Artusi アルトゥージ
日本人としてはどうしても「アツシ」と読んでしまう当店ですがw、名前の由来は『台所の科学と良食のアート』というベストセラー料理本を1891年に物しているペッレグリーノ・アルトゥージ氏。今でも売れているという本書は、イタリア版『ビートン夫人の家政読本』みたいな感じなのでしょうか。イタリア料理のバイブルと言われている本だけに、その著者から名前を頂戴するなんて粋な命名もあったもの。確かにイギリスに「ミセス・ビートン」なんていう名前のレストランが現れたら、誰もが注目しそうです ^^
さて、美味しい料理を出すトレンディな店がニョキニョキと現れている注目のエリア、南ロンドンのペッカム・ライに2014年に登場したアルトゥージ、いろいろなメディアで素晴らしいレビューを目にするようになったので足を運んでみました。
ペッカム・ライ駅からイースト・ダリッジ方面に歩いて5分ほど、その昔、フランスから多くのユグノー教徒が亡命してきたという界隈に楽しげな商店街Bellendon Roadがあり、その端っこに佇む当店では名前通りの正統派イタリアンの醍醐味を、気取らない、飾らないスタイルで愉しむことができます。
ここの料理を一言で言い表すなら、「間違いがない」ということでしょうか。平日夜はいくつかの前菜やパスタに加えてメインの肉と魚一皿ずつが加わるだけのシンプルなメニュー構成。日曜日はメイン料理がなくなって、前菜風の小皿とパスタ、デザートだけ。パスタは大小の皿から選べるのですが、小が6ポンド、大で10ポンド程度ととても良心的、しかも小でもなかなかのボリュームなのです。
麺はしっかりアルデンテ。ソースもリッチでメリハリがあり、その他の料理も全て口に運んで一口目を味わうと同時に、あぁ美味しい!と思える安心の仕上がり。東ロンドンのレストランで経験を積んだシェフ、ジャック・ビアーさんのセンスが光っています。
奇をてらわないシンプルさの中にある、間違いのない美味しさ、とてもフレンドリーでカスタマー志向のサービス、どれをとっても人気が出ない理由がないアルトゥージ。南方面にお住まいの方はぜひ試してみてくださいね。