含む多くの作品から、どれを使いたいか、またどのようにコーディネートするのかについて、一枚一枚図案化したものを企画チームにプレゼンしていくことから始まるそうです。しかしテーブルコーディネートに使いたい作品が、陳列展示品と重なってしまう場合もあります。その時は再度の練り直し。大きさ、模様、色合い、他の作品とのバランスなどを見つつ、ご自身の経験とセンスで提案していきます。

無造作に見えるコーディネートが、現代らしさ。「かちっと」させない。

鮮やかで洗練されたブルーフルーテッド(花を中央に置く放射線状の紋様パターンと、表面に刻まれた放射線状の節目に特徴があるシリーズ)。今もなおこの色褪せない美しさに、すぐさま私たちは釘付けとなりました。白と紺のコントラストにどこか和食器に通じるようなニュアンスを感じますね。

・大きめのプレート: ブルーフルーテッドメガシリーズを使用
・カトラリーとピッチャー:ジョージ ジェンセン(創業者ジョージ・ジェンセン 1866-1935)。110年以上の歴史を持ち、時代の最先端をいくデザイナー、アーティスト等とのコラボレーションを通じて、ジュエリー、シルバー製品他、幅広いプロダクトを展開しています。
・グラス:作家べント・スィヴェリーン。1925年設立のデンマーク王室御用達ブランド Holmegaard(ホルムガード)。

・バターパット5つ、オーバル皿、コンポート ブルーフルーテッド
オレフォス(1726年設立)のデカンタ。デザイナーと職人の相乗効果で生み出されたスウェーデンのガラスメーカー。
コスタ(1742年設立)の花瓶。ヨーロッパの現存するガラス工場の中で一番古い歴史をもっています。

高さを出すために花瓶も高いのを使用したかったけれど、周囲に針金を施しバランスを持たせる必要があったので、この高さになっているそうです。また主役の食器とのバランスで花材を選び、大きさも決めているとか。コーディネートしたご本人の解説を聞きながら回る展覧会はかなり贅沢で興味深いものでした。美術館内は生のものは一切展示できないので、オリーブ、レモン、花も全て資材屋さんから調達したものだそうです。

二つめの作品は、これまた可愛い♪  ヒュッゲなひととき〈ティーテーブル〉です。

食器はロイヤル コペンハーゲンのブローカント。模様はなくシンプルな北欧らしいデザインです。どんなインテリアにも合わせやすい白磁に、丸みをおびたフォルムが素敵ですね。アンティークな壁紙とスウェーデンでよく知られたテーブルクロス。北欧デザインの魅力をたっぷり味わえます。冬の長い北欧での家の中での暮らしを見事に再現した、あたたかみあるコーディネートです。

しかしこの作品の主役はオレフォスの花器だそうですよ!ロイヤル コペンハーゲンは脇役なんですって!

このテーブルの主役は花瓶 花瓶の紹介しかされていません!

全てに釘付けになってしまうような、素晴らしい美術館鑑賞でした。

せっかくなので、その後は美術館併設のイタリアンレストラン「アクアマーレ」でランチタイム! 地元の素材を楽しめる素敵なお店で、海を見ながらスプマンテで乾杯。ちょうどお誕生月だった侑貴子さんと私ナミヘイをみんなにお祝いしてもらいました!ありがと〜♪

美術館によってさまざまな制約がある中、いかに今と昔を融合させた北欧の世界を表現するのか。観覧するだけでは伝えきれない彼女の思いの丈が伝わるツアーでした。

今後も機会がありましたらご紹介していきますね。どうぞお楽しみに!

「ロイヤル コペンハーゲンと北欧の煌めき アール・ヌーヴォーからモダンへ」展は、2023年9月横須賀美術館から約3年かけてニッポンを巡回していきます。次回は郡山市立美術館 2024年1月30日(火)〜3月24日(日)幸福度の高い暮らしで知られる北欧の日常世界をお楽しみください。もちろん山本侑貴子さんのテーブルコーディネートとご一緒に!

 

【ロイヤル コペンハーゲンと北欧の煌めき アール・ヌーヴォーからモダンへ】
◆郡山市立美術館 2024年1月30日(火)〜3月24日(日) 9:30〜17:00 毎週月曜休館
〒963-0666 福島県郡山市安原町大谷地130-2
TEL: 024-956-2200(代表)
URL:https://www.city.koriyama.lg.jp/site/artmuseum/
◆横須賀美術館  開催終了
〒239-0813 神奈川県横須賀市鴨居4丁目1番地
TEL046-845-1211(代表)
URL:https://www.yokosuka-moa.jp/

【株式会社 ダイニングアンドスタイル 山本 侑貴子】
Instgram:@yukiko.diningandstyle

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兵庫県伊丹市出身。東京都在住。主婦時々パートタイムジョブをこなす。子育て期をニューヨーク、ロンドンにて駐在生活を送る。思いつきのその日決めで行動する一匹オオカミ派。『成るように成る』をモットーに今世を生きる。水泳・ジョギング・登山・ウクレレ・映画・ライヴ鑑賞・奉仕活動と未知なる自分を今後も探求し続ける。Instagram: @n_amihey

2件のコメント

  1. アバター画像

    侑貴子さん、いつもありがとうございます♪
    みんな揃って訪ねた時間は本当に楽しかったですね。完成に至るまでのお話を聞きながらの鑑賞は心に迫るものがありました!
    年が明ければいよいよ郡山。開催チラシも美術館ごとに違うのには驚きました!さらにブラッシュアップした「北欧デザインの煌めき」展、楽しみですね。
    来年は東京脱出計画もできたらいいな〜笑!これからもよろしくお願いしま〜す。

  2. 山本侑貴子 on

    ナミヘイさん

    ロイヤル コペンハーゲンと北欧の煌めき展の、詳しく丁寧な、素晴らしいレポートを、本当にありがとうございます✨

    皆さんと一緒に美術館を訪ね、テーブルを見ていただき、更にバースデー祝いまでしてただいて嬉しかったです!

    あの日の楽しい時間が蘇ります。

    郡山美術館での展示はアートフラワーを変更し、観葉植物(人口)や、ライトなども追加しますので、奥行きのある空間になるかと!

    おいしいボタニカルアート展の時も感じたのですが、美術展は、巡回するごとにブラッシュアップしていくのですね!

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