Notting Hill Gate駅のケンジントン側は、老舗フィッシュ&チップス・レストランのGeales、今はなきギリシャ・レストラン「Costas Grill」の存在感が強く、30年前までは郷愁のイメージがずっとあったのですが、Costas Grillが退き、新たにモダン・ギリシャのMaziが登場して様変わりしました。
Maziが2012年にオープンする以前、ロンドンにおけるギリシャ料理は昔ながらの「タベルナ」スタイルが圧倒的に多く、家族でメッゼやグリルをわいわいいただくイメージでしたが、1999年に東のホクストンにスーパーお洒落なThe Real Greekがひっそりとオープンして「モダン・ギリシャ」というカテゴリーの誕生を印象付けました。Maziは、そのカテゴリーを確立した存在だと言っていいと思います。ギリシャ料理店が、デート・スポットになり得る時代となったわけです。
ちなみに今でこそチェーン展開しているThe Real Greekですが、当時はロンドンにおけるモダン・ギリシャ料理のパイオニアでした。センス抜群のギリシャ人オーナー・シェフ、テオドール・キリアコウさんが手がけたほぼ最初のプロジェクトで、8年かけてブランドを確立した後におそらく売却し、その後、The Greek Larder、Opsoなどのヒットを飛ばしたモダン・ギリシャの立役者。私は彼のレストランの大ファンなのです^^
そしてこちらのMaziは、優れたトレンド感覚を持つ若きギリシャ人夫婦が始めたプロジェクトで、もう一つのモダン・ギリシャの潮流がここから生まれました。このチームが昨年5月、ギリシャ風ビストロをイメージして作ったのが、Suzi Trosなのです。前置きが長くなりました^^;
Maziがオープンした当初、その洗練されたデコレーションと料理の美味しさに感動した記憶があります。その感動を胸に、いざSuzi Trosへ。
とても小さなお店で、Cozyという言葉がぴったり。料理は奇を衒わないシンプルなものが並びます。まさにビストロ・スタイルの良店ですが、人気すぎてすぐに満席>2時間制になってしまうのが玉に瑕。カクテル・バーでもあるので、さっくり飲んで帰りたい方はこちらで十分楽しめそう。でもゆっくり食事をしたいなら、2軒隣にあるMaziの方がおすすめかも^^ そして、ロックダウン中の現在は同じエグゼクティブ・シェフがクオリティ管理をしているMaziの方でデリバリーや持ち帰りに対応しているので、お近くならぜひメニューをのぞいてみてください!