<Christmas cake クリスマスケーキ>
ふわふわスポンジに真っ白な生クリームと真っ赤な苺。日本のクリスマスシーンには欠かすことのできないクリスマスケーキ。間違いなく年で一番生クリームが消費される1日ですが、はて、イギリスでは一体どんなクリスマスケーキを食べているのでしょう。
生クリーム?使いません。いちご?いえいえこれはイギリスでは夏のフルーツ。ふわふわのスポンジ?これとはまさに対極をなすテクスチャー。イギリスのクリスマスシーズンのお菓子として、クリスマスプディングにミンスパイ~とご紹介してきましたから、想像には難くないと思いますが、こちらもやはりドライフルーツとブランデーた~っぷりのケーキ。ブランデーに漬けておいたドライフルーツの量は粉の倍以上。ミックススパイスやナツメグなどスパイスが香る、しっとりずっしり非常に重量感のあるケーキです。ですから焼くのも一苦労。通常のケーキの焼き時間からは想像できない、3~4時間なんて当たり前の世界(サイズにもよりますが)。しかも焼きあがってからもまだまだ時間がかかるのです。ブランデーを表面に塗りつつ、熟成させること数週間。ようやく出来上がり。
フルーツケーキ、あるいはリッチフルーツケーキなどと呼ばれるこのケーキは、イギリスのハレのシーンには欠かすことのできないケーキ。クリスマス然り、お誕生日やウエディングなど、節目節目の大事なイベントの際にはマジパンとシュガーペースト(またはロイヤルアイシング)で覆い、さらにきれいなデコレーションが施され、場を盛り上げます。
イギリスでケーキショップと言ったら二通り、フレッシュなケーキを売る日本で言うケーキ屋さんと、カチカチでやけにカラフルな、まるで作り物のようなのケーキが並ぶケーキデコレーションショップが存在します。後者はオーダーを受けて各々のパーティーに合わせたデコレーションをしてくれるお店で、手作り派のための材料なども揃えています。子供たちのバースデーパーティーなどのためなら、どっしりフルーツケーキではなくヴィクトリアスポンジ的なケーキを使うこともありますが、日持ちがしないので、時間はかかっても前もって作っておけるフルーツケーキはやはり最適。せっかくきれいにデコレーションしたら、ちょっと眺めておきたいですから(^^)
さて、日本ではもっぱらクリスマスイブに食べられるクリスマスケーキですが、イギリスではもともと1月5日に食べられるものでした。イギリスでは1月6日のエピファニー(公現節)までをクリスマスシーズンとしますが、クリスマスから数えて十二夜目の1月5日を祝う際に食べる「Twelfth night cake」これが今のクリスマスケーキに匹敵するものでした。ヴィクトリア時代に入り、次第に十二夜よりクリスマス当日に重きが置かれるようになると同時にケーキもクリスマス当日あるいはその前後に食べられるようになっていったようです。
今日は12月24日。文化は違えど世界中で沢山の人たちがケーキを食べながら家族と、大切な人と時を過ごすことでしょう。地球上のできるだけ多くの人にできるだけ多くの平和と幸せが訪れますように。