老舗と言われる店が多いソーホー内でも、1871年創業のメゾン・バトーはとびきり古いフレンチ・パティスリー。ロンドン最古のティールームの一つでありながら、何十年も変わらぬレシピを保ち続けている日本人の口にも合う美味しいケーキやパン、そして女優を兼ねている名物オーナー、ミシェルさんの人柄に惹かれて今日も常連さんや旅行者たちであふれています。
このキャラクター満載のティールームを切り盛りしているミシェルさんは14歳のときからウェイトレスとして同店で働き始め、26歳のとき、資金をかき集めて前オーナーから店を買い受けたという運命のオーナー。以来ずっと彼女流のやり方で運営してきました。
店の近くに芸術学校セント・マーチンズがあった頃は、故アレキサンダー・マックイーンやキャサリン・ハムネットらが常連として通ってきていたそうです。毎朝わざわざプリムローズ・ヒルからやってきてはおしゃべりを楽しみ、コーヒーを飲んで帰っていく弁護士さんもいるそうですよ ^^
店は最近流行りのモダナイズには全く興味ないといったふうで、60年代、70年代の雰囲気をそのまま残しているところも味があり、昔ながらのレシピを使ったゴージャスなフレンチ・ケーキをしっかり濃いコーヒーや茶葉で入れる紅茶で楽しむことができます。
ケーキは本当に、どれを食べても安心できる美味しさです。決して洗練されているわけではないですが、昔ながらのレシピを守った、熟練の職人さんによる味。私好みのタルトはもちろん、クリームたっぷりの白いモンブランや、フレッシュ・クリームに癒されるサントノーレやフルーツ・エクレアなど、軽い食感のケーキがお好きな方にもぜひ試していただきたい定番ラインナップが毎日店頭に並びます♪(でも、シュー生地はしっかりと歯ごたえあり)
パリ・コミューンのフランス人亡命者が創業した当店だけに、ミシェルさんもその哲学に倣へとユーゴスラビア紛争などで国を追われた人々に職を与える手助けもしているとか。このロンドン最古のティールームが、もしもミシェルさんというとびきりのパフォーマー経営者を得ていなかったとしたら、これほど人々に愛される店には成長していなかったかも、そんなふうに思わせる、いつまでもそこにあってほしいソーホーの名物カフェなのです。