中村哲さんの遺言に出会う、珠玉のペルシャ食堂

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Patogh パトグ

皆さま、ご無沙汰しております。すっかりレビューをサボってしまいました。昨年の春から取り組んでいたプロジェクトもひと段落し、ようやく通常に戻れそうな予感がしています^^

それにしてもロンドンは晴れの日が多い1月でしたね〜。明るい2022年の幕開けとなり、あらゆる意味で「長いトンネルを抜けるのかな?」という予感がしています。

そんな特別な季節を過ごした後、打ち上げ的にホテル・ジャーナリストの児島みゆきさんに連れていっていただいたのがマリルボーンにあるゴージャスなプリンス・ホテル。そしてゆっくり過ごした後に訪れたのが、本日ご紹介したいペルシャ料理食堂、Patoghです♡

「Patogh」とはペルシャ語で「大勢で楽しむところ」という意味。お店のロゴはゾロアスター教に起源を持つペルシャの「翼を持つ円」なのですが、どこか懐かしさを感じるシンボルだと思いませんか?  この羽が生えた円盤は「フラワシ」と呼ばれる永遠の魂を表しているそうで、概念としては上位部分の魂、すなわち守護存在なのだということです。そこはかとない原風景のようなものを感じますよね・・・。

さて、私は全くこのお店を知らなかったのですが、聞くともう25年以上にわたって営業している古いお店なのだとか。マリルボーンの良心的な食事処として、他のメディアでもベスト・セレクションに入ったりしているようです^^  キャッシュ・オンリー。お酒はありませんが、持ち込みOKなのだそうですよ。

路上から一見すると小さな町のケバブ屋さんという佇まい。でも中に足を踏み入れると・・・現代のロンドンというよりも、ササン朝ペルシャの土埃舞うにぎやかな村の露店に放り込まれたような・・・少し時空が歪んでいるような感覚を覚えるのです〜。不思議不思議。

ペルシャ食堂とつい書いてしまうのですが、現代で言うとイラン料理の食堂です。食材はもちろんハラール。奥に炭火コンロがあり、何人もの職人さんがケバブを丁寧に焼いています。

私はホッと一息つきたくて、まずは中東風のお茶を一杯、頼みました。そして前菜メニューの中からどうしても食べてみたかったペルシャ風のパンを一枚。

この焼きたてのペルシャ風ナン・ブレッド。ゆうに直径35センチ以上はある巨大な円盤でした。パンにはサービスでフムスがついてきて、とってもお得。特別なスキルとたっぷりの愛情で作られたパンは、心に沁みる味でした・・・。

メインにはラム料理の盛り合わせ+ハーフライス&ハーフサラダ、鶏料理の盛り合わせ+ハーフライス&ハーフサラダを♡

パンが食べかけでごめんなさい^^;  笑

ロンドンで無数のケバブを食べてきた私が、ここではっきり書いておきたいと思うのですが、間違いなくベスト3に入るお味でした! 特に鶏肉のつくねケバブは、絶対にナンバーワン。お肉の旨味が上手に引き出されジューシー極まりなく、味わい深く。一口食べて深い幸せに満たされるお味でした。近々絶対にまたリピートしようと思っているところです^^ (2階もあります。写真で見るととても郷愁を誘う空間なので、次回はそこに座ってみたいな。)

そしてもう一つ、忘れられない経験をしました。お店のスタッフの一人(おそらく責任者クラスの方)が私たちに「日本人か?」と聞いてきたのでそうだと答えると、「自分はドクター・ナカムラを心から尊敬していて、そのために全ての日本人、そして日本を愛している」と、熱く熱く伝えてくださったのです。その純粋な心に触れたとき、故中村哲医師の思いに、直に触れたように思いました。

その方の出身地を聞いてみると、やはりアフガニスタンでした。国境なき医師団に所属していた中村哲さんが、後半生をかけて精力的にサポートしていた国です。中村医師のことはもちろん知っていたけれど、アフガニスタンでの活動の詳細にはそれほど詳しくなかったので、帰ってから少し調べてみました。

彼は医師としてだけでなく、社会基盤を整える役割も果たし、大きな尊敬を集めていたのですね。そしてその志の大元にあったのが、信条にかかわらず困っている人を助けたいと言う素朴な思いと、平和を祈る大らかな気持ちでした。このお店のアフガニスタン出身の男性はきっと、紛争地帯の出身だけに誰よりも平和を祈る気持ちが強いに違いないのだと思います。中村医師の純粋な心と彼の思いが共鳴し、その思いが私たち二人に伝わり、そして私がこれを書いている。思いが繋がり、良き意図が広がっていく。そんな素敵な体験をした夕方でした。

後日再訪!2階の様子です^^

 

8 Crawford Place, London W1H 5NE

店名Patogh
最寄り駅Edgware Road / Marble Arch
住所8 Crawford Place, London W1H 5NE
電話番号020 7262 4015
営業時間毎日12:00 – 23:00
URLhttp://www.patoghlondon.com
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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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2件のコメント

  1. アバター画像

    LONDOBLOVEさま
    そうなの、炉端焼き居酒屋みたいな感じ!
    本当に美味しくて・・・思い出すだけでまた戻りたいw

    中村哲さんの功績の陰に、また多くの功績があるような気がしてならないです。
    きっと多くの人に支えられていたんでしょうね^^

    プロジェクトは3月に発動予定。情報を俟て!笑

  2. 日本でいうと、風情ある炭火焼・炉端焼き風のの居酒屋さんみたいですね。
    フムスがサービスでついてくるとは素晴らしい!

    中村哲さんは、日本国内より、海外の方が、
    その功績が正当に評価されているような印象です。
    あの献身的な活動はどうしてできたのでしょう…

    プロジェクト、一段落、おめでとうございます!(^^)!

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