また会おう、歩粉。まあるい有機に勇気をもらって

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昨年2024年12月28日、京都市北区 大徳寺のそばで6年間営業を続けてこられた「歩粉」(hoco)さんが閉店しました。

閉店のお知らせ以降、たくさんのお客さまが全国から足を運ばれ、素材の味を損ねないシンプルで力強いお菓子たちを心ゆくまで楽しまれたことでしょう。

「歩粉」の店主、磯谷 仁美(いそたに ひとみ)さん。
2005年 焼菓子のネット販売をスタート。2006年10月 東京・恵比寿に月替わりのデザートが楽しめるカフェ「歩粉」を開店しました。メニューは、デザートフルセット(デザート2皿とドリンク)、デザートSセット(スコーン2個とドリンク)、スコーンセット(デザート1皿とドリンク)の3つだけです。「楽しいカフェ時間を過ごしてほしい」という磯谷さんの思いは、全国のスイーツファンから圧倒的な支持を集めるようになるのです。しかし2015年2月、恵比寿の店舗建物の都合で閉店。その後、語学を身につけ、お菓子のことももっともっと知っていきたいなと思った磯谷さん。店ではなくちょっと違ったアプローチでお菓子のこと、自分が感じる美味しいことやそれにまつわることに向き合ってみたいという思いから、かつて訪れたことがあるアメリカ・オレゴン州ポートランドへ渡ります。「アメリカで最も予約の取れないレストラン」として知られる、カリフォルニア州バークレーにあるローカル&オーガニックフードの先駆者、アリス・ウォータースが経営する伝説的レストラン「 シェ・パニーズ 」でのインターンシップを含め、約2年半アメリカンベーキングを学び帰国。2018年10月秋 京都でデザートが楽しめるカフェ「歩粉」を再び開店したのでした。

まさにその開店は「おかえりなさい!」そのものでした。

月替わりで提供されるセットメニューがこのカフェのこだわりでもありました。1月は温かいデザートが登場したり、2月はお分かりですよね?そう、チョコレートです。3月はイートンメスが登場したこともありました。4月、5月、6月…と、こうして京都で6年間営んでこられたのです。

「いつか食べてみたい」そう思い続けていたこの私。その願いは少し遡りますが、2023年11月に実現したのでした。

まだ紅葉には少し早い京都の11月。一生懸命歩くと少し汗ばむほどの陽気な昼下がりに、私達はこの弁柄(べんがら)色の壁を目指してやってきました。

土から取れた古代色「ベンガラ」は大地の色であり日本の暮らしを彩る色

大きな窓の扉の中は、白を基調にした優しくて温かい雰囲気。天井が高く開放感ある空間でした。

倉庫として使われていた古い建物を改装したというお店

何気なく置かれた小物や器を眺めるのも楽しい♪

大きな窓を正面に見ながら、私達は中央の大テーブルに座りました。ざっと見渡し14席ほどでしょうか。カウンター席が多いのは一人で来店される方が多いからなのね…なんて友人と話しながら、11月のデザートを待ちました。

この大テーブルは、かつてカウンターとして使われていた木材をつなぎ合わせ天板にしリメイク

「スコーンにはやっぱり紅茶よね!」そう目で語るスコーン好きな友人。スコーンセットとポットの紅茶に大満足のよう♡たっぷり飲むぞ〜と言わんばかりです。

静岡 丸子(マリコ)の国産有機紅茶。ストレートはもちろんのこと、ミルクとの相性も抜群です。あ〜美味しい!友人の目がそう語りかけてきます。

何種類もの国産有機紅茶を取り寄せ飲みくらべ、ようやく出会えたもの

スコーンには、紅玉りんごの自家製ジャム、国産純正蜂蜜、ホイップクリームが添えられています。

「歩粉」の代名詞とも言うべき、全粒粉が効いたザクザク食感スコーン

次はデザートフルセット。タワーで提供されるアフタヌーンティーを2皿に分け、コースのように順にサーブしてくれました。

まず1皿目のスコーンプレートです。隣で食べる友人のスコーンセットに、さらに小豆の炊いたのとあんずのコンポートを添えた豆乳くずもち、エッグクラッカーサンドが加わります。ほのかな豆乳の風味とまろやかな食感のくずもちが未だに忘れられません(笑)。豆乳くずもちに添えてある自家製あんこをスコーンにつけて食べてみました。これまた笑顔こぼれる美味しさです。ちょっと甘いものが続いたので、エッグクラッカーサンドでさっぱり気分転換といきましょう。

カトラリー類はアメリカ時代に少しずつ買い集めたビンテージもの

つぶつぶだったり、なめらかだったり、ひんやりしたり♡

2皿目には3種類の月替りのお菓子が並びます。

旬の素材をふんだんに使った季節のデザート

長野県飯綱町から届く紅玉を使ったバターケーキです。ベストな割合で混じり合った甘酸っぱいりんごとケーキ生地。このしっとりしたケーキは、ヨーグルトシャンティでいただくのが一番美味しいのです。

秋といえば栗。それも和栗のプリン!なんて贅沢なことでしょう。蒸し焼きプリンに黒糖ミルクソースをかけてじんわり味わい尽くしました。

ふわふわシフォンケーキは、りんごと同じ産地、長野県飯綱町産の新そば粉を使いました。新蕎麦の時期ならではの、香りもふわふわケーキです。そして三重県産無農薬シークワーサーで作ったキャンディーピールが、ギュッギュッと濃厚に口に鼻に広がります。ひとくち味わうたびに、全てが最善な状態でサーブされているのがわかります。

「また来ようね」そう心に決めて、弁柄色の壁をあとにしたあの秋の日がとても懐かしく感じられます。

粉や素材達が形を変えておいしいものにかわり、食べた人の気持ちも、まあるく前を向いて歩いて行けたらいいな、という思いで名づけた「歩粉」(hoco)という名前。

またこの先必ずどこかで出会えるはず。私達もその日を楽しみに歩き続けることでしょう。

ごちそうさまでした

 

【歩粉(hoco)】2024年12月28日閉店 次のステップは下記で。
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兵庫県伊丹市出身。東京都在住。主婦時々パートタイムジョブをこなす。子育て期をニューヨーク、ロンドンにて駐在生活を送る。思いつきのその日決めで行動する一匹オオカミ派。『成るように成る』をモットーに今世を生きる。水泳・ジョギング・登山・ウクレレ・映画・ライヴ鑑賞・奉仕活動と未知なる自分を今後も探求し続ける。Instagram: @n_amihey

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