第35話 Saffron cake ~サフランケーキ~

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okashi


< Saffron cake サフランケーキ>

イギリスは南西端コーンウォール地方のお菓子「サフランケーキ」。皆さんもよくご存知のあのサフラン、そうブイヤベースやパエリアなどに入れるあのオレンジ色のスパイスを入れたケーキです。

スライスしてたっぷりのバターを塗ったらお茶のお供に☆

スライスしてたっぷりのバターを塗ったらお茶のお供に☆

サフランをケーキに?と思われるかもしれませんが、正確にはイーストを使ったパンの一種。前にもご紹介したように、イギリスでは「ティーケーキ」のように、ケーキと名がついてもお茶のときにバターを塗って食べるパンを指すことがよくあります。このサフランケーキもその仲間で食事というよりはお茶のお供。近頃はローフ型で焼くことが多いのですが、小さく丸めて焼く場合はサフランバンズと呼ばれることも。特徴はもちろんサフランを使っての色づけ、そしてカランツやオレンジピールといったドライフルーツが入る点。なかなか贅沢なお茶菓子です。なんと言ってもサフランは今も昔も世界一高価なスパイス。金と同価値で取引されていた時代もあるというから以前は今よりさらに高価だったのかもしれません。

今作ってもなかなか贅沢なケーキ、昔ならなおの事、、、

今作ってもなかなか贅沢なケーキ、昔ならなおの事、、、

そんな貴重なサフランを使ったケーキですから当然普段から食べるものではなく、特別な行事の際にのみ焼かれるものでした。例えばイースターあるいはWhitsun(イースターから7つ目の日曜日の聖霊降臨祭)の時など。言われてみればこの鮮やかな黄色、イースターにも実にふさわしいケーキです。またWhitsunの頃に催されていたコーンウォールのメソジスト教会による「Tea treat」という イベントの際にもよく焼かれたため「Tea treat buns」と呼ばれることもあります。一張羅に身を包んだ村人たちが集まり、パレードやティーパーティーを楽しむ村をあげてのこのイベント、当時の写真には自分の頭ほどのティートリーツバンズをうれしそうに頬張る子供たちがよく写っています。

今では1年中買えるので、コーンウォール土産にもいいかも☆

今では1年中買えるので、コーンウォール土産にもいいかも☆

さて、お次はコーンウォールとサフランの関係です。サフランといえばイギリスというよりはもっと太陽にあふれた国、スペインや中東のイメージ。Saffron waldenという地名に残るように、一時イギリスでもサフランが栽培されていた土地もあるのですが、それもEssex ですからイギリス南東部の話。実はコーンウォールで採れるあるものが深く関わってきます。それはサフランとは縁遠そうな「鉱物」。この辺りではおよそ2000年ほども前から錫や銅といった鉱山の開発が始まり、海沿いという地の利もあり、早くからこれらをサフランをはじめとしたスパイス類と交換する貿易が盛んな地域だったのです。そのため他の土地より早くからスパイス類がパンやケーキに使われ、一般の人々にも親しまれていたのでした。
海といえばもうひとつコーンウォール独特のお菓子があります。それは「Cornish heavy cake」。

コーニッシュヘビーケーキとコーンウォールの青い海☆

コーニッシュヘビーケーキとコーンウォールの青い海☆

ラード(あるいはバター)を使った、カランツ入りのスコーンような生地で、表面にはお砂糖をふって平たく焼きあげてあります。別名「Hevva cake」とも呼ばれますが、なんでもイワシ漁の見張り役が魚の大群を見つけたときに叫ぶ「Hevva! Hevva!」というフレーズから名づけられたとか。漁師の妻たちはお腹をすかせて戻る夫の帰宅に合わせ、この菓子を焼いていたと言います。伝統的には表面に格子模様の切込みを入れますが、これは漁に使用する網を表しているのだとか。
サフランケーキにしろ、このコーニッシュへヴィーケーキにしろ、コーンウォールの土地と生活に深く結びついた実に地方菓子らしい地方菓子と言えるでしょう。コーンウォールを訪れたら、おみやげ屋さんだけではなく、ベーカリーを覗くのもお忘れなく☆

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About Author

yasuda mariko

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ http://galettes.exblog.jp/

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