気持ちの上がる祝いの場。ホスピタリティの温もりがここに

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Bob Bob Ricard City  ボブ・ボブ・リカール・シティ

かれこれ15年前、ソーホーに颯爽と登場したBob Bob Ricard を訪れたときの衝撃は忘れられません。

名前の響きとロケーションから勝手にポップなカジュアル店だと思って訪れてみたら……その豪奢なインテリアに衝撃を受けました。鏡やクリスタルを多用したデコレーションは互いを照らしあい隅々までキラキラ。にもかかわらずダークな照明使いで、素材も上質なのでギラギラにはならず、全体的に非常にシックな印象なのです。

そして2019年。金融街シティに姉妹店、Bob Bob Citéが登場。近未来的とも言えるガラス張りのレドンホール・ビルディングのレベル3に位置するこのレストランは、ソーホー店に負けず劣らずキラキラ。ビルの正面左手にある直通エレベーターでビューンと上っていくと、そこはまるで大人のためのおとぎの世界です^^

チーズおろし器に似ていることから「チーズ・グレイター」の異名を持つLeadenhall Building は現在のところロンドンで2 番目の高さ。

このボブ・ボブ・シテはおよそ2,500 万ポンド(約 42億円!?)を費やし、5年の月日をかけて作り上げたオーナーさんの思いの結晶。そしてパンデミックを機にさらなる改修に取り組み、2021年末、新たにBob Bob Ricard Cityと店名を改め、再オープンしたのです〜。今回の改修にもまた数百万ポンドがかけられたそうですよ^^

ダイニングに入る前のシャンパン・バー。

全てブース席なのでプライベートが保たれます。

オープン直後にお邪魔した際に感じたのは、まるで豪華客船やクルーザー内にいるような不思議な感覚でした。調べてみると、どうも王室所有のロイヤル・ヨット・ブリタニアからインスピレーションを得ているそうなので、大当たり! しかもすべてのテーブルがブース席。豪華列車で旅をしているような感覚もあり、プライベートも保たれるのも素敵です。

そしてボブ・ボブ・リカール(以下BBR)が何で有名かって・・・ 各テーブルに付いている「シャパン・ボタン」ですね〜^^ 押すと壁の高い位置に並んでいるテーブル番号が点灯し、キラキラに^^  すぐにシャンパンがやってきます♪

「Press for Champagne」ボタン!

このイギリス初のアイディアを考え出したのは、渡英前はロシアを拠点に活動されていた事業家でオーナーのレオニード・シュトフさん。彼はもともと広告屋で、ロシアで初めての広告代理店を立ち上げた後、1999 年に世界でも最大級の広告代理店オグルヴィ & メイザーと提携し、長らくロシア&ウクライナ支店のCEOを務めた富豪です。

つまりそこにはロシア・コネクションがあるわけですね。

以前から不思議に思っていることがあります。BBRの紹介文を読むと、「英仏料理」であると説明されることが多いのですが、メニューは明らかにロシア・東欧風。そこにちょっぴりフレンチ、ちょっぴりイギリスが加わったって感じです。

そのロシア的なものの一つが、前菜としてのキャビア!

クレームフレッシェを添えた3種のキャビアのテイスティングは量によって50 / 65ポンドです。お祝いしたい何かがあるなら、ぜひ試していただきたい!  一気に気分が上がること間違いなし。黒い宝石とはよく言ったものです・・・。

シベリア、オシェトラ、アムールスキーの3種をシェルスプーンで掬って食べ比べ。なんて贅沢なんでしょう♡ チョウザメの種類によって風味や見た目も全く異なることが分かり、とても勉強になりました。個人的には濃厚でクリーミーなアムールスキーに軍配を♪  BBRで扱うのは、最高基準を打ち立てた無添加キャビアとして知られるN25キャビアとの独占契約を含む、最高級ライン。独自の方法で熟成させ、風味に深みをもたらしているそうです。そしてキャビアにはマイナス18度でキンキンに冷やしたウォッカのショットが合います! これは絶対なので、ぜひに合わせてみてくださいね。

さてメニューを見ると、知ってか知らずかロシアとウクライナの料理が仲良く共存しています。

例えば「Pelmeni / ペリメニ」「Vareniki / ヴァレーニキ」といった見慣れぬ料理名が目に飛び込んできます。ペリメニは少し大きめのトルテリーニのような詰め物をしたロシアのダンプリング、ヴァレーニキのほうは、ウクライナの半月の形をしたダンプリング料理なのだそう^^

こちらは蟹やホタテ、海老などを包んだ自慢のペリメニ。ランゴスティンのビスクでいただくご馳走です♪ 甲殻類の旨味をしっかり感じられる一品で、大変美味しかった。日本人が好きそうなお味。

公称フレンチだけあり、もちろんフランス料理のエッセンスもそこかしこに。こちらは2度ベイクしながらも滑らかに仕上がっている濃厚なチーズスフレ♡  Stinking Bishopという英国産のチーズを使っているのですが、ソースにフランス産のコンテ・チーズを忍ばせるというニクい演出。添えられているのはリンゴと洋ナシ、ジンジャーのチャツネ。これがスフレに本当によく合う。チーズにチャツネを添えている感覚ですね。英仏の素敵な融合例で、シェフのセンスを感じます。(デザートとしてもいただけるようです)

スフレに合わせていただいたワイン。幸せ。

そしてBBRパイ料理が素晴らしい

代表的なものとしてはシャンパンで風味づけをした「チキン&シャンパン・パイ」。以前いただいたことがあるのですが、非常に誠実で味の良いパイです。機会あればぜひ♡

今回はスコットランド産サーモンのアン・クルート(パイ包み)を♪ 白く見えている部分は、ホタテのムース、黒い部分はマッシュルーム。シャンパンのホワイト・バター・ソースでいただきます。

たい焼きっぽいですがw

まずは姿焼きで登場!全体を見せていただいた後に、カットしてくださるのです。美しい佇まい・・・。お味の方はとても濃厚なので、チーズスフレをいただいた後は誰かとシェアするか^^;  もしくは前菜をサラダ的なものにするとバッチリかと。フレンチ的なお料理はどうしてもソースが重くなりがちなので、そこは胃袋の状態と相談しながら選んでいきたいところですね。

このサーモンのパイ包みのほか、ビーフ・ウェリントンも名物です♡

そしてウクライナの首都、キエフ名物の「チキン・キエフ」もシグニチャーとのことだったので、お願いしてみました。こちらはバター・ソースを包み込む通常のスタイルではなく、ソースは外側に。さっぱりとした鶏の胸肉を、ガーリック風味の春らしいグリーンのソースでいただくシンプルな一皿。フレッシュなサラダを副菜で添えてバランスを整えたいボリューム満点のメイン・コースです。

ここまででかなりお腹もいっぱいだったのですが、やはりデザートは外せません! オススメの2品をお願いしてみました♡ 一つはBBRのシグニチャーでもある「チョコレート・グローリー」。フランスの老舗チョコレート・ブランドであるヴァローナのダーク・チョコレートを使ったラグジュアリーなゴールデン・ボール♪  ホット・チョコレート・ソースを上からかけて殻を溶かすのですが、中には濃厚で風味の良いコーヒー・ガナッシュがたっぷり。キャラメライズしたヘーゼルナッツなどと一緒にお口に運ぶ至福。

デザートにはデザート・ワインを合わせますよ〜♡

もう一つのデザートは、テーブルでフランベしてくれるクレーム・ブリュレ!炎の高さが半端ない^^  ロマンチックな夜にもぴったりですね。どちらのデザートもエンターテインメント性が高いので特別な日にぜひいただきたい喜びに溢れたスイーツです。

これらの素晴らしいお料理を統括しているのは、2022年5月からグループ全体のシェフ・ディレクターに任命されたイギリス人シェフ、ベン・ホブソンさんです。ベンさんはロンドン・メイフェアの一つ星、Galvin at Windowsからキャリアをスタート。マーローにあるトム・ケリッジさんのミシュラン2つ星「ザ・ハンド&フラワーズ」、ヨークシャーの一つ星「ザ・スター・イン」などを経て、Galvinに戻って副料理長に。その後はBBRとともに輝かしい歩みを刻まれています。

バーもキラキラです。ここが職場っていいですね^^

金融街シティにおいてBBRが愛されているもう一つの理由、それはもうお分かりですよね。ドリンク類のクオリティです。ロンドン屈指(=世界屈指)のセレクションを誇る最高級ワイン&シャンパン・セラーがあり、その設備にも莫大な投資をしています。オーナーのレオニードさんご自身が、ガチの専門家だからなんです。

しかし! 実はお値段の設定がとても良心的で、最高級ワインでもゲストのために利幅のバランスをうまくとっているのだとか。つまりボトルの価値と価格を合致させる誠実なビジネスであるというわけ。これは、お酒の真価を知る者だけにできる高等な技であるとも言えます。

クラシックなブルゴーニュとボルドーをリスペクトするヘッドソムリエ、ジャコモ・レッキアさんが予算に合わせた1本を選んでくれるでしょう♪  BBRのセラーを拝見するのは2度目だったのですが、セレクションのうち200 本はマグナムやメトセラーの大型ボトルなのが目を引きます。もちろんワインやシャンパン以外のお酒についても聞いてくださいね。

金融街シティでは食事ミーティングの機会も多いことでしょう。18名まで着席できるプライベート・ルームは3つあり、アラカルトでも注文できるなどどんな要望にも柔軟に応えてくれるはず。こんな場所ならついつい商談もまとまってしまいそうですね ^^

 

今回再訪して感じたことがあります。それはBBRがある意味、とても「リーズナブル」だということ。びっくりしますよね。このグラマラスな空間が・・・もちろんここは高級レストラン。全てが一流で、温かいホスピタリティにあふれたフレンドリーかつプロフェッショナルなサービスを噛みしめることができる、本物です。

だけど前菜は12ポンドからで、その多くが10ポンド代、主菜も22ポンドからあり、20ポンド代のお皿が半分を占めています。ハウスワインに至っては8ポンド! 最近はガストロパブと称して主菜が20ポンド以上は当たり前という驚きのロンドン価格となっており、カジュアルな顔をしたバカ高いレストランがいっぱいある最近のレストラン事情を知る身としては、BBRの良心的なお値段、丁寧で美味しい料理、心づくしのホスピタリティ、そして特別な日に本当の高揚感をもたらしてくれる真にユニークなインテリア空間には、新たな価値が今、生まれているのではないかと感じた次第。

スタッフの皆さんが全員笑顔で素晴らしい!

次の記念日にはどこに行きますか? 日本からの大切なお客様を、どこに連れて行きますか?  BBRではきっと、思い出に残る体験ができること間違いなしです^^

シティの新旧建築の共演も見どころ。

 

Leadenhall Building,
122 Leadenhall Street, London EC3V 4AB

店名Bob Bob Ricard City
最寄り駅Bank / Liverpool Street / Monument / Fenchurch Street
住所Leadenhall Building,
122 Leadenhall Street, London EC3V 4AB
電話番号020 3145 1000
営業時間火〜金 12:00 – 00:00 土 17:30 – 00:00
URLhttps://www.bobbobricard.com/city/
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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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