第12話 Welsh cake ~ウェルシュケーキ~

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イギリスおかし百科


<Welsh cake ウェルシュケーキ>

その名のとおりイギリスのウエールズ地方発祥のお菓子。ほろほろっとしながらもしっとりとした食感と、紅茶にもミルクにも合う優しい味わいから大人にも子供にも人気のウエルッシュケーキ。ウエールズに限らず今ではイギリス中どこでも見かけるお菓子です。

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ウェールズはイギリス(グレートブリテン島)の南西に位置し、その20%が国立公園に指定されているほど自然たっぷりの地方。点在する村々も素朴な雰囲気を醸し出しており、遠い昔からのケルト文化も色濃く残っています。もともとはウェールズ語が使われていたこの地方、大分話せる人は減ってしまいましたが、今も道路標識などは英語とウェールズ語の併記。一度ウェールズでお金をおろそうと銀行のATMの画面に向かったら、ウェールズ語表記で 「△※@」?? 国境も超えていないのに異国気分を味わいました(笑)

ウエールズのマーケットでは大きな鉄板で焼きながら売られています

ウェールズのマーケットでは大きな鉄板で焼きながら売られています

ウェールズ語然り、独自の文化を持つこの地方、お菓子も独特のものが多くあり、「ウェルシュケーキ」はその代表選手。ウェールズ語では「Picau ar y maen 」( cake on the stone の意)、その名の示すとおり、グリドルあるいはベイクストーンと呼ばれる丸く平たい鉄板で焼いて作ります。

ベイクストーンで焼いていると気分はウエールズのお母さん(笑)

ベイクストーンで焼いていると気分はウエールズのお母さん(笑)

生地はバターとお砂糖多めのしっとりリッチなスコーンのような感じと言えば分かりやすいでしょうか。そこにカランツ(小型の干しぶどう)と好みでミックススパイスなどが入ります。これを延ばして型で抜き、グリドルで両面こんがり焼いてお砂糖をまぶせば完成。そのままでももちろん美味しいのですが、軽く温めてバターを塗って食べるのがウェールズ流。ある時訪れたウェールズのホテルでは、薄切りのバラブリス(レーズンたっぷりのウェールズ地方のケーキ)と共にはじめからたっぷりバターが塗られてやってきました(笑)でもこれがまた紅茶によく合い、冷えた体が温まったのを憶えています。

ティールームではバターがたっぷり添えられて、、、

ティールームではバターが添えられてでてきます

オーブンも使わずボールひとつでちゃちゃっとできてしまう家庭のおやつ的存在のウエルッシュケーキ。グリドルなんてなくとも、日本ならホットプレートやフライパンでも大丈夫。ウェルシュケーキと紅茶でこれから来る寒い冬を吹き飛ばしてください☆

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<ウエルッシュケーキ>

①薄力粉225g、ベーキングパウダー小さじ2、塩ひとつまみを合わせてボールにふるい入れ、小さくカットした冷たいバター100gを加えます。全体がパン粉状になるまでバターと粉を指先で小さくすりつぶしたら、グラニュー糖60gとカランツ30gを加えて軽くミックス。

②卵1/2個分に牛乳を合わせて60mlにしたものを①に加えて混ぜ、ひとつにまとめましょう。

③めん棒で厚さ8mm程度に生地をのばしたら、直径5~6cmの丸型で抜き、軽くオイルを塗ったフライパンまたはホットプレートで、弱火で片面7分くらいずつかけながら両面が狐色になるまで焼きます。温かいうちにグラニュー糖をまぶしたら、さぁ召し上がれ☆

マグカップたっぷりのミルクティーも忘れずに~

 

 

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About Author

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ 2018年2月 美味しいイギリス菓子をぎゅ~っと詰め込んだレシピ本「BRITISH HOME BAKING おうちでつくるイギリス菓子」、2018年 12月 「イギリスお菓子百科」。2020年12月「ジンジャーブレッド 英国伝統のレシピとヒストリー」、2021年9月「British Savoury Baking 古くて新しいイギリスのセイボリーベイキング」 を出版。インスタグラム@galettes_and_biscuits

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