<Trifle トライフル>
イギリスを代表するプディングのひとつトライフル。
スポンジとフルーツ、カスタード、生クリームとどんどん器に重ねていくだけで簡単に作れ、かつテーブルに花を添えてくれるトライフルは主婦の強い味方として、あるいは幼い頃からの思い出の味として、イギリス人に愛され続けるコーンフォートフード。
謙遜からか、ありあわせのものからでも作ることができてしまうせいか、「Trifle=つまらないもの 」なんてかわいそうな名前をつけられているけれど、その歴史は古く、文献に残る最も古いもののひとつはThomas Dawson 著「The good husewife’s Jewell(1596)」。ただし、この当時のトライフルは生クリームを砂糖とジンジャー、ローズウォーターで風味付けしたフールのようなもの。スポンジやカスタードを使う今のスタイルに近いものが登場するのはそれからしばらく経ってからになります。
赤、黄色、白ときれいなレイヤーが見えるよう大きなガラスの器に作られることの多いトライフルは普段のデザートとしてはもちろん、クリスマスなどのハレのテーブルに上ることも珍しくありません。そのためメンバーやオケージョンに合わせて、バリエーションもかなり豊富。大人ばかりならシェリーやマデイラワインなどをたっぷりスポンジに染み込ませたアルコール入りの Boozy trifle(またはTipsy trifle)、子供向けならフルーツジュースを染み込ませて、チョコレートをたっぷり飾ったものなども人気。そしてちょっとノスタルジックな懐かしの味にしたければ、スポンジの上にゼリーを入れて固めても。これはチープな味になってしまうと敬遠する人もいるけれど、スポンジがゼリーを吸ってかつ固まっているなんとも不思議な食感が、私は結構好きだったりします(笑)それに実はこのゼリー入り、Hannah Glasse著 「The Art of Cookery (1747)」にも似たようなものが載っているくらいだから、何気に伝統の味。この実にイギリス的なゼリー入りトライフルを試すのにお手軽な方法はBird’s社のトライフルミックス。
日本にもよくお手軽ゼリーやプリンの素がありますよね、あれと同じようなもの。小さな箱なのに、中にはスポンジフィンガーにゼリーの素、カスタードパウダーにホイップクリームの素そしてご丁寧にトッピング用のチョコレートスプレーまで入っています。これらにお湯やら牛乳やらを加えながら重ねていくと、6人くらいでたっぷり楽しめるジェリートライフルが完成☆さらに簡単に作りたければ、イギリスのスーパーにはトライフル用のスポンジもカップに入った出来合いのカスタードも全て揃っているので、それらを買ってきて器に重ねるのが一番楽で一般的な方法。手元にあるフルーツでもちょっと加えてあげれば充分豪華なトライフルがあっという間に出来てしまいます。
BBCアメリカ調べによる、在米イギリス人の最も恋しいイギリスデザートTOP10の筆頭はこのトライフル。在日日本人の私ですらもトライフルが恋しいのだから当然かも☆