第30話 Scotch pancake ~スコッチパンケーキ~

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<Scotch pancakes スコッチパンケーキ>

前回、イギリスのパンケーキは「クレープのように薄く、くるくる巻いて食べるものなんですよ」~とお話しましたが、イギリス北部スコットランド地方に行くと話しは少々変わります。そこで「パンケーキ」と呼ばれるものは私たちも見慣れた所謂アメリカンタイプのパンケーキ。少々小ぶりではありますが、膨らし粉を使用したふんわりタイプのパンケーキです。薄いイングランドタイプと区別して「スコッチパンケーキ」と呼ばれることが多いのですが、「ドロップスコーン」、「スコッチグリドルケーキ」ともいいます。pancake1

ケルト民族の影響を受けているスコットランドでは、伝統的にパンケーキもスコーンもグリドルという平たい鉄の板で焼くものだったため、熱したグリドルの上にパンケーキの生地ポトリとドロップして(落として)焼くこのパンケーキは「ドロップスコーン」と呼ばれたのです。スコーンというとついついあのアフタヌーンティーに登場するいつものスコーンを想像してしまいますが。。。これに限らずイギリスでは(特に昔からあるお菓子に関しては)、Cake/ Bread/ Scone の境界はひどく曖昧で、日本のようにイーストを使うのがパン、甘いものがケーキという風には必ずしもなっていません。粉と水分を合わせて加熱した食べ物であればどの名がつく可能性もあるので、お店で名前だけを見てオーダーすると想像と違うものが出てくるかも(^^)。

時代が流れ、電磁調理器になった今もなお活躍しているグリドル☆

時代が流れ、電磁調理器になった今もなお活躍しているグリドル☆

突然ですがここで問題。エリザベス女王はこのパンケーキをどの名で呼んでいるでしょう?
答えは「ドロップスコーン」。スコットランドのAberdeenshireにバルモラル城というエリザベス女王の別荘があります。1959年ここに当時のアメリカ大統領アイゼンハワー大統領が滞在しました。その際、エリザベス女王がファミリーレシピでこのドロップスコーンをご準備なさったそう。後にアイゼンハワー大統領への手紙の中にそのレシピを同封しているのですが、それがこれ

<Drop Scone>
小麦粉 4ティーカップ
カスターシュガー 大さじ4
牛乳 2ティーカップ
卵 2個
重曹 小さじ2・クリームオブタータ 小さじ3
溶かしバター 大さじ2
《卵を溶き、砂糖と半分の牛乳を加え、粉も加えてよく混ぜます。残りの牛乳とクリームオブタータと重曹を加えたら、溶かしバターも加えます》
レシピはタイプで打たれていますが、最後にEnough for 16 people(16人分)と手書きで添えられています。
エリザベス女王自らがアイゼンハワー大統領にパンケーキを焼いて差し上げたのかは分かりませんが、バルモラル城での滞在は気の置けないものだったに違いありません。同封された女王の手紙にはこう書かれています。
Dear Mr President,
Seeing a picture of you in today’s newspaper, standing in front of a barbecue grilling quail, reminded me that I had never sent you the recipe of the drop scones which I promised you at Barmoral. I hope you will find them successful…..
大統領、今日の新聞でウズラのバーベーキューの前に立つあなたを見て、約束していたドロップスコーンのレシピを送っていないのを思い出しました・・・・

pancake3

エリザベス女王のドロップスコーン、小麦粉や牛乳の単位がティーカップというのがいかにもイギリス的ですね。たまには朝食にティーカップを使って小麦粉や牛乳を計り、ロイヤルレシピでパンケーキを焼いてみるのもいいかもしれません。ちなみにイギリスの1ティーカップはおおよそ1/3パイント=約190ml 前後です。カスターシュガーはグラニュー糖でOK。重曹とクリームオブタータはそのままベーキングパウダーに置き換えてしまってかまいません。

~なんて言っている私も実はまだこのレシピで作っていませんが、エリザベス女王のレシピですもの、美味しいはず☆ 手紙の後半では「お砂糖をゴールデンシロップやトリークルに代えても美味しいですよ」なんてことまで書いてありますから、是非それも試してみないと☆

 

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About Author

yasuda mariko

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ http://galettes.exblog.jp/

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