「飛行機を間近で見ることができるスポッティングポイントがあるのは理解したんだけど、飛行機を見る楽しさって なんなの?」
今回はそんな素朴な疑問にお答えしていきたいと思います。
飛行機が好きな人たちの事を「航空ファン」と呼ぶこともありますが(英語では aviation fansなど)、鉄道ファンで言うところの「乗り鉄」「撮り鉄」「音鉄/録り鉄」「模型鉄」などと同じく、飛行機に対する興味の分野や愛情の深さなど “好きなジャンル” というものはそれぞれ若干異なってきます。
飛行機に乗るのが好き
飛行機を見るのが好き
撮影が好き
路線が好き
初便に乗る情熱がある
エンジンの音が好き
軍用機が好き
貨物便が好き
時刻表が好き
航空無線を聴くのが好き
機内の雰囲気が好き
機内食が好き
など 細かくジャンルを挙げたらキリがないほど 細分化されている分野でもあります。
今回はその中でも「スポッター」 planespotters と言う愛称で呼ばれている、 空港やその近辺で飛行機の撮影や、航空機の動向を追跡したりすることに情熱を心に熱く抱く者たちが
現場でいったい「何を」「どのように」楽しんでいるか?
の例をいくつかご紹介したいと思います。
【スポッティング(Aircraft spotting, plane spotting) 〜スポッター達の楽しみ方】
航空機を愛するスポッター達は航空機がバッチリ見れる 空港やその近辺で幸せなひと時を過ごします。
(1)航空機の違いを堪能する
連載第1回目から3回にわたって ↓ ↓ ↓
⑴27L 着陸時のスポット:https://www.absolute-london.co.uk/people/travel/heathrow/48658
⑵27R 着陸時&27L 離陸時スポット:https://www.absolute-london.co.uk/people/travel/heathrow/48856
(3)東風運行時のスポット:https://www.absolute-london.co.uk/people/travel/heathrow/49078
ご紹介させていただいた各スポットで、「ぼーっと航空機を見るだけ」でも十分楽しいのですが、
• 航空会社の違い
• 航空機の種類
• 航空機の塗装
を気にしながら見ると、どんどん航空機に興味を持ち始める様になっちゃいます。
商業航空機(民間機)や軍用機かで楽しみ方が分かれます。 ヒースロー空港では、一部政府関係の航空機も発着しますが (そんな時はスポッター達は超ウキウキ気分となります) 基本「商業航空機」を楽しむことになります。
(2)航空機の情報メモをとる
双眼鏡などを使って機種と機体番号を確認しメモをする、という楽しみです。 中には無線を聴きながらと言う方々もいらっしゃり、 メモを楽しむファンは銀髪の紳士の年齢層に多い傾向があります。
自分が見かけた紳士方のほとんどはキャンピングチェアなどを持参で、 同じく趣味のあった紳士方と語り合いながらのんびりと(心の中では熱く)楽しまれていらっしゃる感じです。
孫も一緒にメモをしているような家族も見かけることがあります。 各国の航空機の機体番号が載った専門書(驚くなかれ、こういった専門書も存在するのです) を片手に孫に優しく語りかけている微笑ましい姿を見ると 、こちらまで思わず笑顔になってしまいます。 おそらく自宅には機体番号を長年記録してきたノートが大切に保存されているに違いないでしょう。
(3)撮影を楽しむ
スポッターの多くが
「航空機を撮影すること」に愛を燃やしていますが、ただ飛んできた航空機を撮るだけでなく、(1)で紹介した様な違いを楽しみながら撮影している場合がほとんどです。
また、撮影にも:
• スポッターカット/スポッティングカット:王道の撮影方法
天気は青空が美しい「晴天」
色が鮮やかに出る「機体に対して順光」
機体番号がはっきり確認できるよう「真横」か真横あたりショット
• アクションカット(迫力系カット):正面や斜めからなど飛行機の迫力の表現を求めての撮影
• 情景カット:山や海、花畑など風景が入った写真等
などがあり、撮影一つとっても好みが分かれたります。
色々な楽しみ方がある事を、なんとなく感じ取っていただけたと思う。そこで「これまで何気に見たり乗ったりしていただけの飛行機だけど、色々な機種があるんだ〜」 とお分かりいただける「機種の違い」を比較できる写真をいくつかご紹介してみよう。
今回は欧州路線や国内路線で多く使われているエアバスA320 / Airbus A320ファミリー の紹介となります。
エアバスA320ファミリー
<どんなタイプの機種?>
●ヒースロー(他の空港でも)国内/欧州路線で使われることが多い機種です。
「え〜ピンとこない」と言う方に→
近距離路線を飛ばすeasyJet の保有機材はこのエアバスA320ファミリー系となります。
●機内に入ったら通路が一つしかなかった
といった記憶はありませんか?
このファミリーは
単通路(ナローボディ)機=機内の通路が一つの航空機になります。
(日本線などのの長距離機は機内の通路が2つですよね)
●双発エンジン(エンジンが2つ)
●主翼には風の誘導抵抗を減らす効果のある(整流する)翼端板「ウィングチップ」または「シャークレット」を備えています。
<どんな種類があるの?>
基本型はA320 型機種となります。
他には短胴型の
A318
A319
長胴型の
A321
長距離型の
A321LR
A318以外は従来型ceoと第二世代neo(new engine option/新型エンジンを搭載)があります。
基本的にエアバス社(航空機を製造している会社の大手)の航空機の中では「小型機」の分類に入ります。
<外見の違いは?>
胴体の長さ(座席の数) は機種によって異なります。と言っても並べて比較しないと分かりにくいのですが、外見をパッと見ての違いでは、非常口ドアの数の違いが挙げられます。
短胴型のA318およびA319 は前・真ん中・後ろに3つ
A320では4つ(内真ん中に二つ/前と後ろに一つずつ)
*但し中にはドア3つなんて注文して作られたA320型もあります。)
A321では4つ
その他に「お!A320ファミリーだ」
と判断できる外見の特徴としては翼の端に三角形の「ウイングチップ」や、
そり返り状の翼端板「シャークレット」が装備されていることなど。
他には他社(ボーイング社)の小型機と比べての違いなどもあるのですが、文字数の関係もあるので今回は省略致します。
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では具体的な機種をご紹介していこう。
細かな話になっていくが、しばしお付き合い願いたい。
<ぼてっと短い胴体のフォルムが可愛い短胴型>
✈️ エアバスA318 / A318-100
機体記号(機体番号、レジ、シリアル):F-GUGB
エールフランス社の A318(この機体は20年間の空の旅から退役しております)。A318はエアバス社が開発した一番小さな旅客機である。
90~110の標準客席数
✈️ エアバスA319 / Airbus A319-100
機体記号:G-DBCK
ブリティッシュ・エアウェイズ所有のA319(従来型)。2007年から活躍中の現役(長い飛行距離を持つ古株である)。最高144の客席
✈️ エアバスA320ceo / Airbus A320-200
機体記号:F-HEPA
エールフランス所有の従来型のA320。翼端にウィングチップが付いています。14年目ですが、多いときは1日でパリ(CDG)〜国内/近距離欧州圏を5〜6回も飛行。バリバリ活躍してくれている旅客機である。客席は通常140〜170席
✈️ A320-200
従来型ですが翼端が「シャークレット」となっています。
こういった違いを見ると航空ファンは「ふふふ」っと楽しくなります。
✈️ エアバスA320neo / Airbus A320-200neo
機体記号 EI-HJD
1年前から就航している、まだまだピッカピカのITAエアウェイズ所有の航空機。
●機種名には「new engine option」の頭文字 “neo”がつけられています。
従来型は「current engine option /現行エンジン選択型」の頭文字 “ceo”をつけて
表されることもあります。
●従来型のA320との大きな違いの一つが新型エンジンに置き換えられたことであります。
IAE V2500およびCFM56-5BモデルをPW1100G-JMおよびLEAP-1Aシリーズエンジン(プラット・アンド・ホイットニー社およびCFMインターナショナル社製)に置き換えられました。
●航空機の主翼端に取り付けられる翼端板「シャークレット」(写真上)があるのも特徴の一つ。高さは2.4メートル。長距離路線ではシャークレットによって燃料消費量を最大4パーセント削減でき、これは航空機1機あたり年間約900トンのCO2排出量削減に相当します。
●但し最近は従来型でもシャークレットになっている機種もあるので、見分けに使うの時には注意が必要。
<長胴型で座席も多めの機種>
✈️ エアバスA321ceo / Airbus 321-200
機体記号:
G-EUXK
ブリティッシュ・エアウェイズ所有のA321ceo
。この写真を撮ったときはヒースロー空港ベースの航空機でしたが、
2024年現在はガトウィック空港ベースになっています。
17年目の古株ですが近距離戦で活躍中です。
標準の座席数は170~210席
✈️ エアバスA321-131
機体記号D-AIRR
古いといえば 下の写真。ルフトハンザ航空所有の A321ceoです。何と今年で28年目ですが、お元気に近距離飛行で活躍中。
✈️ エアバスA321neo / Airbus 321neo
機体記号:それぞれ異なる
こちらも大型の翼端板「シャークレット」と、燃費効率に優れた新型のエンジンを装備がされ、燃費率が向上している機体になります。 この燃費の向上によって、可能航続距離も延長されています。 日本でも、A321neo機が活躍していますが、より長距離路線を飛べる機種A321LRも ピーチ・アビエーション(APJ/MM)やジェットスター・ジャパン(JJP/GK)にて運行中であります。また超長距離路線が可能なA321XLR機の開発も進んでいます。
写りが悪いが、下の写真は機体記号:N4022J
✈️ エアバスA321neo(type A321NX) / Airbus A321-271NX
NX
「ネオ・エクステンデッド・レンジ」
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いかがであっただろうか?
機種名は座先のシートポケットに入っている「安全のしおり」に記載されている。次回飛行機に乗る際にはぜひチェックしてみて(あるいは便名や機体番号からググって)
「おー新型エンジン搭載機じゃーん」「おおー古株の頼もしい機種やわー」など、A320ファミリーを今までと違う角度からも楽しむヒントになれば幸いです。
次回は長距離線の航空機の機種のご紹介となります。お楽しみに〜