当サイトではあまりラーメンのレビューが載らなくて申し訳なく思っているのですが、先日は 「運河沿いを歩いてラーメンを食べよう」と友人が提案してくれたので、喜んでついて行くことにしましたw
イギリスの運河は季節を問わず大変魅力的です。とくにリトル・ベニス、カムデンからイーストへと抜けて行くリージェンツ運河沿いの散歩は、本当に楽しい。水辺の景色の移り変わりは目にみずみずしく、橋下トンネルからの情緒あふれる眺めには胸が踊リます。運河沿いのフラットでの生活に思いを馳せたてみたり、ナローボートを住まいにする人々の生活をのぞいてみたり、アートと呼びたくなる落書きを楽しんだり・・・飽きることがありません。
この日はイズリントンからイーストへ向けてのショート・ウォークを楽しみ、2013年に登場して以来Haggerston駅周辺で多くのラーメン・ファンを育てているTonkotsu Eastへ!
敷地に入るとまず、いかにもイーストな雰囲気満載のインダストリアル・スタイルのインテリアが目を引きます。高架下アーチを利用したレストランやカフェが近年たくさんありますが、こちらのクールでミニマルな内装はお手本と言っていい出来で、なんとなく広々とした土間のあるラーメン屋さんという印象を持ったのは私だけでしょうか。
チャーシュー、もやし、味付け半熟卵をのせたシグニチャーの豚骨ラーメンは基本を抑えた鉄板メニュー。豚骨スープが自家製なのはもちろん、麺も自家製! 日本から輸入した昭和の製麺機を使って毎日手作りし、きっかり32秒茹でて完璧な歯ごたえを実現します。スープのお味? 私の数少ないロンドンの豚骨ラーメン体験の中から申し上げましても、しっかりと日本の味を踏襲している安心のお味です^^
そして私が選んだのは「Hiyashi Ramen Salad」、つまり冷やし中華です(ラーメンちゃうんかい)。こちらは鴨肉、鶏肉、ソフトシェルクラブ、そしてキノコがあるのですが、さっぱり味を期待してキノコを注文しましたら、これが大正解! 素早くカロリー計算をして麺を少し残そうかと思ったのですが、そんな策略は用をなさず、止まらない美味しさで最後まで一気にいってしまいました。
細麺の茹で加減も、冷やし中華特有のスープの味加減、シメジやシイタケ、エノキなどのトッピングの味付けも、すべて美味しかったのです。私はここに、エキストラのトッピングとしてエビを追加してみましたら、揚げエビでコクがあり、これまたいい塩梅^^ サッパリなのかゴージャスなのかよくわからない選択となりましたが、いやはや今やセルフリッジ内を含めロンドン市内に10店舗を展開する人気チェーンのお味がこれほど繊細とは夢にも思わず、暑い夏の日におけるラーメン屋さんの新しい利用法を教えていただいたように思います。
Tonkotsuのオーナーさんは、最初にTsuruというカジュアルな日本食屋さんを成功させたところから快進撃が始まります。ビジネス・センスのあるイギリス人女性と、日本でも飲食業界で働いておられたシェフの日本人男性がガッツリとタッグを組み、綿密な日本食に関するリサーチを行い、日本のラーメン店と同じように汗水流してゼロから開発した試作品をポップアップで実際にお客さんに食べてもらって感想を収集するなど、きめ細やかなマーケティング結果をもとにオープンしたTonkotsu。だからこそ安定感があり、誰もに愛される味に仕上がっているのでしょう。