ぺんぺん草大歓迎 〜 No Mow May 〜

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今年は春が無かった! 5月は曇りがちで、いつまでたってもセーターが手離せない、ここイギリス。お日さまが出ればそれなりに陽射しは強い。だけど風が冷たい!それなのに下着みたいな服装で街を闊歩しているイギリス人達。見ているだけで寒くなっちゃうわ。うちの野菜達も去年に比べて3−4週間は遅い気がするし。自然は正直よね。そして、6月に入っていきなり夏なのである。

さて、’No Mow May’ (5月は芝刈無し月間)という運動をご存知だろうか? この言葉を知っている貴方、なかなかの英国通。’No Mow May’ は2019年に英国の植物学慈善団体Plantlifeが提唱した運動で、主旨は「毎年5月は庭の芝刈をお休みしようよ。」というもの。おいおい、英国人は庭の芝生にかけてはとても神経を使っている人たちなのに?以前 ‘英国人と芝生‘ というタイトルでコラムをnoteに上げているので、リンク貼ります

なぜか? それは、1970年代以来97%近くの草原が失われているから。じゃぁ、それが意味するものは?この地球上から数々の生物が絶滅しているけれども、昨今の人為的気候変動などで、地球の生態系が猛スピードで変わっている。米国の偉い人達(United States Department of Agriculture)は世界の植物交配の75%は蜂や蝶などの虫たちによって行われそのうち35%の交配は世界の食物になる、と発表している。だから、雑草と汚名を着せられてきたタンポポ、クローバーが育成する草むらが無くなると蜂などの ポリネーター(送粉者)が絶滅する。すると我々はたちまち飢餓に陥るという連鎖となる。花たちが咲き乱れるこの地上の楽園が無くなるのは時間の問題と専門家は実感しているのではないだろうか? コオロギ食とか話題になってるのはもうカウントダウンが初まっている証拠なのでは?(ちなみに、ここ英国ではコオロギ食はほとんど聞かないけど)と私は感じてしまう。個人的には、コオロギ食べられると思うけどさ。でも木やお花が無くなるのは嫌だ、嫌ダァ。英国政府も2014年にポリネーター保護のための方針文章を出しているね。

この季節に毎年ロンドンで開催されるChelsea Flower Show。園芸界のキャットウォーク、トレンドセッター見本市といったところかしら。チェルシー地区にある会場をはじめ、ロンドン市内の至る所で園芸関係の催しが行われる、一大イベント。その後はロイヤル・アスコット競馬、ウインブルドン・テニス大会と英国のハイシーズンの幕開けを正しく華々しく飾る。園芸界のトレンドセッター見本市。今年は主催者Royal Horticultural Society(RHS : 王立園芸協会)は、ポリネーター・フレンドリーな植物のリストを追加したんだって。今年の会場では、園芸家Tom MasseyはRoyal Entoromological Society(RES : 王立昆虫協会)とのコラボレーションで昆虫たちが集まるガーデン、を披露している。キング・チャールズは兼ねてから自然や園芸にはかなり力を入れているから、このポリネーターを守る動きは頗る本気、崖っぷち。

ロンドンは、緑がとても多い都市。うちの共有スペースの緑地も5月は芝刈りを控えている。毎年この草木が目をみはるほどの成長を遂げる頃、私の体は季節に反応してしまう。’春眠暁を覚えず‘。朝まどろんでいるといきなり芝刈り機のモーターの音が午前中いっぱいブゥン、ブゥンと響き続けるのだ。これはかなり地獄の攻め苦なのよ。今年は、春が遅いけれども、朝ゆっくり平和に過ごせて嬉しいわー。しかも、ポピーなどのワイルドフラワーがゆっさゆっさと風に揺れている様はなんとも地球の息遣いを感じさせるものね。と、詩的にうっとりするも束の間6月に入ったとたん、ブゥン、ブゥンーと私の心地よい春眠をモーター音がさえぎるのであった。以前、園芸家の友人に「緑が多いのはいいけど、芝刈り機の音が続くのは地獄だわ。」と愚痴ったら「男はマシーンがすきだからねぇ。」というのだ。妙に納得したわぁ。

英国人、伝統を重んじる気質はここでも変わらない。
はぁぁ〜 また暫く、朝寝はお預けだわぁ。

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鳥取県出身。芸術家、通訳者。日本、米国、ジャマイカ生活を経てロンドン暮らし、ほぼ30年。国内外で旅行、広告会社勤務の後、ロンドンで子育てをしながらアートの学士と修士号を取得。芸術活動、通訳、講師の傍、大学院でネパール行きの奨学金を賞与されたのをきっかけに、社会的企業「Studio23」を2008年に立ち上げ、ネパール山岳地帯の伝統テキスタイルの持続と環境保護の活動をしている。ここ5〜6年はチベット仏教と瞑想を通して、身体で感じる世界を模索中。

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