<Crumble クランブル>
イギリスではよくお庭でりんごやプラムの木あるいはルバーブなどを育てているお宅がありますが、そんな身近な果物を使って作るお菓子の中でもっともポピュラーなのがクランブル。「Crumble =ぽろぽろに砕く」という意味のとおり、小麦粉とバター、お砂糖を手でぽろぽろの状態にしたものをフルーツの上にのせて焼くプディング(デザート)です。
果物はなんでもよいのですが、代表選手はなんと言ってもりんご。りんご単体あるいはりんご&ブラックベリーの組み合わせも大定番。ルバーブやグーズベリーも人気です。ルバーブやプラムなどのソフトなフルーツならお砂糖と合えるだけ、りんごやなしなどの堅いものならお砂糖とともに軽く加熱してからクランブルをのせ、あとはオーブンに入れるだけ。香ばしいクランブルとジューシーなフルーツ、そして焼きたてにカスタードかアイスクリームでも添えれば心まで温まるなんともホーミーなデザートの完成☆
イギリスの基本的なレシピだと、クランブルを作るのに必要なのは小麦粉とその半分の量のお砂糖とバター(orマーガリン)とそれだけ。このシンプルさから、さぞや昔から存在するのかと思いきや、実は生まれは第二次世界大戦中のこと。戦時中の食料不足の中、少ない配給品でフルーツのパイを作るなんていうことはとても無理、苦肉の作がクランブルというわけです。これならフルーツをパイ生地で上下覆うよりずっと少ない材料で作れます。当時お庭にはお花ではなく簡単に育てられるルバーブなどの食料を栽培するよう指導が入っていたといいますから、そんなフルーツも利用して食卓を少しでも明るくしようとした工夫の産物だったのです。どんと大きな器で焼かれたクランブルを囲めば自然と笑顔もこぼれたことでしょう。
現代ではシンプルなクランブルにナッツやオーツ、あるいはシナモンなどのスパイスを加えることで風味も食感も豊かになり、パブのデザートにはお一人様サイズでおしゃれに登場します。お砂糖の代わりにチーズを加え、フィリングはお野菜などにしたセイボリータイプにお目にかかることも。
フィリング次第で大きく印象の変わるクランブル、早速今晩のデザートにいかがですか?
<アップルクランブル>
①りんごは皮と芯を除いて5mm厚さ位のいちょう切りにカットし450gほど用意。鍋にグラニュー糖50g、水大さじ2と共に入れて、柔らかくなるまで加熱します。耐熱の器に入れておきましょう。(1つの大きな器でも小さなものをいくつかでもOK)
②薄力粉120g、冷たい角切りバター60gをボールに入れ、全体がパン粉状になるまでバターと粉を指先で小さくすりつぶします。グラニュー糖60gを加えて軽く混ぜ合わせます。
③①のりんごの上に②をのせて180℃のオーブンで30分ほど、あるいはクランブルがきつね色になるまで焼いたら出来上がり。
※ 好みでクランブルにシナモンや刻んだアーモンド、オーツなどを加えても美味♪