<Lemon drizzle cake レモンドリズルケーキ>
「イギリスでは日本と違って紅茶にレモンは入れないのよ。」とはまことしやかによく言われることですが(実際にはたまに遭遇します)、イギリス人は結構レモン好き。レモンカードはジャムと並んで人気だし、パンケーキにふり掛けるのはお砂糖とレモン果汁。レモンが採れるわけでも、暑い日が続いてレモンが利いたさっぱりお菓子が食べたい~というわけでもないけれど、レモンのお菓子やプディングもかなりの種類があります。その中でも、レモンメレンゲパイやレモンスポンジプディングを押さえて真っ先に浮かぶのは「レモンドリズルケーキ」。
ティールームやカフェには必ずといっていいほど並んでいるし、ホームメイドのお茶菓子としても大定番のケーキです。でも、聞きなれない名前ですよね、「レモンドリズルケーキ」。レモンのケーキなんだろうな、とは想像できるものの、ドリズルって?ではちょっと英語のお勉強。「Drizzle」とは名詞なら「霧雨」・ 動詞なら「振りかける」と言う意味。雨がしとしと降っている時などによく使う単語です。このケーキの特徴は焼きあがったケーキの上から、レモン果汁と粉砂糖を混ぜ合わせたものをこれでもか~とたっぷりと含ませる点。しとしと雨を降らせるように全体がしっとりするまでレモンシロップをドリズルするからレモンドリズルケーキなのです。う~ん、思い出しただけで耳の脇がきゅっとする感じが。。。それくらい酸味が利いているほうが美味しいケーキ。
ある日イギリス人の友人にこのケーキの作り方を教えてもらったとき、驚いたのがその作り方。
卵もお砂糖も小麦粉もバターもぜ~んぶ一緒くたにボールに入れたら、あとはガーッとハンドミキサーで混ぜるだけ。何て素敵なのイギリスのホームベイキング!お菓子作りに対して目からウロコが、肩から(いい意味で)力が抜けた瞬間でした(笑)。でも、「これは大事よ」と言われたのが、ケーキをオーブンから出したらすぐに竹串などでプスプスたくさん穴を開け、まだケーキが温かいうちにレモンシロップをかけること。そうするとお砂糖がケーキの熱で溶けて中に入り込み、冷めたときには表面にカシャッとしたお砂糖の衣ができるから。
はじめにお砂糖とレモン果汁を鍋で煮溶かしかける派(す~っと中に染み込むため、表面の砂糖衣はなし)、グラニュー糖を使い、砂糖の粒がじゃりっと上に残るようにする派など、多少バリエーションはありますが、甘さと酸味のバランスがとれていればたいてい美味しいケーキです。形も円形だったり、パウンド型だったり、そこは決まりはないので好みと手持ちの型次第。
このケーキにはやっぱりレモンティーではなくストレートかミルクティーが合いそうですね。ちなみにイギリスで紅茶を頼んだときによく聞かれるのは、「ミルクにする?それともレモン?」ではなく、「Black or white?」(ミルクを入れない?入れる?)という質問。日本ではなぜか「ブラック」はコーヒーに対しては使うものの紅茶には使わないし、「ホワイト」って確かにミルクは白いけれど~とちょっぴり不思議に感じるかもしれませんが、イギリスではお店や家庭でよく聞かれる質問なので(コーヒーでも)、頭の片隅に覚えておくといつか役立つかも☆