<Coffee and walnut cake コーヒー&ウォルナッツケーキ>
「ヴィクトリアサンド」に「バッテンバーグ」、「イヴズプディング」に「メルティングモメント」これまでご紹介してきたお菓子を振り返ってみても、名前を聞いただけではピンとこないお菓子の多いイギリス。そんな中、珍しく非常~に分かりやすくてよろしいのが今日のケーキ「コーヒー&ウォルナッツケーキ」、ずばりコーヒーとくるみのケーキです。コーヒーとくるみ、日本ではそれほど馴染みのない組み合わせですが、イギリスのティールームでは大定番のケーキ。日本の3大メジャーケーキがショートケーキ、モンブラン、チーズケーキなら、それに匹敵するのが「ヴィクトリアサンドイッチ」「レモンドリズルケーキ」そしてこの「コーヒー&ウォルナッツケーキ」。トップ3でなくとも、少なくとも5本の指には入るでしょう。
ベースの生地はヴィクトリアサンドと一緒、バター・お砂糖・卵・小麦粉同割りのぐるぐる混ぜるだけでできてしまういつものイギリススポンジ生地。これにインスタントコーヒーで風味付け。ここに刻んだくるみも加えます。出来上がった生地を2つのサンドティン(浅型のスポンジ焼き型)に分けて焼くので、焼き時間も短く、スライスする手間も要りません。クリームはバターと粉砂糖そしてまたまた登場、濃く溶いたインスタントコーヒー。これらを滑らかになるまで混ぜ合わせたもの。イタリアンメレンゲや卵黄を使うような手間のかかるフランス的バタークリームとは随分違いますが、これがシンプルに美味しいのです。イギリスの人気料理研究家Nigel Slater いわく~ ‘Follow the professional butter cream recipes that suggest making a meringue over hot water and beating butter into it, and your cake will instantly lose its village-hall charm.’ 「湯煎しながら作ったメレンゲをバターに混ぜるような凝ったバタークリームのレシピに従った瞬間、このケーキの持つVillage-hall charm (村の集会場で出てくるような素朴で温かい魅力)は失われてしまう」と。 最後の晩餐に何を食べたいかという質問に、彼は「まだ決めかねているけれど~ポットオブティーとオールドファッションなバタークリームのサンドされたコーヒー&ウォルナッツケーキかな」と答えています。子供の頃から美味しいものへの情熱を持ち続けた彼の行き着く先にあるのがこのケーキと言うわけですから、イギリス人の根底によほど訴える力のあるケーキと言えるでしょう。
もうひとつ、コーヒー&ウォルナッツ人気を示す記事がナショナルトラスト(歴史的建築物などを保護するボランティア団体)の発行するNational Trust Magazine (2013年)に載っています。イギリス各地にある古いお屋敷やガーデンなどを保全し公開しているナショナルトラストですが、ここを訪れる楽しみの一つが施設内に設けられているティールーム。シンプルなセルフサービスのカフェテリア方式のところがほとんどですが、散策の後そこでいただく一杯の紅茶と手作りのケーキはどこか温かみがあり、いつも多くの人たちでにぎわっています。大抵スコーンや軽くつまめるサンドイッチなどの他に、ケーキが数種並んでいるのですが、コーヒー&ウォルナッツはケーキ類の売り上げの中で堂々の第3位だとか。なんと全国で1年に102,000ピースも売られているそうです。ちなみに1位はヴィクトリアサンドで171,000ピース、2位はチョコレートケーキで108,000ピース、4位は96,000ピースのキャロットケーキ、5位は52,000ピースのレモンドリズルケーキと続くそうです。このトップ5はナショナルトラストのティールームだけではなく、イギリス中どこに行っても同じ結果がでそうですね。加えるとすればこれにドライフルーツぎっしりのフルーツケーキといったところでしょうか。
さて、あなたならこの中からどのケーキを紅茶のお供にあるいは最後の晩餐に選びますか?
私ならポットオブティーにキャロットケーキかな、あ~でもコーヒー&ウォルナッツとレモンドリズルも捨て難い~☆
2件のコメント
私はやっぱりどちらか選ばなくちゃならないとしたら、キャロットケーキかも~。写真のケーキ美味しそうでしょう~おいしいんですよ、私が作ったんですから、なんて(笑)
でた! ナイジェルさんがそこまでコーヒー&ウォルナッツ・ケーキ派だったとは知りませんでした ^^ 私はキャロット・ケーキとコーヒー&ウォルナッツは同じくらい好きですが、お茶に合わせるなら、断然後者かな♪ 写真のケーキ、美味しそう♡