成熟を続けるブラック・コミュニティが独自にカルチャーを形づくる南ロンドンのペッカムで、2015年のオープン以来大人気のチャーミングなブラッセリー。かつてオスマン帝国が勢力を伸ばした地中海沿岸地域の中でも、東欧のバルカン諸国やトルコなどの料理をテーマにしています。
ペッカムは駅の南側にあるペッカム・ライ公園の周りと、イースト・ダリッジへと向かう西側のオシャレ化で知られますが、現在は東のQueens Road Peckham駅周辺もどんどんモダンなレストランやカフェができていて大注目なのです(もちろんレトロ感も健在)。ペッカム・バザーは東側の住宅街に突然現れる、オアシスのような存在です^^

このサインが目印!

フロント・ヤードにある赤い電話ボックスがオーナーさんのアート・ステートメント^^

気取らないシンプルなダイニング。心地よい空間♪
料理なんですが、メニューの文字を見て注文したものと、運ばれてくるものにこれほどいい意味での驚きのギャップのあるお店は私自身、久しぶりでした。メニューはスターター的なお値段のものとメイン枠と分かれていて、全体的に量に対してとてもリーズナブルです。ロンドン中心部の店の感覚だと「タパス的な量なのかな?」と思って2人で野菜・魚介・お肉とバランスよく5皿頼んでみたのですが・・・!

パンの盛り合わせがすごい量! フェンネルとオレンジのサラダはとても地中海風^^

ホイシン・ダックの揚巻! ソースも付け合わせもユニークでした。アジア風にまとめられた一品。

グリル料理はマストです! タコ最高。量もすごい! 右は「コジェット・フリッター」。これが一番驚いた一品。小さいフリッターはよく見かけるけど、これは巨大。コールラビのコールスローも付け合わせとして美味しいけれど、とても重い皿なので日本人にはあまり向いていないかもしれません。

カラっと揚げ焼きされたヒメジ(red mullet)♡ 4尾も。地中海風ペッパー・ソース、そしてご飯と一緒にいただきます♪
とにかくすごいボリュームでした! 予期しない形で出てくるものもあり、味も概してとても美味しい。シェフはアルバニア人のジョン・ジオンレカさん。こちらの記事でジョンさんは、移民1世なら誰しも生きていくために入りやすいのが外食産業だけれども、生きのびるためにこの仕事をするのではなく、料理そのものを楽しみクリエイトすることに情熱を傾けることで自分との対峙に成功するのだ、と言っています。食は人生から切り離せないものであり、同じテーブルに着くことで誰もが平等になる。同じ料理を囲み心を平らにして食事をすることで、テーブルの向こう側にいる人との会話の中に大切なものを見出せるのだと。つまり・・・食は人と人を結びつけてくれる大切なカルチャーだということですね^^

自家製バクラヴァも美味しかったし、自家製アイスも絶品でした。中東っぽいすごく変わったアイスだったけど・・・覚えてない ^^;
ペッカム・バザーは、通常のどのレストランとも少し違っているように感じました。料理のトレンドに左右されず、自身が良いと思う料理を出し続ける。量が多いのは、地域に住む人々の食の志向やカルチャーを理解しているからなのでしょう。
シェフ自身のルーツに根ざしたステートメントとしての料理を大切にし、口コミで広がって、個性あるレストランとしてレジェンドになっていく。そんな未来が見えています^^ カジュアルだけれどモダン。南ロンドンで素敵にリーズナブルにお腹いっぱいになりたいときは、ぜひペッカム・バザーを試してみてくださいね。外には暖房&屋根付きの外スペースがあるので、今の時期にぴったり!