第172話 Tantallon cakes タンタロンケーキ

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<Tantallon cakes タンタロンケーキ>

Tantallon (タンタロン)という名はスコットランドの南東部 East LothianにあるTantallon Castle(タンタロン城)にちなんだ名前。
エジンバラから東に30マイルほど走ったところにあるそのお城は、今は城壁の一部を残すのみとなっていますが、往時を偲ばせるその威容に今も訪れる人が後を絶ちません。14世紀にSir William Archibald Douglasによって建てられたというその城は、ちょっと変った造り。フォース湾に面した、というか、フォース湾に3方を囲まれた崖の上に築かれているので、陸地に面しているのは1方向のみ。その陸地からの攻撃を受けるであろう唯一の面には、2本の濠が掘られ、高さ15メートル、厚さはなんと3.6メートルという強固な壁がそびえていました。ダグラス家の子孫アンガス伯の居城として増強改修を加えながら難攻不落と言われるまでになったタンタロン城。スコットランドで着実に勢力を伸ばした一族の勢いは王家と覇権を争うほどに。数度の包囲戦にも耐えたこの城が陥落したのは1651年のこと。オリバー・クロムウェル率いる軍による砲撃で徹底的に破壊され、今に至ります。

名前とはちょっぴりギャップのある姿のタンタロンケーキ☆

 

さて、タンタロン城の歴史はこの辺にして、肝心のタンタロンケーキに話を戻しましょう。レモンが爽やかに香るこのお菓子はケーキという名前を持つものの、実はショートブレッドの一種。直径7㎝程のビスケットのような姿です。ケーキ、ブレッド、ビスケット、それらの語の使い方にあまりきちんとした線引きのないイギリスの事、紛らわしいことこの上ありませんが、このタンタロンケーキの美味しさだけは明白な事実。
ですが、一体いつの時代から作られているのか、なぜこのお菓子がタンタロン城の名前を冠しているのか、その手掛かりとなるような説明はどこにも見当たりません。中世の衣装を着けた幽霊が出るという事で有名なタンタロン城。初代ダグラス伯ウィリアムの亡霊だとか、ダグラス家に恨みのあるジェームズ5世だとか、いろいろな説はありますが、もしかしたらこのタンタロンケーキを作りだした城の料理人が、このお菓子が忘れ去られるのを恐れて時々顔をのぞかせているのかも?

 

レモンカードを添えて頂いてもまた最高☆

 

<タンタロンケーキ>

  1. 柔らかくした無塩バター4ozグラニュー糖4 ozを白っぽくなるまでよく攪拌します。卵(小)1個を少しずつ加えながら、さらに混ぜます。レモンの皮のすりおろし1個分を加えます。
  2. 薄力粉 4 ozコーンスターチ4 oz重曹一つまみを合わせてふるって①に加え、ひと固まりになるようまとめます。(ここで、冷蔵庫に入れて30分休ませると扱いやすくなります)
  3. 打ち粉をふるいながら②を厚さ4~5㎜になるようめん棒でのばします。
    直径7㎝程度の菊型で抜き、オーブンペーパーを敷いた天板にのせ、160度に熱したオーブンで15分程焼き上げます。熱いうちにグラニュー糖少々をふりかけてそのまま冷ませば出来上がり。

※ 1oz(オンス)=約28g
TIP: 型で抜いた後、一度冷蔵庫で冷やし固めてから焼くと、形がきれいに焼きあがりますよ。

小麦粉と同量のコーンスターチが入るこのビスケットは、口の中で脆く砕けていく食感が印象的です。亡霊=お城の料理人説はさておき、タンタロンケーキの名付け親は、この食感の儚さを、廃墟となったタンタロン城と結びつけたのかもしれませんね。

 

 

 

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About Author

yasuda mariko

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ http://galettes.exblog.jp/ 2018年2月 美味しいイギリス菓子をぎゅ~っと詰め込んだレシピ本 「BRITISH HOME BAKING おうちでつくるイギリス菓子」を出版 2018年 12月 「イギリスお菓子百科」を出版

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