Padella Shoreditch パデッラ・ショーディッチ
ロンドン・ブリッジに2016年に颯爽と登場して以来、ロンドンにおけるパスタ業界を刷新し、まったく違うものにしてしまった立役者、Padellaの2号店がこちらです。
パンデミック直前にオープンしたものの、長期間のクローズを余儀なくされたパスタ界のスター選手が、ヒップなショーディッチでいま大輪の花を咲かせている、と言うお話を今回はしましょう♪
行列覚悟、ウォークインのみのバラ・マーケット本店と違って、ショーディッチ店は予約可能♪ これだけでも朗報なのですが、ショーディッチらしいインダストリアルな空間は “バー感” が半端なく、「マティーニ片手にほろ酔いパスタ・デート」みたいなことも楽しめるプレイフルなところが本店とは大きく異なるところ。早い夕方からお洒落なイースト・ロンドナーたちがわんさと詰めかけておりました。
前菜でまず目を引いたのがこちら。ブラック・イベリコ・トマトのブルスケッタ。なんという美味しさ、自然の恵みでしょう。しっかり太陽を浴びたトマトのジューシーな甘みにオレガノ風味のドレッシングがよく絡み、サワードゥ・ブレッドにほどよく沁みて。これだけで最高のブランチになりそう^^
パデッラの定番前菜であるクリーミーな上質ブラータ・チーズもパンと一緒に堪能♪ クラフト・オリーブ・オイルが決め手です。前菜からしてすでに「シンプル・イズ・ベスト」の教訓を噛みしめてしまいますね。もちろん素材ありき、ではありますが。
さてさて。ではどのパスタを食べるべきか?
バラ・マーケットがオープンした際の当サイト・レビューを振り返ってみたのですが、なんと定番人気メニューはほとんど変わっていません! 定番は定番として、永遠に君臨し続けるのです。
うどんのような見た目の名物「Pici cacao & Pepe /ピチ・カチョエペペ」は、いつもそこにあります。ペコリーノと黒胡椒というシンプルなソースでいただくもっちりパスタ。日本で言うと讃岐うどんのようなイメージでしょうか。ローマ名物なのだそうですよ。アルデンテを楽しみます♡
そして絶対に絶対に試していただきたいのが、ドーセット産の新鮮なカニ肉を堪能するタリオリーニ。定番のチリ&レモン味で♡
これは美味しさに身をくねらせた一品。良き素材を使った、シンプルで飽きのこない味。生の卵麺そのものの美味しさを、じっくりと味わうべきもう一つのパデッラ名物なのであります。口の中でゆっくり麺をかみながら、その旨味とバランスを味わい尽くしてください。必ずや日本人であるあなたの舌を満足させることでしょう。
しっかりとした歯ざわりを楽しむショート・パスタ、カヴァテッリのカーボロネロ・ソースはこの日のスペシャルでした。グリーンがきれい! アンチョビとガーリックの風味が全体を引き立てますが、あくまでもショート・パスタの歯ごたえを楽しむ品。やはりパスタが主役です^^
お肉を使ったパスタとして、今回はンドゥイヤとマスカルポーネのフェトチーネを。この組み合わせがまずいわけありません! 24カ月熟成させた極上パルメザン・チーズの幸せ風味もしっかりと感じつつ・・・。
デザートにはティラミス、そして塩キャラメル&チョコレートのトルテを。両者ともに王道の美味しさだったのですが、特にチョコレート・トルテは塩キャラメルとの味のバランス、甘さ、舌触りともにバランス良好で至福。濃厚なチョコレート味をリコッタ・クリームで中和していただくのですが・・・♡ このためにリピートしたいほどのお味でした。
今回久しぶりにパデッラを訪れて思いました。主役はパスタそのものなのだと。ソースはあくまで引き立て役。名脇役がいてこその、主役。そのことに、しっかりと気づかせてもらった久しぶりのパデッラだったのでした。
そういえばパデッラ以前、ロンドンに生パスタ専門店はなかったように思います。生パスタに関しては、かっきり「プレ・パデッラ」「ポスト・パデッラ」に分かれるのではないでしょうか。パデッラのおかげで今のロンドンは生パスタ・レストラン花盛りですね^^
ちなみにパデッラの出どころはイズリントンの人気トラットリア「Trullo」なのですが、その源流にはジェイミー・オリバーのFifteenがあり、その先に母なるRiver Caféがあるわけです。と考えると、パデッラはまさにロンドンで育まれた、ロンドンらしいイタリア料理の名店だと言うことに。優れたシェフが素晴らしいレストランをオープンし、その厨房からまた新たな伝説が生まれる。その典型でもある一つの潮流が、ここにあるわけですね。パデッラもきっと、いつか伝説になることでしょう。
さ、美味しいパスタを食べたくなったらパデッラに行きますよ!